一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

ブログを停止されました(2)

2012-11-18 | よしなしごと

(承前  「ブログを停止されました(1)」はこちら

さて、「照会書」に添付された文章には次のように書かれています。

掲載されている場所

1.URL
  (省略)
2.掲示板の名称
 「一寸の虫に五寸釘」との名称のブログ
3.掲示板内の書き込み場所
 ①「***********」との表題の記事
   (以下「本件記事」という。)
4.書き込みの行われた日付
 ①本件記事について
   2010年X月X日

掲載されている情報

1~4(省略)

侵害されたとする権利

名誉毀損、信用毀損、業務妨害

確かに「一寸の虫に五寸釘」などという不遜なタイトルをつけてはいたものの、場末で細々とやっていたこのブログが、いつそんな大それたことをやったのでしょう。
大層立派な評価を受けたものです。


そこで「権利が侵害されたとする理由(被害の状況など)」を読んでみます。

1.本件記事について

(1) 本件記事の内容は平成**年*月*日の日本経済新聞朝刊に掲載された「*******」との見出しの記事(以下「新聞記事」という。)に対する論評の体裁をとっているところ、上記掲載されている情報」欄の「1」~「4」の記述は、以下のとおり、当社の名誉および信用を毀損するものであり、当社の業務を妨害するものである。

(2) 上記「掲載されている情報」欄の「1」について
 新聞記事に記載された当社とSPCとが訴訟に至る経過を要約した記述であるが、当社が訴訟の当事者であるとの記述は、当社とSPCとの間に訴訟が行なわれていたことを知らない一般人から見ると、当社の社会的評価を少なからず低下させるものである。
 この点、当社の請求自体は、判決によって一定の条件付ではあるものの全面的に認められており、当社の請求は何ら不合理なものではないが、本件訴訟は、不動産流動化案件におけるオリジネーターたる当社からSPCに対する請求という形態であるため、当社のSPCへの請求が認められた場合、必然的にレンダーのSPCへの債権に影響が生じる。
 そのため、仮に、金融機関の関係者が本件記事を閲覧した場合、当社に対する印象が低下する可能性が強く、そのような事態となれば、当社の資金調達に重要な支障が生じうるが、そのような状況は、まさに当社の経済的な側面における評価が低下させられた状態ということができ、上記記述は、名誉毀損(特に信用毀損)である。
 なお、当社の資金調達に支障が生じた場合、当社の業務遂行にも困難が生じるため、上記記述は当社に対する業務をも妨害するものである。

(3) 上記掲載されている情報」欄の「2」,「3」について
 発信者の憶測に基づく記述であり、客観的事実に反するものであるほか、一般の読者、とりわけ金融機関関係者から見た場合、当社が資金回収を急いでいた、当社がレンダーと有利な交渉ができなかったなどといった当社の信用について消極的な印象を与えかねない、すなわち当社の社会的評価を低下させかねない記述である、名誉毀損(特に信用毀損)であるほか、当社の業務遂行にも支障を生じさせかねない記述であるため、当社の業務を妨害するものである。

(4) 上記掲載されている情報」欄の「4」について
 当社が**年秋から**年*月まで債権回収または損失の拡大阻止について何らの措置も講じていなかったとの当社に対する否定的評価に対する記述であるが、当社が**年*月までSPCに対する提訴を行なわなかったのは、アセットマネージャーとしての当社の立場上、SPCの収益改善を模索し続けたからであり、上記記述は、このような客観的事実を前提とせず、発信者の根拠のない憶測に基づく否定的評価によって、当社の社会的評価(特に債権回収能力に対する評価)を低下させるものであり、名誉毀損(特に信用毀損)であるほか、当社の業務遂行にも支障を生じさせかねない記述であるため、当社の業務を妨害するものである。

