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「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

空虚 (2) (空虚を満たすには)

2008年05月26日 21時23分07秒 | 「BPDを生きる七つの物語」より
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54406963.html からの続き)

 精神科医の中には、精神疾患は 脳に原因があると考え、

 薬物療法を行なう人が 少なくありません。

 彼らにとって 症状とは病理学的なもので、

 治療によって 根絶されるべき 「悪」 とされます。

 それに対して 心に焦点を当てる医師は、

 心の病気を 内的な苦悩の 結果であると考えます。

 彼らはコミュニケーションによって、

 患者の全ての人生経験を 理解することを 治療のゴールとします。

 治療とは癒しであり、病根の切除ではありません。

 治療の中心は、BPDの人が 目的意識を引き出す 手助けをすることです。

 患者自身が、自分の存在に 意義を感じ始めるとき、空虚は満たされていきます。

 家族やパートナーの人は、BPDの人が どんなに大切な人であるかを

 強調することで、彼らの達成感を サポートできます。

 ユーモアもまた 有効なすべで、バランス感覚を 取り戻すのに役立ちますす。

 体を動かすエクササイズは、エンドルフィンを放出し、抗うつ作用があります。

 リラクゼーションや、美しい景色を 眺めたりするのもいいでしょう。

 大きな自然と 触れることでも、

 世界の歓びを感じることが できるのではないでしょうか。

 脳に刺激を与えることも 必要です。

 読書や ニュースに関心を持つこと、ゲームなどでも構いません。

 自助グループに参加したり、社会と繋がることも 孤独感を満たす助けになります。

 また瞑想や内省,礼拝なども、心の奥底を満たすための 意味を与えます。

 必ずしも 宗教的な信仰は なくても構いません。

 無神論であっても、哲学や思想を 深めることができます。

〔 「BPDを生きる七つの物語」 (星和書店) より 〕
 
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空虚 (1)

2008年05月25日 22時28分10秒 | 「BPDを生きる七つの物語」より
 
 BPDの人にとって 「空虚」 とは、

 無力感や疎外感によって、全てが消耗されつくしてしまう 感覚です。

 混乱の中で 自己を失う恐怖が募り、心が麻痺状態になって、

 行動もできなくなってしまいます。

 衝動性,抑うつ,怒りと比べても、最も修正がきかない 感情であるとされます。

 心子もそうだったように、自分の存在意義を失い、気分が不安定になり、

 自死に至ってしまうこともあるほど、底なしの喪失感です。

 ハムレットは 「空虚」 を、世界中のどんなものよりも 耐えがたいと嘆いています。

 空虚は 最も直面化するのが 難しい症状です。

 それは家族やパートナー,治療者についても 言えるでしょう。
 

 BPDのうつ現象は 空虚と孤独によるものであり、

 うつ病のそれとは 明確に区別されます。

 うつ病の人は、罪悪感,悔恨,引きこもりの症状を、より 経験しているといいます。

 それに対して BPDのうつの特徴は、

 怒りと破壊衝動性,自己嫌悪,人間関係に対する 自暴自棄です。

 幼児期の基本的な欲求が 満たされないと、

 そのフラストレーションが 成人期のうつをもたらします。

 養育の欠乏のために、安全や慰謝のイメージを 育むことができず、

 主観的な空虚感に 陥ってしまうのです。

 心子は 生まれたときの足の障害のために、親が抱くことを 医師に止められ、

 1年間たった一人で 寝かされたままでした。

 赤ん坊が 最もスキンシップを 必要とする時に、それを得ることができず、

 安心して生きていていいんだという、

 この世界に対する 基本的な信頼感を 抱くことができなかったのです。

 過去の失望や トラウマがあるため、庇護されることに 恐れを持ったり、

 世界観や価値観を 確立することができなかった結果、

 空虚というブラックホールを 作ってしまいます。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54422134.html

〔参考文献: 「BPDを生きる7つの物語」 (星和書店) 〕
 
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気分の不安定さ (6) (他のパーソナリティ障害との関連)

2008年05月19日 22時20分15秒 | 「BPDを生きる七つの物語」より
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54293725.html からの続き)

