一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

リスク分担とインセンティブのずれ

2011-06-10 | 原発事故・節電・原発問題
関西電力:大企業などに15%節電要請へ…猛暑対策

定期検査中の原発の再稼働に地元の福井県の同意が必要になっていて、県側は安全性の確認に慎重になっているために再稼動のめどが立っていないことが理由です。

この地元合意の条件は当初は情感処理的な意味だったのかもしれませんが、今になっては県知事に安全性確認の責任を負わせることになってしまっているので、知事としては再稼動に合意しにくいという構造になってしまっています。

多分経済界からは「早期復興、景気回復のためにも電力供給の安定を」というような要望が出されると思いますが、原発の地元にとってみれば自分のだけがリスクを負って企業業績や景気回復を支える義理や責任までははないと言うでしょう。

それなら国が安全措置や地元への補助金や万が一のときの補償制度を充実すべ
き、と企業側は主張することになります。

一方で企業は、今回の震災を機にサプライチェーンの見直しをする、といっています。
となると、大規模地震のときにリスクの大きい原発周辺の生産拠点は分散の対象になり、さらに原発の地元の経済にとってはマイナスになります。

「原発を再開するなら地元企業や地元に進出している企業に優先的に供給する」というようなことが出来ればいいのでしょうが、発送電分離をしてもそこまでは出来ないのではないかと思います。(それとも「スマートグリッド」なら「スマート」だから出来るのかな?)
また、企業が「海外に移転するぞ」といっても、もともと生産拠点がない県には脅しは効きません。


このへんの構造的なインセンティブのずれを調整するのが本来の「政治主導」なんでしょうけど、当分無理そうですな・・・


コメント (2)
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