「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

心惹かれる出会いが、 戸惑いに変わるとき

2009年09月29日 19時52分56秒 | 「境界性パーソナリティ障害」より
 
 境界性パーソナリティ障害の人は、 一目見たときから とても印象的で、

 魅力とオーラを 放っていることもあれば、

 放っておけないような 保護本能をくすぐられることもあります。

 繊細で優しい気遣いを 見せるかと思えば、

 突然 常識を超えた ストレートな言葉で 痛いところを突いてきたりします。

 枠にはまらない 新鮮さを感じ、 魅了されていくことも 少なくないでしょう。

 しかも、 あっと言う間に 距離が縮まって、

 いつの間にか 恋人同士のような口をきき、 甘えてくることも多くあります。

 その出会いに 運命的なものさえ 感じることもあります。

 お互いの信頼関係が 深まったと思ったころ、

 突如 不可解な言動に 戸惑いを覚えることになります。

 突然やってくる メールや電話に、

 ときめきよりも 不安と緊張を感じるでしょう。

 いくら慰め、 安心させても、

 5分と経たないうちに 気持ちが揺らいでしまいます。

 相手は 四六時中しばられていると感じ、

 神経をすり減らし、 次第に負担になっていきます。

 境界性パーソナリティ障害の 根本的な問題は、

 愛情への強い飢餓体験に 根ざしているため、

 最も親密で 相手との距離が縮まる 恋愛関係において、

 激しく問題を 露呈しやすいのです。

 恋愛に限らず、 自分が受容してもらえると感じ、

 依存する心地よさを 覚えたとき、 別人のように コントロールが失われます。

 従って、 親切で 思いやりのある人ほど、

 何とか支えようとして、 巻き込まれてやすいのです。

 自分も同じような 傷を抱えていると、

 一種の 「共振現象」 が起きて、 呑み込まれてしまいます。

 そうすると 支えになるどころか、

 疲れ果てて 情緒不安定になってしまいかねません。

〔 「境界性パーソナリティ障害」 岡田尊司 (幻冬舎) より 〕
 
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