 演技性パーソナリティ障害は、極端に感情的で、自作自演をし、自分の魅力にこだわり、

 身体的な外見に関心が高く、急激に移り変わる 浅薄な感情表現が特徴です。

 怒りや自己破壊性という点で、BPDと演技性パーソナリティ障害は 区別されます。

 自己愛性パーソナリティ障害とBPDは、過度の怒りや、特権的で誇大な自己認識,

 批判に対して過敏という 特性を持っています。

 しかし 自己愛性パーソナリティ障害は、

 BPDにない 尊大さや優越感,権利意識を示します。

 反社会性パーソナリティ障害と自己愛性パーソナリティ障害は 男性に多く、

 BPDと演技性パーソナリティ障害は 女性に多く見られます。

 遺伝的な違いが 関与していると言われています。

 しかし 診断は社会的,文化的な影響も受けるでしょう。

 例えば、ある人が パートナーと喧嘩して飛び出し、酒を飲んで暴れたり、

 飲酒運転で事故を起こして、警察に捕まって泣きちらし、死にたいとわめいたとします。

 この人が女性なら、病院へ連れて行かれて BPDの診断を受け、

 男性なら反社会性パーソナリティ障害と 診断されることがあるかもしれません。

 反社会性パーソナリティ障害とBPDは、怒り,衝動性,無謀さが特徴です。

 子供時代の虐待,不運な人間関係,物質乱用という類似点があります。

 反社会性パーソナリティ障害は、

 良心や情緒が 欠如しているところが、BPDと異なる点です。

 反社会性パーソナリティ障害の人は もっと攻撃的で、

 養護者を求めるより、利益や力を得ようとします。

 ところが、診断が違っていても、治療は共通しています。

 うつ病のSRI,双極性障害の抗精神病薬,衝動性への気分安定薬が、

 BPDに とても役立つことがあります。

 そのため 医師の誤診は補強されてしまいますが、

 正しい診断が なされていくことが求められます。

〔 「BPDを生きる七つの物語」 (星和書店) より〕
 
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気分の不安定さ (5) (他のパーソナリティ障害との関連)

2008年05月18日 21時36分40秒 | 「BPDを生きる七つの物語」より
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54084455.html からの続き)

○BPDと 他のパーソナリティ障害

 パーソナリティ障害の診断基準の多くが、

 他のパーソナリティ障害の 基準と重複しています。

 そのため、BPDはしばしば 他のパーソナリティ障害と共存したり、

 誤診されたりします。

 人の言動を勘繰ったり、怒って反撃したりする傾向は、

 妄想性パーソナリティ障害と共通しています。

 失調型パーソナリティ障害も、異様な知覚体験,妙な信念など、

 BPDの特徴を持っています。

 ただBPDの人は、これらのパーソナリティ障害ほど 風変わりではなく、社交的です。

 回避性パーソナリティ障害の人は BPDの人と同じように、

 人に批判されたり 拒絶されることに過敏です。

 BPDの人と異なるのは、社会的な関わりを避けることです。

 依存性パーソナリティ障害の人も、他者に庇護されるためには 極端なことも厭わない,

 一人で生きていけないと 病的に恐れる,

 ひとつの関係が終わると 次の関係を執拗に求める,

 自分が取り残されるという 非現実的な恐れを持つ、などの特徴があります。

 しかしBPDの人は、気分変動,怒りの爆発,自己破壊性を示すのが 特徴です。

 BPDは B群 〔*注〕 のパーソナリティ障害と 関連があります。

〔*注: 10種類のパーソナリティ障害は、A群,B群,C群に分類されます。

 A群は、奇妙で風変わりに 見えることが多いものです。

 妄想性パーソナリティ障害,シゾイド (統合失調質) パーソナリティ障害,

 スキゾタイパル (失調型) パーソナリティ障害があります。

 B群は、演劇的,情緒的で ドラマチックに見えることが 多いタイプです。

 反社会性パーソナリティ障害,境界性パーソナリティ障害,

 演技性パーソナリティ障害,自己愛性パーソナリティ障害が含まれます。

 C群は、不安や恐怖を 感じているように見えます。

 回避性パーソナリティ障害,依存性パーソナリティ障害,

 強迫性パーソナリティ障害です。

 書庫 「パーソナリティ障害が分かる本」 参照
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/folder/1468205.html?m=l&p=2 〕

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54311392.html

〔 「BPDを生きる七つの物語」 (星和書店) より〕
 
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気分の不安定さ (4) (他の疾患との関連)

2008年05月05日 22時50分22秒 | 「BPDを生きる七つの物語」より
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54073186.html からの続き)

