「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「帰らない日々」

2008年07月29日 20時24分50秒 | 映画
 
 「ホテル・ルワンダ」 の 監督テリー・ジョージが、

 またひとつ 心に残る映画を 作ってくれました。

( 「ホテル・ルワンダ」 :http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/28004338.html )

 突然の交通事故で、かわいい息子ジョシュを 奪われたイーサン。

 警察の捜査は進まず、しびれを切らせて 弁護士に調査を依頼します。

 ところが その弁護士ドワイトは、ジョシュをひき逃げした その張本人だったのです。

 イーサンは その事実を知りません。

 ドワイトは現在 妻と別れ、息子ルーカスと面会することを 最大の喜びにしています。

 ルーカスと 会えなくなることが恐くて、逃げてしまったのです。

 イーサンの妻グレースと 娘のエマは、それぞれに悲しみと 罪悪感を抱えています。

 しかし 父親と母親では 悲しみ方や、犯人への怒り方が異なり、

 きしみが生じていきます。

 ひとつの不幸が、また新たな不幸を 生み出していってしまう。

 何とやりきれないことでしょう。

 ドワイトも 罪責感に駆られ、自首を決意しますが、

 いざとなると 僅かなタイミングのずれで 言い出せません。

 今一歩の強さが 持てないのです。

 ふたつの家族、二人の父親が、それぞれに苦しみながら、

 崩壊の危機にさらされ、懸命に踏み出していきます。

 卑怯なひき逃げ犯が 今ものうのうと生きていることに、憎悪をかきたてるイーサン。

 真実を言い出せない 罪意識に押しつぶされそうになる ドワイト。

 やがてイーサンは、ドワイトが真犯人ではないか ということに気付きます。

 そのとき、彼が取った行動は……。

 予想できない 旋律の展開に息を呑みます。

 緊迫で胸が高鳴り、「サスペンス」 とは、

 こういうシーンのことだと 思わされました。

 そして ラストシーン。

 あともう一押しがあれば と残念でしたが、

 終わったあとも ズーンと胸に迫るものがあり、

 重いテーマを 投げかけられた作品でした。