「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

沖縄リカバリートーク (9)

2013年12月11日 21時15分53秒 | 「BPD家族会」
 
(前の記事からの続き)

○ 書くという作業

 心子が夭折して しばらく経って、 僕は彼女との物語を 綴り始めました。

 心子の足跡を残したい, ボーダーというものを知ってほしい という思いからでした。

 結果として 書くという作業は、

 混迷した気持ちを整理してくれるのに 大変役立ちました。

 僕の場合は、 自分の中で落ち着かせることと、 著作として第三者に伝えることと、

 ふたつの段階が あったのではないかと思います。

 前者は、 自分の感情を披瀝して 癒す意味があるでしょう。

 苦しみを抱えた他の方々にも、 有益な作業ではないでしょうか。

 後者は、 さらに適切な距離を置いて 見つめることで、

 体験をきちんと位置づけすることが できたのではないかと思います。

 心子と恋人として付き合ったのは 1年半ほどでしたが、

 心子との どれほど壮絶だった経験も、 今は 豊かな想い出となっています。

○ いま望むこと

 13年前には、 心子の旅立ちを 留めることはできませんでした。

 もっと情報やサポートがあったら、 違う結果に なっていただろうと思うと、

 本当に無念でなりません。

 今は ボーダーのことを語れる場も できましたが、

 それでも ボーダーへの無知や誤解は 今もって絶えません。

 ボーダーに関する 正しい理解やネットワークが もっと広まることを、

 心から願っています。

 今も苦しんでいる ボーダーの人や 家族・パートナーの人たちが、

 少しでも生きやすくなっていくことを、 心子と共に心から祈っています。

 きっと心子は 今も高い所から、 微笑みながら見ていることでしょう。

 本日は どうもありがとうございました。

(以上)