(前の記事からの続き)
05年には、 性犯罪の前歴者が 出所時に法務省へ住所を伝え、
それが警察庁に伝達されるという、 「居住地情報提供制度」 が始まっています。
ただし 社会復帰を妨げないため、
居住地確認の際は 周囲への聞き込みは行ないません。
前歴者への接触は 人権的見地から控えられていましたが、
住所把握が不充分なため、 警察庁は積極策に乗り出しました。
再犯の危険性が 高い場合は、
面談して 指導警告や専門医の紹介なども 行なうということです。
その背景には、 刑務所での矯正教育の限界があります。
06年から実施されている 矯正プログラムは、 一定の効果を上げているものの、
依存性が高い性犯罪者は 出所後も
性衝動を抑える訓練を 続ける必要があるといいます。
「幼い女の子を見ると 感情が抑えられず、 無意識に近寄ってしまう」
刑務所で 「性犯罪者処遇プログラム」 を 受けた男は、 そう告白します。
このプログラムは 全ての性犯罪者が対象で、
互いに犯行内容を打ち明けたり、 被害者の手記を読んだりします。
週数回のペースで 自省を促し、 感情抑制の方法を学んだり、
仮釈放中も 受講が義務づけられます。
3年間で千人あまりが受講し、 効果はありますが、 再犯防止に充分ではありません。
出所後の社会生活で、 どのような状況で 性衝動が起きるかを体験しながら、
自己抑制を学ぶ必要があります。
満期出所者も含めて、 継続的に性犯罪者を見守る 公的機関が創設されるべきです。
警察による自宅訪問や面談は、 前歴者に 「見られている」 という 感覚を持たせ、
再犯防止に 効果があると期待されます。
しかし 出所時に住所を申告されなければ、 法務省から警察庁に提供されません。
実際、 制度開始から5年間で、 55人が 「未定」 や 「関東方面」 など
曖昧な申告をしたまま 行方不明になっています。
義務化を含め、 法改正の議論が求められています。
〔 読売新聞より 〕
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