(5) なお、本件記事は、既に発行された新聞記事に対する論評であり、新聞記事の発行により当社の社会的評価は既に低下しているため、当社に対する社会的評価がさらに低下することはないとの指摘も予想されるところではある。
 しかしながら、新聞記事が発行されたのは平成**年*月*日であり、現在までに*年*ヶ月以上の期間が経過しているため、新聞記事による当社の社会的評価の低下の効果は既に消滅しているところ、本件記事は、平成**年*月*日から現在までサイト上に掲載されており、現在もこれを閲覧した者に当社の社会的評価を低下させ続けていること、本件記事の影響で、検索エンジンの検索窓に当社の名称を入力する際、サジェスト(オートコンプリート)機能の発動により「***** 訴訟」との表示が自動的になされるところ、当該表示をクリックした場合、本件記事が検索結果の第1順位に登場してしまうため、それまで新聞記事はおろか当社を知らなかった者でさえ、本件記事を閲覧してしまうこと、新聞記事は当社とSPCとの訴訟経過を題材として、不動産流動化事業の問題点を報道するものであるが、本件記事は、新聞記事に掲載された訴訟経過のみならず、それを引用したうえで、発信者の憶測に基づいた当社に対する否定的な評価を記述したものであり、単に新聞記事を転載したものではないことから、上記のような指摘は当たらないことに注意すべきである。

「本件記事の影響で、検索エンジンの検索窓に当社の名称を入力する際、サジェスト(オートコンプリート)機能の発動により「***** 訴訟」との表示が自動的になされるところ、当該表示をクリックした場合、本件記事が検索結果の第1順位に登場してしまう」というのでこのブログが気にいらない、どうにかしろ、と社長あたりが言い出して、顧問弁護士が「今はこういう法律があるので止められますよ」と申立てをした、ということのようです。
(それぞれ(1)(2)・・・の結びの部分がコピペのようになっているのは、弁護士業界では定型化された言い回しなのでしょうか。)

私自身は、そもそもこの記事が出るまで存在すら知らなかった相手方の会社を云々するつもりは毛頭なく、ブログの記載も、不動産の証券化における各当事者の利害関係の対立、ストラクチャーの組成時点で想定されなかった問題が出た場合に利害調整が複雑化してしまうことを指摘しようとしたものです。

こんな七面倒くさい記事を読む人はそれくらい分かりそうなものだと思うのですが。

(2)では

当社が訴訟の当事者であるとの記述は、当社とSPCとの間に訴訟が行なわれていたことを知らない一般人から見ると、当社の社会的評価を少なからず低下させるものである。

と言ってますが、それならもっと一般人向けの日経新聞の記事自体をなぜ問題にしなかったのでしょうか。


(3)については、確かに推測に基づくものですが、名誉毀損にはあたるのでしょうか?

この点、当社の請求自体は、判決によって一定の条件付ではあるものの全面的に認められており、当社の請求は何ら不合理なものではないが、本件訴訟は、不動産流動化案件におけるオリジネーターたる当社からSPCに対する請求という形態であるため、当社のSPCへの請求が認められた場合、必然的にレンダーのSPCへの債権に影響が生じる。
 そのため、仮に、金融機関の関係者が本件記事を閲覧した場合、当社に対する印象が低下する可能性が強く、そのような事態となれば、当社の資金調達に重要な支障が生じうるが、そのような状況は、まさに当社の経済的な側面における評価が低下させられた状態ということができ、上記記述は、名誉毀損(特に信用毀損)である。

って、裁判は公開の法廷で行なわれるわけで、訴訟の存在を知られることが「当社の資金調達に重要な支障が生じうる」ならそもそも訴訟を起こさなければ良かったのだと思いますし、これについても、こんな場末のブログよりは日経新聞のほうが大きな影響力があると思うのですが。

(4)については、

当社が**年*月までSPCに対する提訴を行なわなかったのは、アセットマネージャーとしての当社の立場上、SPCの収益改善を模索し続けたからであり、上記記述は・・・当社の社会的評価(特に債権回収能力に対する評価)を低下させるものであり

と言ってますが、そういう利益相反の状態に陥るからこそストラクチャーはきちんと組み立てなければいけないわけです。
普通はアセットマネージャーの報酬請求権の他の債権との優先劣後関係はアセットマネジメント契約に書くはずですし、上の申立てのようにSPCの収益改善の模索とアセットマネジャーとして報酬が両立しないような仕組みを作っているのであれば、(このブログごときに評価を低下させられるなどという以前に)それ自体が自ら債権回収能力の低さを表わしているように思います。


余談ですが、これを読んだときは、ちょうど風邪のひき始めだったのですが、読み進めるうちにだんだんアドレナリンが出てきて、結局初期症状だけで治まってしまいました。

その点については感謝したほうがいいのかもしれません。

(つづく)


コメント
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