Genの思いつ記(Gen建築設計所)

人はいろいろであります。いろいろな日常を思いつくままに記録していく建築設計事務所のブログです。

本の紹介(その9)

2007年10月06日 | ブログ

今日は、自立循環型住宅研究会のグループワーキングだった。昨日の懇親会で仲良くなった人が偶然同じグループだったので話に入りやすかった。やはり懇親会に参加することはいいことだ。内容については後日書くとして、今日は本の紹介。この本は1年ほど前に読んだ本であるが、そのときに感想を書いていたのでここにて公開します。

『森林浴はなぜ体にいいか』   宮崎良文 著  文春新書  693

本の帯部分に、「木の香りをかぐと、血圧が下がる~身近な自然にふれたとき、人の体には何が起きているのか~」と書いてある。著者がはじめに書いているように、この本は主に自然に対して快適と感じる感覚を脳活動や自律神経活動などの生理的データを用いて説明しようと試みた本である。

参考に大項目の目次を表記する。

一、   人と自然の関係

二、   快適性、アメニティ、感性、健康の捉え方

三、   実験データにみる自然と人の関係

四、   木材とダニ

人間は500万年前にヒトとなって以来、その99.99%以上を自然環境下で過ごしてきたと指摘し、現在の生活はストレス状態にあるという。しかし、そのストレス状態を自然は緩和してくれるということを様々な実験からデータ化している。

 

住宅でムクの木などを使う時の効用などがはっきりとデータ化されていて興味深い。また、自然の材料が不快であるという個人的評価があっても生理的にストレス状態になっておらず、むしろ良好なデータを示しているのは非常におもしろい。嗅覚、触覚、視覚、味覚と様々な実験をしてデータがそろっているのは長い間研究してきた成果がでていて、説得力がある。視覚刺激の実験で室内における木材使用率による脳活動の違いのデータなどはあまり木材を使いすぎると飽きる状態になって急激に数値が落ちたりしている等、実際の住宅を考えるとき、参考になりそうなデータもある。(ダニの項目も参考になる)

 

読み終わって、これは日本人特有の数値かも知れないという思いと、部分的かつ短時間のデータだけにこれらが総合的に集まり、長時間過ごす住環境などに対して、どこまで参考にしてよいものかといった疑問もある。しかし、快適性をデータ化して明確にしたことは読むに値する本である。自分の価値観(好み)を明確にすることは生活の質を豊にするため(快適性を確保する)にはやはり必要な要素のようである。自分の身の廻りのものを再確認してみたい。