「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

感情と行動

2016年09月25日 22時09分18秒 | 「DBT実践トレーニングブック」より
 
 圧倒されるような感情をもつ人々は、 コントロールできない行動に苦しみます。
 
 行動が繰り返されるのは、 それらが報われているからです。
 
 感情は 行動を強化するという 報酬の役割を取ることがあります。
 
 例を挙げます。
 
 U子さんは、 職場で腹が立つことがあると、 夫に喧嘩をしかけました (行動)。
 
 夫は U子さんが どんな気持ちでいるかに気付き、
 
 彼女の感情について 話をするのでした。
 
 それは彼女の感情的報酬でした。
 
 U子さんは 故意に傷つけたことに 意識的ではなかったかもしれませんが、
 
 関係ありませんでした。
 
 いつからか、 彼女は自動的に こう考えるようになっていました。
 
 「私は嫌な気分でいる。
 
 だから 誰かを嫌な気分にしなくてはならない。
 
 そうすれば 私の気分は改善される。」
 
 彼女の行動は、 夫による確認という、
 
 ポジティブな (不合理であっても) 感情経験の 報酬を与えてくれたため、
 
 強化され、 繰り返されたのでした。
 
 しかし U子さんの感情が改善されたのは、 限られた間でした。
 
 長期的には、 彼女の結婚生活は、
 
 彼女の感情を確認することの 犠牲になっていたのです。
 
 U子さんと夫は、 彼女の行動の結果として 頻繁に喧嘩し、
 
 彼女の気分を悪化させることになりました。
 
 自分を傷つけるような行動には ふたつのタイプがあります。
 
 自傷行為と、 他の人に強い影響を与えることです。
 
 これらの行動は 繰り返される可能性が高く、 一時的な報酬を与えますが、
 
 その後に長期的な損害がやってきます。
 
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
 訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より
 [星和書店の許可のうえ掲載]
 
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