川上弘美はセンセイの鞄くらいしか読んだことがなかったのだが、こういう話を書く人とは想像していなかった。
出だしはふわっと始まるのだが、だんだんこれが人類の未来を描いたデストピア小説の様相を呈してくる。
というよりデストピアなのかユートピアなのかの判断を読者にゆだねながら、断片が少しずつ明らかになっていく。
そこでは「人類とは?」「自分とは?」、種の維持・存続のために異なる存在をどこまで許容するか、が常に問いかけられる。
残念なのは、最後の種明かしがちょっと性急だったところ。
確かにずっと宙ぶらりんの状態に置かれたまま読み進めるのは骨が折れる経験であったが、そのまま時間がかかったとしても最後まで物語としてまとめれば(自分も含めて読者がそこまでついていければ)すごいものになったのではないかと思う。
★3
出だしはふわっと始まるのだが、だんだんこれが人類の未来を描いたデストピア小説の様相を呈してくる。
というよりデストピアなのかユートピアなのかの判断を読者にゆだねながら、断片が少しずつ明らかになっていく。
そこでは「人類とは?」「自分とは?」、種の維持・存続のために異なる存在をどこまで許容するか、が常に問いかけられる。
残念なのは、最後の種明かしがちょっと性急だったところ。
確かにずっと宙ぶらりんの状態に置かれたまま読み進めるのは骨が折れる経験であったが、そのまま時間がかかったとしても最後まで物語としてまとめれば(自分も含めて読者がそこまでついていければ)すごいものになったのではないかと思う。
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