「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

沖縄リカバリートーク (3)

2013年12月05日 21時09分15秒 | 「BPD家族会」
 
(前の記事からの続き)

○ 境界性パーソナリティ障害

 友人の臨床心理士から、 心子はボーダーではないかと 示唆されました。

 ボーダーの本を物色すると、 DSMの診断基準に 心子はほとんど全て一致します。

○ 心子と接するとき

 僕はそれまで ホスピスの勉強をしていたので、

 心子に対しても 受容の態度で臨んでいました。

 ただし、 共感することはせず、

 心の中で境界線を引いて、 巻き込まれないように努めました。

 心子の僕に対する批判は、 あくまでも ボーダーのなせる業であって、

 彼女の本心でもないし 客観的事実でもないからです。

 同じ土俵に立って 共倒れになってしまっては、

 彼女を支えることもできず、 元も子もありません。

 少し時間が経ちさえすれば、

 心子は何事もなかったかのように、 ケロッと元の明るい彼女に戻ったり、

 あるいは 自分の言ったことを 死ぬほど後悔したりするのです。

 また、 心子が どんなに僕を責め立てても、

 一番苦しいのは 心子自身に他ならないのだと、

 僕は常々 自分に言い聞かせていました。

 とはいえ、 心子の非難を受け続けるのは、 本当に過酷なことです。

 境界設定については、 その頃は乏しい情報しかなく、

 彼女の攻撃を こちらから打ち切ることは、 とても恐しくてできませんでした。

○ 主治医のアドバイス

 心子の主治医は 僕の信頼する先生で、 いくつかの助言をいただきました。

 「彼女は 水に浮いた葉っぱのように ゆらゆら動く人だから、

  あなたは杭のように動かないこと」

 「彼女は言葉が達者だが 言葉より行動が重要な人。

  言葉に惑わされず 行動を見るように」

 「要求されても、 できないことはできないと言うしかない」

 「彼女を救うのは愛情だけ」

 専門家のアドバイスは、 非常に大きな支えになりました。

(次の記事に続く)