10月12日に建築家の黒川記章が亡くなった。73歳、父と同じ年齢だったとは・・・。
黒川さんが著書の本などは何冊か読んでいて、建物も見に行ったりした。ボクが知っている頃にはすっかりメジャーというか巨匠といわれるくらいになっていた。建物の規模が大きいので遠い人という感覚が強くどちらかというとなじみがうすい。「共生の思想」なども読んだが、同じ丹下健三の弟子にあたる人であれば磯崎新のほうが思想は面白かった。(そんなこと言える立場ではないですが・・・)
そんなことを考えていたのだが、最近たまにくる住宅のコンペを開催している会社のメールを初めてマジマジと見てみた。なぜ事務所に来るようになったのかはわからないが、その中をみてみると、知っている事務所の人たちが載っていた。頑張ってるな~というのが正直な感想。ただし、無料の住宅のコンペにはボクは賛同しかねる。それまでにすごいエネルギーを費やしていて、それが無料で行われていることに対して納得できないからだ。プロに頼むことに関して無料というのはあまりにも酷だからだ。
思えば遠くへきたもんだ~ という感じで、20代の頃、建築家を目指していた頃、希望に満ちあふれていたころ、あの頃から思えばまるで違った方向に自分が向かっているように思う。ただし、これはこれで間違っていないと自分では思っている。人にはそれぞれ役割があり、自分には今やらなくてはいけないと思っていることが一番大切だと思うから。メディアにも載ることもないし、地道にひっそりと事務所を構えてやっているが、少しは世のため、人のためになっていると思っているからだ。
今更、建築家などという名称は自分ではいえない。そんな大それたことはやっていないし、名乗ること自体恥ずかしいし、無理がある。ただ、自分の中の気持ちだけはそうありたいと思う。それは自分の中の何かにこだわることだと思っている。それは何か?と問われるとやはり自分の中では住宅・・・。家族のこと、住むこと、生きること、技術的なこと、・・・。
やらなくてはいけないことはたくさんある。やりたいことはたくさんある。名もない、設計事務所であるが、住居に関してはプロでいたい。クライアントにいわれるがままの住宅をつくるのではなく、少しでも、よりよい方向に、先を行く設計者でいたい。少しでもよい住環境を目指して・・・。先駆的な住宅設計者でなく、別の意味で新しい住宅設計者を目指したい。