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一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『少数株主』

2018-01-08 | 乱読日記
非公開会社における少数株主のおかれている問題-特に同族株主における相続税評価と権利の弱さのアンバランス-をテーマにしているが、切り口が一点突破で広がりがない。一方で小説としては「団塊世代の読むバイアグラ」的でコテコテ感ありすぎ。

創業者から代替わりする中で株主が広がり、経営にかかわる者とそうでないものの差が出る、という問題は「少数株主をないがしろにしながら公私混同で私腹を肥やしている二代目社長」という切り口なら本書の描いている状況は当てはまるかもしれないが、本書に出てくるような「公正中立な社外取締役」というのが現実的かというと疑問。結局親戚間の多数派工作のゴタゴタが増えるだけというところが多くなりそう。

せっかく弁護士が書いているのなら、より公正な経営と利益配分のありかたを実現するような他の経営形態の提案があってもいいと思った(もっとも、種類株などでやたらに複雑にしても費用対効果がよくないかもしれないが)。

小説としては、美食や美術品とか箴言についてのウンチクが過剰。バブル期を生き延びた不動産会社経営者が主人公だからかもしれないが、取り上げられているレストラン・酒・マンションなど、あえて固有名詞を出す必要はないんじゃないの?と思う。ここは本業の小説家との筆力の差を補っているということか。
面白いのは、食事・美術品・酒・マンションなどの小物は豊富に登場するが、バブル期のお約束の高級車が出てこないこと。ここは作者の趣味の問題か?


★2.5


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