「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「無意識の彷徨」 (19)

2007年05月08日 22時42分49秒 | 車椅子社長/無意識の彷徨/コンビンサー
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/47369496.html からの続き)
  

○夜空
  

○街景/昼
  

○警察署・外景
 

○同・心理課・窓の外

  窓から部屋のなかが見える。
  立っているなつみと、椅子に座っている
  裕司。
  

○同・中

  なつみが裕司に催眠療法を行っている。
  テーブルはどかされ、なつみは裕司の横
  に立っている。
  軽く目を閉じている裕司。
  友辺がそっとドアを明けて入ってきて、
  脇に控える。
なつみ「………裕司くん、歳はいくつ?」
裕司「(子供の言い方で)……んとね、9才
 ……」
なつみ「今どこにいるのかな?」
裕司「……踏み切り……電車の……」
なつみ「(裕司に)何か見える?」
裕司「……う、ん……お母さんが……」
友辺「………」
なつみ「お母さん、どうしてる?」
裕司「(眉をひそめる)………足が……抜け
 ない……」

○フラッシュバック

 〔以下、フラッシュバックでは則子・裕司
  をロングで見せない(則子と裕司の位置
  関係を描かない)。
  則子のアップで畳みかけるように。〕
  線路にブーツの踵を挟まれ動けない則子。
  必死で足を抜こうとする。
  能面のような裕司(9才)の顔。

○心理課

裕司「……ああ……(顔が恐怖に歪む)」
なつみ「どうした? 何があったの?」
  裕司の体が震える。

○フラッシュバック

  裕司の能面のような顔。
  足を抜こうとする則子。
  電車の警笛が聞こえる。
  はっとして振り返る則子。
  警報機。向かってくる電車。
  則子、ますます焦ってもがく。
  警報機。電車が轟音をたてて迫る。
  警笛。急ブレーキの音。
  断末魔の則子。
  目の前に突進してくる電車。
  無表情の裕司。

○心理課

裕司「ああ……ッ(両手をもがくように動か
 す)」
なつみ「裕司くん……!?」
  緊張して見ている友辺。
裕司「お母さん……!!」

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/47422983.html