「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

ユングの 「あの世」 観 (3)

2009年02月27日 21時41分16秒 | 心理
 
(前の記事からの続き)

 人間の心の 無意識の部分は、 人間の意志では どうしようもないように、

 無意識である 「あの世」も、

 問題を解決したり 変化したりすることはできません。

 それを解決・発展させるために  「この世」 があり、

 我々は課題を持たされて 生まれてきたのだといいます。

「 ユングによれば、 『一なる世界』 は 区別のない世界であり、

 それゆえ 変化や成長ができない。

 限定された存在である 人間のみが、

 葛藤や問題を 解決していくことを通して、

 『あの世』 に方向づけを 与えることができる。

 それゆえに 『あの世』 は、 意識的な人間を 必要とする。

 意識化による 自己実現, 個性化の過程は、

 『あの世』 から 私に与えられた 『使命』 なのである。」

(白田氏のレジュメより)

 正しく言うと、 あの世が我々に 問題を与えているのではなく、

 私たちがあの世に 問いかけるのだといいます。

 この世に生まれて初めて 問題を発見し、 それをあの世に伝える。

 それが 人間の存在意義です。

 人間が無意識に働きかけ、 それによって 宇宙が変化をします。

 宇宙を引っ張っていくことのできるのが 人間なのです。

 自分で問題を見つけて、 自分で何かを為す。

 それがユングの言う  「個性化」 の過程です。

 死ぬことによって 個性化が完成し、

 私が成就・実現したものが 宇宙に還元されます。

 やり残した課題は、 別の私が転生して 取り組んでいきます。

 自分の問題を 全て解決すると、 転生せず 涅槃に入るわけです。


 人間は 役割を持って生まれてきて、

 それを果たしていくのが 生きるということでしょう。

 人間は いくつになっても、 例え どんな境遇でも、

 自分のなすべきことが あるのだと思います。

 課題というのは 何も具体的なものではなく、

 具象的なものを通して成就される 象徴的なものだと僕は思います。

 正義や真実、 誠実さや 優しさなど、 何でもいいのではないでしょうか? 

 それを心に銘記して  「今」 を生きることが 肝要なのだと、

 再認識させられたセミナーでした。
 
コメント
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