案外

デンマークには「寝たきり」という言葉がないらしい。
日本は「寝かせられきり」だそうだ。

爺ちゃんのように、足が丈夫な痴呆が一番手がかかるらしい。
丈夫といっても、歩けるというだけよ。
遠くまでは行けない。すり足のようにしてちょこちょこ歩く。
５０ｍも一人では歩けないと思う。

それでも「歩ける」ことがネックになっているらしい。

私は毎日のように病院に行き、暇そうな爺ちゃんの手を引いて歩かせている。
「歩るかな、寝たきりになるよ」って。
でも見ている看護師さんたちは、案外余計なことしてって思っているのかもね。
寝たきりになったほうが、お世話しやすいものね。

このあたりが病院と施設の違いかもしれない。

しかし私が寝たきりと思っていた患者たち。
食事だけはみんな自分で食べている。
これには驚き。食べるという本能があるのね。
やっぱりそこがあるうちは生きられるのね。
キーポイントは食欲なんだ。

中には頭がしっかりしてそうな方もいる。
体は動かなくても、目がしっかりしている。
そういう方は、毎日何を思って生活しているのだろう。こんな病院で（失礼）

あんがい惚けたほうが幸せだよね、って感じる今日この頃。
早い者勝ちだよ。