「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

心に寄り添うケアを (2)

2012年06月25日 20時33分55秒 | 介護帳
 
(前の記事からの続き)

 認知症介護研究・ 研修センターの  「センター方式」 という手法は、

 特に行動障害のある 高齢者に有効です。

 色々な角度から スタッフ全員で本人を観察し、 課題を分析する手法です。

 例えば、 ある方の 24時間の気分の変化を 記録してみると、

 スタッフが忙しい時に 攻撃的になることが分かりました。

 「私を置いて みんな行っちゃった」 など ご本人の言葉を拾い、

 寂しさが隠れていることにも 気付きました。

 心の中にためた 悲しみをはき出し、 心を軽くします。

 「独りぼっち」 と言われたら、 そばにいることが伝わるよう 手を握ります。

 こうしたケアは、

 「パーソンセンタードケア (その人を中心にした介護)」 といいます。

 その人その人の感情に 寄り添ったケアです。

 パーソンセンタードケアは、 専門家だけでなく家族もできます。

 歩き回り (徘徊) をする人は、

 ここには自分の居場所がないと 感じているのかもしれません。

 その思いに寄り添い、 一緒について散歩などしてみましょう。

 ヘルパーや外部の力を 借りることも必要です。

 暴言, 暴力, 歩き回りがあると、 周囲は 「なぜ」 と考えがちですが、

 「なぜ」 をひとまず脇に置いた  「4W1H」 で接します。

 「いつ、 どこで、 誰が、 何を、 どのように」 を 交ぜながら話し、

 「なぜ」 を探していきます。

 歩き回りなら、

 「どこへ行くんですか?」  「誰が待ってるんですか?」  などと聞くうちに、

 心の奥の気持ちに 辿り着くこともあります。

(次の記事に続く)

〔読売新聞より〕