「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「車椅子社長・猛烈ケアビジネス」(14.最終回)

2006年11月17日 19時15分49秒 | 車椅子社長/無意識の彷徨/コンビンサー
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/42320802.html からの続き)

 病院のベッドで 眠っている不動。

 包帯が痛々しい。

 不動が 意識を取り戻すと、美由,シンシア,啓輔が見守っている。

 道子も座っている。

 シンシアは 不動に抱きつき、啓輔は 頭を下げて礼を述べる。

 美由は 不動をすっかり見直して、今まで反発していたことを謝る。

 シンシアは、この人は自分の命を懸けても お客様を守る人だと話す。

 不動は、儲けさせてくれるお客を 死なせるわけにはいかないと うそぶく。

 微苦笑する美由。

 啓輔は 道子にも 不動に礼を言うよう促す。

 見ると、道子の手が 土で汚れている。

 さっきは道端で 何をしていたのかと 道子に尋ねる。

 道子は ごそごそと懐を探り、何かを持って 啓輔に差し出す。

 訝る啓輔。

 道子の手を開くと、中には 四葉のクローバが握られていた。

「これを探していたんですか?」

 と聞く美由。

 啓輔は驚く。

「まさか……俺が、泣いて 『元に戻して』 って言ったから……?」

 はっとする美由。

 啓輔は クローバを受け取って 道子を抱き締める。

「お袋……今のままでいいよ。

 もう どこへも行かないで、ただ、いてくれるだけでいい……!!」

 胸が一杯になる 美由たち。
 

 美由は 不動の車椅子を押して、病院の庭を散歩する。

 啓輔が 介護福祉士学校へ通うことにしたそうだと、不動に話す。

 啓輔は経験を生かして、将来は 人の役に立ちたいという。

 啓輔は 新しい生き甲斐を見つけて 生き生きしてきた。

 人間はどんなときでも 頑張っていけるということを、

 啓輔は 不動から学んだという。

 美由も 不動から大事なことを 教えてもらった。

 ビジネスは 決してクールなものではない。

 ビジネスには 理念が必要だ。

 理念とは、人の心なんだと。

 不動は 怪我が治るまで、美由に 身辺の世話を命ずる。

「たっぷり こき使ってやる。

 これから楽しみだ」

 と 薄ら笑いをする不動。

 美由は ぞっと身震いするのだった。

(終)