○BPDと統合失調症

 BPDや統合失調症の人は、

 幻覚,妄想,偏執,その他の精神症状を 起こすことがあります。

 共に、自傷や自殺に 至る場合もあります。

 統合失調症の場合は 精神症状の結果ですが、

 BPDの精神症状は たいてい一時的で、意図的な行動です。

 また、統合失調症の人は 情緒や表情が乏しく、人と関わることを避けます。

 ここが双方の 大きな違いでしょう。

 一般的に、両者の診断が 同時に付くことはありません。

○BPDと解離性同一性障害

 BPDの人は、突然失踪して その間の記憶がなかったり、

 非現実感を 体験したりすることがあります。

 解離性同一性障害の患者の大半は、子供時代に 過酷なトラウマがあり、

 BPDの診断を伴っています。

 しかし BPDの患者はほとんど、解離性同一性障害の 診断基準を満たしません。

 多くのBPDの人は、自分のパーソナリティの 特異な部分に気付いていますが、

 完全に意識が分離したり、独立した別人格の存在を知らない ということはありません。

 心子は 広義の解離性同一性障害立ったと 主治医に解釈されました。

 それぞれの人格の意識が 繋がっているため、記憶を共有しており、

 外からは 人格が変わっていることは分かりません。

 しかし 後に気付いたのですが、心子は普段は 自分のことを 「あたし」 と言い、

 怒っているときなどは  「私」 と言っていました。

 これは 人格の交替だったのでしょうか。

○BPDと衝動的・強迫的行為

 BPDの人は、内的な不安を 解消するためには、

 行動で表現するしか 手段がないと感じています。

 怒りの爆発,強迫的な賭け事,過食,強迫的な 抜毛や自傷なども、

 内面的な緊張や動揺を 軽くするための方法です。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54293725.html

〔 参考文献: 「BPDを生きる7つの物語」 (星和書店) 〕
 
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気分の不安定さ (3) (他の疾患との関連)

2008年05月04日 23時20分36秒 | 「BPDを生きる七つの物語」より
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54055244.html からの続き)

○BPDと摂食障害

 過食症は BPDの摂食障害の中で、一番よく見られるものです。

 過食-排出 (嘔吐) は、

 緊張を和らげる必要があるとき、食べ物で 自分を満足させようとして起こります。

 これに続く 恥の感覚や自己嫌悪が、排出 (嘔吐) を促します。

 肥満に繋がる過食は、性的虐待の体験と関連があり、

 性的関係を回避する働きを していることがあります。

 過食症は 拒食症よりも衝動的で、拒食症の人は より強迫的で完全主義です。

○BPDと心気症,身体的障害

 多くのBPDの人は、自分を世話してくれる人を 求めています。

 身体症状を訴えて、医者の注意を 引こうとするかもしれません。

 心子も、腰痛や足の痛みなどを 訴えていましたが、

 病院で検査しても 原因が分からないことがありました。

 また 高脂血症のため、40才までに 心臓発作で死ぬと 医者に宣告されている

 と言っていましたが、僕と一緒に 病院へ行ったときには、

 それはないと 医者から言われました。

 ただし 心子の主治医の先生は、

 心の傷が 身体症状となって現れているのだ と言っていました。

 またBPDの人は 不健康な生活をする傾向があり、

 さらに医学的な治療が 必要となることがあります。

 飲酒,喫煙があって、運動をせず、家にこもることが多く、

 糖尿病,関節炎,高血圧,肥満,背中や腰の痛みなどが 生じることがあるでしょう。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54084455.html

〔参考文献: 「BPDを生きる7つの物語」 (星和書店) 〕
 
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気分の不安定さ (2) (他の疾患との関連)

2008年05月03日 22時23分07秒 | 「BPDを生きる七つの物語」より
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54042256.html からの続き)

