一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

SFCGと日本振興銀行

2009-03-26 | あきなひ

倒産直前の悪あがきがかえって逆効果だったようです。

SFCG再建断念
(2009年3月25日(水)08:05 産経新聞)

東京地裁は24日、2月に経営破綻(はたん)した商工ローン大手のSFCG(旧商工ファンド)の民事再生手続きの廃止を決定した。同社は今後、破産手続きに移行する。同日記者会見した保全管理人の瀬戸英雄弁護士は、同社が日本振興銀行など数行に債権を二重に売却した額が約700億円に上ることを明らかにした。  
瀬戸弁護士は東京地裁が同社は再建の見込みがないと判断した理由として、債権の二重譲渡や約38億円に上る税金滞納、近く貸金業の免許を取り消される見通しなどを挙げた。  

債権の二重譲渡であるとすると、譲受人のどちらが債務者に対する対抗要件を備えているか(=「自分に払え」と言えるか、つまり債権をちゃんと手に入れられているか)が問題になります。

日本振興銀行はこう言っています。
日本振興銀行、SFCGから譲り受けた債権は約1024億円
(2009年3月24日(火)19:47 ロイター) 

一部報道ではSFCGの債権約500億円がすでに信託銀行などに譲渡済みとされているが、振興銀行は現在までにその事実は確認できないとしている。また、債権の保全措置を取っているとして、二重譲渡があったとしても決算に与える影響は軽微だとしている

でも債務者間との間では既にトラブルになっているようです。
返した数億円どこに 貸し手変更後もSFCGに振り込み
(2009年3月23日9時40分 朝日新聞)

茨城県内のコンサルタント会社(中略)に債権譲渡の通知が郵便で届いたのはSFCGが民事再生法の適用を申し立てた当日の2月23日。「貸し出し債権を昨年12月17日付で売った」。だが、SFCGからの借金は昨年12月25日に完済した。不審に思っていると今度は通知が届いた翌日、日本振興銀行から「借り換え」を勧誘する電話があったという。  

前後して通知が届いたさいたま市の包装資材販売会社も不信感でいっぱいだ。今年初めにSFCGと借金の借り換え契約を結んだのに、通知を見るとSFCGから日本振興銀行に債権が売られた日付は昨年12月17日。「債権を銀行に売り渡した後なのに、SFCGはなぜ借り換えに応じられたのか」  

日本振興銀行によると、通知が遅れたのは、SFCGから12月17、30日、1月26日の3回に分けて同行へ売り渡された貸し出し債権約510億円分。(中略)借り手に知らせる通知について日本振興銀行は「SFCGに委託した」と主張。SFCG側も「通知は経営破綻前の2月20日ごろに発送した」と言う。  

最長で2カ月余の間、借り手の企業は、貸手が変わったことを知らないままSFCG側に返済を続けており、借り手側の弁護団は「少なくとも数億円規模になる。破綻前で資金繰りの苦しかったSFCGが、目先の資金を確保するため意図的に通知を遅らせたのではないか。二重譲渡の発覚を遅らせるために通知を出せなかった疑いもある」と指摘する。  

そもそも火事場状態だったので超過利息問題や事務の不手際も織り込んでビジネスとして債権を相当安く買ったというならソロバン勘定としては成り立ちます。
ダメモトの債権譲渡通知で、払ってくれれば儲けもの、少しでも借り換えの客をつかもうということかもしれませんが、それはそれで商売としていかがなものかと思います。

でも、このバタバタ度合いをみると、自分のSFCGに対する貸付が焦げ付くよりは怪しい債権に切り替えて決算上の損を先送りにするなどという不純な動機があったんじゃないか、と勘ぐりたくなってしまいます。
単に収益事業をしようとしたのに脇が甘かったというなら論外ですけど。 
 

この記事を見て、10年くらい前、バブル崩壊時の話を思い出しました。
勤め先の会社の取引先が倒産したとき、翌日に3つの銀行(それもメガ-当時はメガバンクがいっぱいありました。)が会長名と社長名と専務名のハンコ付きの債権譲渡通知を別々に(内容証明でなく)持参してきたことがありました。 
しかもその通知の譲渡日のところが手書きで、いかにもあらかじめ取り付けておいてバックデートというのがバレバレです。
 
へぇ、銀行ってこういうこともやるんだなぁと妙に感心した記憶があります。
当時は銀行も自分がつぶれるかどうかの瀬戸際だったのでなりふり構っていられなかったのでしょうね(ひょっとして今でもやってるのかもしれませんが。)。


今回も譲渡する方、受ける方どっちもどっちという感じはあります。


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