「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

境界例の人の「境界」(1)

2005年12月06日 21時05分58秒 | ボーダーに関して
 カテゴリー「境界性人格障害」の「境界性人格障害の呼称(2)」(11月30日)に、境界例の人は相手との「境界」を設けることが難しいと書きました。

 愛する者同士は互いの境界がなくなり、溶け合ったような気持ちになります。
 愛情の最大の特徴は「境界がなくなること」だとも言えます。

 心子も愛し合うとき、「ひとつになりたい」という言い方をしていました。
 彼女の究極の一体感への願望を象徴しています。
 そして肉体的にだけでなく、精神的にも一体化することを欲しています。

 心子が僕の愛情が足りないと非難するとき、
「あなたは誰よりも自分の世界を守ろうとする。あなたほど他人を自分の中に入れない人間はいない」
 と言われました。


 また、境界例の人は、社会の様々な「境界」(=枠組み)の設定を嫌います。
 心子も、偽善的な約束事や人の肩書きなどにはとらわれず、権力を傘に着る人間などには怒りをあらわにしました。

 境界例の人は相手と向かいあうとき、社会的立場ではなく生身の人間同士として関わることを欲するといいます。
 しかし、人間は社会的な役割に保護されているという面もあり、常に裸で接すると互いに傷つけ合ってしまい、それを持続するのは苦痛です。

 境界例の人は自分や相手の身を守ることが、極めて困難なのでしょう。

(続く)



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