「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

境界例の人の「境界」(2)

2005年12月07日 21時33分50秒 | ボーダーに関して
 境界例の人と付き合うとき必要なのは、相手との「境界」をきちんと決めておくことだと言われます。
 精神的にも物理的(距離,時間)にも、自分の尊厳や生活を侵されないボーダーラインの設定です

 でも境界例の人はその「境界」を何よりも嫌悪し、死に物狂いでそれを突き崩そうとしてくるでしょう。
 境界例の人の気持ちに共感することと、境界を守ることの兼ね合いは、よくよく頭の痛いところです。

 どうしても収拾がつかないときは、しばらく離れるしかないでしょう。
「時間を置こう」
 心子の情緒が乱れているとき、僕はしばしばそう言いました。

 その間、彼女の悶々とした苦悩がいかばかりのものかと思うと、胸の痛みと己の無力さに苛まれざるを得ません。
 けれども、彼女の心を平静にするにはどんな言葉も功を奏することはなく、ただ常に時間だけが彼女を快復させるのでした。

「君の感情は君のもので、僕には変えられない。でも僕はいつでもここにいて、君の味方だ」
 そういうメッセージを伝え続けることが肝心なのだと思います。

 幼少時に損なわれた愛情によって冒された心を癒すものは、ひたすら愛情でしかありません。
 詰まるところ、人間にとって最も不可欠なものは愛情なのでしょう。



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