○BPDと双極性障害

 躁うつ病を含む 「双極性障害」 も、

 衝動性,怒り,気分障害など、BPDと共通点があります。

 ボーダーを知らない人からは、

 ボーダーのことを 「躁うつ病?」 と聞かれることも 珍しくありません。

 双極性障害の気分変動は たいてい無意識に生じ、

 周りの状況には ほとんど関係がありません。

 他者に対して鈍感で、ここがBPDと 最も異なる点です。

 また双極性障害の人は、気分変動の間も 通常の生活ができます。

○BPDとPTSD

 外傷後ストレス障害 (PTSD) も、

 BPDと合併していることが多く、混乱を招きます。

 両者とも子供時代に 虐待やトラウマ体験をしています。

 PTSDの患者は フラッシュバックに苦しめられ、

 この再体験や悪夢が 繰り返されることが、この症候群の特徴です。

 BPDは ひとつのトラウマに 占められることは少なく、もっと多様です。

 心子もそうでしたが、父親の死や前夫の自殺の悪夢に、飛び起きたことはありました。

 PTSDは トラウマの原因となった状況に反応し、

 BPDは 見捨てられる状況に強い反応を示します。

○BPDと物質乱用

 BPDと物質乱用は 共存することが多く、

 一方が他方を悪化させると、自殺の危険性が高まってしまいます。

 BPDの人の薬物乱用は、他の薬物常用者とは違い、

 衝動的で 特定の薬物を求めるということはしません。

 手に入るものなら何でもよく、

 薬自体を欲するというより、社会との接点を求めての ことなのかもしれません。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54069764.html

〔参考文献: 「BPDを生きる7つの物語」 (星和書店) 〕
 
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気分の不安定さ (1)

2008年05月02日 23時25分31秒 | 「BPDを生きる七つの物語」より
 
 感情の不安定さ (気分変動) は、BPDの最も際立った 症状のひとつです。

 うつ,自己嫌悪,怒り,不安,気分の高揚 などの感情は、

 外からの刺激に対して 突然変化します。

 他の精神疾患と比べて BPDの気分変動は、

 一日のうちに 頻繁に起こり、しかも それが予測できない ということが特徴です。

 その違いをはっきりさせるため、「DSM-Ⅳ」 のBPD基準では、

 反応性,エピソード的,一過性ということを 強調しています。

 心子と僕の場合も そうでしたが、激しい感情の変化に “腫れ物に触るように”

 接するため、とてもストレスを感じるものでした。
 

 BPDは他の疾患と 共通点があるので、診断を難しくしています。

 BPDが 他の病気の 原因や結果になっていることもあります。

 そのため、他の病気の症状を カモフラージュしたり、

 BPDの症状が カモフラージュされたりしてしまいます。

 BPDを合併しているときは、予後に 良くない影響を与えるので、

 BPDを認識しておくことは 重要です。

○BPDとうつ病

 BPDに合併する 一番多い疾患は  「うつ」 です。

 うつ病の診断のときに、衝動性,怒り,人間関係などを考慮しないと、

 BPDが 見落とされるかもしれません。

 逆に 言動だけに重きを置くと、うつ病がBPDの陰に 隠されてしまいます。

 ふたつの障害は かなり重なり合いますが、違いもあります。

 BPDの人は より衝動的で、波乱が大きく不安定です。

 うつの人は 強迫的な心配をする人が多く、

 自意識が強くて 気分変動はほとんどありません。

 対人関係も 長く続く傾向があります。

 うつ病の人と比べて BPDの人は、より自己批判的になりがちです。

 単独のうつ病の7~8割は 治療が功を奏しますが、

 BPDを伴う うつ病は、回復の可能性が 半分になってしまいます。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54055244.html

〔 参考文献: 「BPDを生きる7つの物語」 (星和書店) 〕
 
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自殺的行動と自傷行為 (5) (対処法)

2008年04月29日 23時04分05秒 | 「BPDを生きる七つの物語」より
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/53978254.html からの続き)

 自己破壊的行為への対処は、次のようなことがあります。

○別の方法を選ぶ

 自傷行為の疑似体験。

 氷の塊を握る。腕に赤いマジックペンを塗る。

 スポーツなど身体的活動。入浴でリラックスする。

○サポートシステムを利用する

 自殺のホットラインへの電話。

 友だちやサポートグループ。

○安全な環境

 刃物など危険な物は 鍵をかけてしまい込む。

 処方された薬は 別の人が管理する。

○家族を守る

 子供や家族は、危機があったら非難する場所を 準備しておく。

○自殺の脅しへの対応

 自殺の脅しを 常には真剣に受け止めず、専門家に助けを求める。

〔 「BPDを生きる七つの物語」 (星和書店) より 〕


 もう少し詳しい記事を 下記に書いてあります。
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/48286618.html
 
(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54740253.html
 
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自殺的行動と自傷行為 (4) (自殺のリスク要因)

2008年04月28日 23時27分29秒 | 「BPDを生きる七つの物語」より
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/53960820.html からの続き)

