一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『SR サイタマノラッパー』

2010-12-12 | キネマ
映画も面白かった上に個人的にもツボにはまりました。

埼玉県の田舎町を舞台に、ラッパーを目指す冴えない若者たちの奮闘を描いた青春映画。レコード屋もライブハウスもない田舎町で結成されたヒップホップグループ“SHO-GUNG”の仲間たち。彼らは地元の先輩たちの協力を得て初ライブを実現させようとするが・・・という話。

インディーズ映画として内外の賞をとり、単館上映としても各地で人気を博しただけあって、脚本はきっちり作りこまれています。

良くも悪くもエミネムの"8mile"と構成は通じるところがあり(というかヒット作の文法をオーソドックスに踏んでいる)、さらにそこに90年代のデトロイトでなく2000年代の日本のをうまく表現しています。

ツボにはまったのが舞台になった「埼玉の田舎町」。
映画では埼玉県深谷市がモデルの「フクヤ市」が舞台になっています。
深谷といえば僕の子供のころは「深谷ネギ」ぐらいが有名なだけだったのですが、埼玉といっても群馬に近く、東京への通勤は距離的には厳しいところです(各駅停車の多くが手前の籠原止まりだし)。
埼玉でも「さいたま市」の人は埼玉都民が多いのですが、メンタリティはかなり違うと思います。

母親が深谷のもうちょっと手前の熊谷の出身なのですが(昔話にご興味の方はこちらのエントリ参照)
、熊谷でも「東京に出る」という距離感がありました。大宮の次の新幹線停車駅なので神奈川だと小田原くらいの距離感ですね(もっとも熊谷在住の叔父は40年間東京に通勤してましたが)。
しかも絵的な問題もあるのでしょうが、駅のロケは深谷市でも深谷駅より群馬寄りの岡部駅を使っていて、いい感じでローカル感が出てます。
なので、続編
『SRサイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』が群馬が舞台になっているのもわかる感じ。

埼玉県といっても浦和や大宮は開けているので、正確には「北埼玉のラッパー」ですね。


埼玉と群馬の県境は岡部の次の本庄と言う駅なのですが、映画を観て、本庄にいる親戚(遠縁にあたるのですが面倒くさいので以下伯父といいます)を思い出しました。
最初に伯父に会ったのは、僕が小学生のころで、いきなり病院への見舞いでした。
なにしろ地回りのチンピラと喧嘩になって怪我をしたとか。
そんな感じで親戚筋としては困った存在なのですが、商才もあり、仕事も奥さんの家業の食品店を手伝う傍ら脇で小料理屋をやり繁盛させていました。また、芸達者で商工会のカラオケ大会では上位入賞の常連だと自慢してました。
伯父は酒を飲むと東京で一旗あげるという話をしていたのですが、結局東京に進出することはなく、地元でそこそこの成功とそこそこのくすぶりをしながら、今は隠居しています。


映画に話を戻すと、飲食店経営よりはるかにハードルの高いラッパーとしてビッグになろうという若者の話なので当然そんなにうまく話は進まないわけですが、そこの等身大の描き方がいろんなシーンでニヤリとさせられます。
超低予算映画で、セリフなど音がこもって聞き辛い部分はご愛敬でしょう。
役者も素人っぽい演技ですがそれがラストシーンの感動を倍加させています。



エンディングをみて、この映画は池袋のシネマ・ロサがスポンサーになっていたと気がつきました。監督が江古田の日大芸術学部の出身だからかでしょうが、思い入れのある映画館です(シネマ・ロサの思い出はこちら参照)。

そんなこんなでとても楽しめました。


あ、そういう思い入れがなくても面白いですよ。



コメント (2)
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