一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

これが私の生きる道

2009-10-01 | あきなひ

日本レジデンシャル投資法人の「個人投資主様向け決算説明会」に行ってきました。

ニューシティレジデンスの倒産の時に投資口を買っておけば、レアな手続書類とか送付されてきて面白そうだったという反省のもと、スポンサーのパシフィック・ホールディングスの民事再生申立ての際に「入場券」として1口買っておいたのが初めて役に立ちました。


ちょうど
アドバンス・レジデンス投資法人と日本レジデンシャル投資法人の合併契約締結に関するお知らせ
資産運用会社であるAD インベストメント・マネジメント株式会社と資産運用会社であるパシフィックレジデンシャル株式会社の合併契約締結に関するお知らせ
という、アドバンス・レジとの合併が正式調印した後の9月28日に開催されました(実際は逆算したんだと思いますけど)。

会場はお茶の水の東京ガーデンパレスの宴会場。
案内の手紙に

「会場の都合上、本紙1枚につき1名様までのご参加とさせていただきます。」

と強調付きで構えた表現だったのでどんなに大きな会場なのかと期待していたのですが、出席者はキャパ200名ほどの宴会場に約160~170名ほどでした。
参加者の大半がリタイヤした高齢者。


説明は運用会社の高野社長。
アセットマネジメント会社とかによくいる、身なりがパリッとして昨年まではブイブイ言わせてたんだろうな、というような人で、「立て板に水」のうえにカタカナ用語をちりばめて、ややもすると「素人に説明するのは面倒くさい」風な印象を与えかねませんでした。
しかも、たとえば合併の効果として「理想的なバンク・フォーメイション」(何だよそれ?)とか日レジの資産の含み損解消(それって合併の際に時価で取り込むってだけで、合併比率で反映されてる=投資主が負担しているだけじゃん)など、聞き流していると「あれっ」という部分がかなりありました。
こういう威勢はいいけどディテールが・・・のプレゼンもなんか既視感ありでした。


冒頭からおやっと思ったのが、経営不安・投資口価格低迷から合併に至ったことに対するお詫びがなかったこと。

「スポンサーであるパシマネが会社更生を申し立てたために・・・」といきなりスル―して、なかなか強気だなぁと思っていたところ、案の定最後の質疑応答のときに指摘され、投資法人の執行役員ともども改めて頭を下げる、という場面がありました(でもそこで会場から拍手がパラパラと出たように、厳しいつっこみはありませんでした。)。


さらに運用会社は従業員の雇用を維持したまま合併するというのを悪びれずに言っているところも意外。
合併相手先選定の基準の一つに「運用会社役職員の雇用の継続」をあげていたと明言しているくらい全然悪びれていませんでした。
その結果、新運用会社は総勢60人という大所帯になります。
これについてはさすがに「運用会社の高野社長は責任を取らないのか」という質問がありましたが、高野社長は「11月の投資主総会が終了した時点で皆様のご意見を参考にしながら自らの進退を考えたい。辞任して責任をとるという方法もあるが、新会社で業務に邁進することで責任を全うするという考え方もある」と、ここだけは日本のオールドスタイルの経営者のようなことを言っていました(退職金でもごっそりもらえば別でしょうが、せっかく交渉してポストを維持できたんだから普通は辞めないですよね)。
ただ問題は責任問題でなく、合併のシナジーとして運用会社への運用報酬は現在の両者の単純合計よりも少なくなるのかというところがポイントで、ここは投資法人と運用会社が利害が対立するところです。
合併先の選定実務は運用会社が行なうとしても、利益相反の部分は投資法人の執行役員が十分に考慮したうえで判断しないといけないはずで、そこの部分については司会をしている運用会社の社長でなく雛段に座っていた投資法人の執行役員を指名して質問したら面白いと思ったのですが、だれも質問が出ず残念(自分が質問すると「あいつは誰だ」となりそうだったので自粛。)。


あと、一番大事なはずの合併比率についての説明がいい加減だったのが説明会として一番の疑問でした。合併比率の算定根拠とか交渉過程についてはほとんど触れられず、株価の比率やNOIの差などをざーっと話しただけで、あとは「1:1にならずに1:0.6になってしまったのは残念ですが・・・」というわけのわからない説明をしていました。
問題は合併比率が企業価値を反映しているかということのはずです。
少なくとも決算発表の部分で資産の鑑定評価や業績見込みも出しているわけで、純資産法とDCF法と投資口価格をどう考慮したかあたりを簡単に説明すべきだったと思います。これについての質問も出たのですが、ちょっと総論的だったので回答はスル―されてしまいました。
一方で、一般株主から「なんで1:1じゃないんだ」などというつっこみがあり、ちょっと筋を外した展開になってしまいました。(まさか「仕込み」じゃないとは思いますが、議論の焦点をぼかす効果はありました。)


それやこれやで90分くらいで終了。

出席者のほとんどは、怒ってはいるもののニューシティのように上場廃止にならなくてよかったと思っている人が多いようで、質問者も質問というよりは言いたいことを言って溜飲を下げるというものばかりでした(このへんは「物言う株主」リテラシーがまだ育っていないだけかもしれませんが)。
ニューシティの民事再生のインパクトが大きく、投資主にも「ワーストシナリオ」を見せる効果があったみたいなので、合併自体は好意的に受け止められているようです。

印象としては、いいタイミングで生き残る道を見つけたなぁ、という感じでした(お役所もJ-Reitは二度とつぶさないと公言しているようですし)。  



ところで、別の方向で生き残りの道を模索しているファンドがこちら。

ダヴィンチ:ローン期限延長の協議合意できず、23億円損失  

9月28日(ブルームバーグ):不動産ファンドのダヴィンチ・ホールディングスは28日、運用する不動産ファンドで25日に返済期日が到来したローンについて債権者との期限延長の協議で合意に至らなかったと発表した。  

今回、合意が出来なかったのは、ファンドが2006年9月に約2000億円で取得した東京駅八重洲南口の高層オフィスビル「パシフィックセンチュリープレイス丸の内」のオフィス部分に関わるローン。  

ローン契約に基づき、同ビルの処理については、今後は債権者に移ることになる。  

今後のリファイナンスを考えると自殺行為とも取れますが、「逆さに振っても鼻血も出ない」(正確にはあなたに出す鼻血はない)、という開き直りが効を奏するかどうかも見ものです。 
万が一モラトリアムが実施されたら、この事務所ビルを保有してローンを借りているSPCは真っ先に手を挙げたところでしょう。


両者は何をもって「生き残る」としているのか自体が違うのかもしれませんけど。

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