 BPDの人は 危険なことに魅力を 感じるところがあり、

 そこから 自傷行為も生じています。

 怪我や死に対して  「そうなったら、なったまで」 と思っており、

 繰り返される 消極的な自殺的行為に 繋がっていきます。

 自傷行為をする人は 自殺企図をする人に比べて、

 自分の行為が 命の危険を招くと 思っていません。

 しかし 自傷行為があって 自殺企図をする人は、

 より抑鬱的で 不安が強く衝動的で、

 自殺的行動が 死に至る可能性を 軽く見すぎる傾向があります。
 

 自殺のリスクを 高くする要因には、以下のようなものがあります。

1.過去の自殺企図

2.入院の経歴

3.持続的なうつの既往

4.絶望感

5.衝動と攻撃性

6.反社会的性質との合併 (受刑者に多く見られる)

7.アルコール または 薬物への依存

8.親からの何らかの虐待

9.失業や たび重なる転職

10.高学歴

11.前青年期

12.老年期

13.子供時代の深刻な虐待 (とくに性的な)

   早い時期の喪失

14.経済的な不安定さ

15.定住地がない

16.犯罪歴

17.不充分な、あるいは 一貫性のない精神科的ケア

 心子は、1,3,4,5,8,9,10,13,14.が 該当しました。

 また 心子の特異なエピソードは、亡き父親との 死の約束という呪縛でした。

 これも 彼女の心的真実でしたが、心子にとっては 紛れもない事実だったのです。

〔 「BPDを生きる七つの物語」 (星和書店) より 〕
 
(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/53994177.html
 
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自殺的行動と自傷行為 (3) (自傷行為の果たす役割)

2008年04月27日 21時29分53秒 | 「BPDを生きる七つの物語」より
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/53945670.html からの続き)

 BPDの人の自傷行為は、以下のような役割を 果たしていることがあります。

○身体的な痛みを感じること

 これは自分を傷つける 最も一般的な理由とされます。

 BPDの人は、現実感がなく疎外された 感覚を抱いていますが、

 自傷行為は現実を引き戻すのに 役立つと考えられます。

 空虚感や心理的な苦痛を 紛らわすのかもしれません。

 また痛みは、自分を罰するために 使われることもあるようです。

 自己嫌悪の表現として、自分自身に痛みを与えます。

 自傷行為を繰り返すと、痛みの感覚は消えてしまいます。

 自分が 出血や火傷などを眺めるだけで、慰めになっていくといいます。

○緊張を和らげること

 しばしば自傷行為は、不安や緊張が 高まったあとに起きます。

 血が流れ落ちるのを 見ていると、体から緊張感が引いていき、

 リラックスして 解放感に浸ることができます。

○コントロールを確立すること

 多くのBPDの人は、自分の人生のコントロールを 失っていますが、

 自傷行為はある程度 コントロールが可能です。

 どのくらい深く切るか、注意深く試したりしています。

 自傷に没頭している間、痛みに耐える能力に 自尊心を感じているかもしれません。

 強い衝動的な感情を コントロールするために、

 痛みを利用していることも 考えられます。

 また自傷行為は、他人を操作するためにも 行なわれます。

 助けてほしいサイン、怒りの表現としても 役に立っています。

○安心を確保すること

 自傷行為は 罪深い喜びでもあります。

 欲求不満を感じたとき 当てにできる行為で、秘密の安心を与えてくれます。

○エクスタシーを求めること

 自傷行為で興奮する人もいます。

 スリリングな感覚や 高揚感を体験し、性的快感を感じる人もいます。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/53978254.html

〔 「BPDを生きる七つの物語」 (星和書店) より 〕
 
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自殺的行動と自傷行為 (2)

2008年04月26日 21時03分26秒 | 「BPDを生きる七つの物語」より
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/53851827.html からの続き)

