「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「車椅子社長・猛烈ケアビジネス」(4)

2006年11月07日 17時00分51秒 | 車椅子社長/無意識の彷徨/コンビンサー
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/41986875.html からの続き)

 美由は、啓輔に 訪問看護サービスを提供することを 提案する。

 不動の部屋へ 報告に行くと、不動は 車椅子の前輪 (小さいタイヤ) を上げて、

 後輪だけで くるくる動き回ったり、ボールを ドリブルしたりしている。

 呆気に取られる 美由。

 美由に気付いた不動は、ボールを 美由の頭すれすれに 投げつける。

 美由は思わず 首をすくめる。

 不動は笑いながら

「練習だ」

 と言い、美由に 用件を尋ねる。

 美由が 啓輔のことを話すと、不動は 美由にパンフレットを渡す。

 SCSの サービスの種類と 料金の一覧表だ。

 介護保険で受けられる 最低限のサービスに加えて、

 入浴のとき どこまで洗うか、掃除は どこまでするかなど、

 実に事細かく 料金が決められている。

 唖然とする 美由。
 

 シンシアが啓輔に パンフレットの内容を 丁寧に説明し、

 啓輔は 家計と相談しながら サービスを決めていく。

 美由は あまりにビジネスライクな 契約の仕方に、大いに疑問を持つ。
 

 美由とシンシアが 啓輔の家へ 訪問介護に行く。

 啓輔は 道子のトイレの介助の 仕方も分からず、

 おむつを汚して 大変なことになっている。

 シンシアと美由は 優しく道子の介護をし、荒れた部屋の掃除や 食事の支度をする。

 啓輔は 初々しい美由を気に入り、

 美由は 啓輔の話し相手をしてあげたいと シンシアに申し出る。

 でもそれは 今日の契約に入っていないので

 追加料金を もらわなければならない、とシンシアは言う。

 納得がいかない美由。

 目の前に 困っている人がいるのに、放っておくのがケアなのか と。

 しかし 次の訪問先もあるので もう行かなければならない。

 後ろ髪を引かれる思いで 美由はその場を後にする。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/42057955.html