 自傷行為をする人は、子供時代に 過酷な喪失や虐待を 経験しています。

 性的虐待を受けたBPDの人は、そうでないBPDの人に比べて、

 自殺企図が 10倍以上に上ります。

 トラウマが脳の発達を 妨げている可能性もあり、

 BPDの人の中には 脳波に異常を示す人もいます。

 自傷が行なわれるときは、

 自分の感情や他人から 離れてしまったかのように感じられます。

 この感情の麻痺から 逃れるために、自傷が試みられます。

 自傷行為をしているときは、体内のエンドルフィン系物質が 放出されます。

 それによって、不安が和らぐ,多幸的になる,痛みを感じない,

 依存的になる,解離的になると言えます。

 痛みの刺激は エンドルフィンを分泌し、モルヒネのように 痛みを和らげます。

 切迫した自殺企図をする人は、入院の必要があります

 頻繁に自傷行為をする人も 危険です。

 しかし、慢性的に自殺企図をする人は、入院して得られるものは 余りありません。

 入院によって 依存を長引かせ、自分の治療に責任を持つ 妨げになるとしたら、

 長期入院は望ましくないでしょう。

 折衷案はデイケアです。

 日中は 病院の活動に参加し、夜は自宅で過ごす という方法です。

 自傷行為や自殺行為に対する 薬物治療には、

 セロトニン再取り込み阻害薬 (SRI) が 有効です。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/53960820.html

〔 「BPDを生きる七つの物語」 (星和書店) より 〕
 
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自殺的行動と自傷行為 (1)

2008年04月20日 21時19分10秒 | 「BPDを生きる七つの物語」より
 
 BPDの症状の中で、最も 理解や対応が難しいのは 自傷行為,自殺企図です。

 心子の場合も 然りでしたし、

 現在 ネットで繋がっている BPDの人たちの中にも、そういう人がいます。

 BPDは、診断基準に、「繰り返し、故意に、自らに痛みを与えるか、

 または、自殺か自殺企図のどちらか、或いは その両方が認められる。」

 という定義が含まれる、唯一の精神疾患です。

 15~29才で 自殺をした人のうち 3分の2が、BPDと診断されました。

 BPD患者の70%以上に、自殺企図や自傷行為が見られます。

 けれども 他のパーソナリティ障害では 17.5%です。

 BPDの人の自殺既遂率は 10%に上ります。

(残念ながら、心子もこの中に 入ってしまいました。)

 一般の人の 1000倍だといいます。

 BPDの人は 怒りを感じていますが、自傷行為をする人 (するとき) は、

 それを 「外」 に向けて 表現することができません。

 自傷行為は 「内」 に向けた 怒りであると言えます。

 自傷行為には 様々な理由がありますが、衝動的な行動として 始まったものが、

 繰り返すうちに 不安を和らげる 儀式になってしまいます。

 また 自殺的な行動は、必ずしも 死にたいという願望ではなく、

 苦しみを訴えたり 助けを求める 手段だったりします。

 自殺という選択肢は、苦しみを慰めてくれる カードでもあります。

 辛いときでも、「死ねば 痛みも終わる」 と考えると、

 気持ちが落ち着くといいます。

 それはBPDの人にとって ただひとつ、

 自分の人生を コントロールできることになるのです。

 自傷行為は、何年も続く 慢性的なものです。

 一方 自殺の危険性は、長年続くとしても、いずれは減少していきます。

(続く)

〔 「BPDを生きる七つの物語」 (星和書店) より 〕
 
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破壊的衝動性 (2) (未熟な防御規制)

2008年04月19日 22時57分11秒 | 「BPDを生きる七つの物語」より
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/53824253.html からの続き)

 BPDの人は フラストレーションに対して、

 未成熟な防御規制で 反応してしまいます。

 防御規制には 次のようなものがあります。

○行動化

 不愉快な感情に対処するため、自己破壊的な行為に出ます。

 飲酒やセックスなどがあります。

○退行

 ストレスを感じると、子供っぽい振る舞いをします。

○抑制と回避

 初対面の人に 不安を感じると、引っ込み思案になり、関係を避けます。

○受動的攻撃性

 怒りをカモフラージュして 間接的に示します。

 わざと遅刻したり、約束を忘れたことにして、仕返しをしたりします。

○分裂

 スプリッティングを起こして、全て悪いと決めつけ、関係を切ってしまいます。

○投影と投影性同一視

 自分の行動を 人のせいにします。
 

 以上のような 防御規制に対して、成熟した対処方法があります。

○抑圧

 不快なことを 意識的選択的に避けます。

 スカーレット・オハラのように、「明日のことは 明日考える」

○昇華

 不快な感情を 受け入れられる方向に変えます。

 激しいスポーツや エクササイズによって、怒りを発散します。

○ユーモア

 ユーモアには広い視野や、冷静な距離感が必要です。

 また、良い友人を 持つことも大切です。

 健全な人たちの中にいるほど、破壊的衝動に抵抗しやすくなります。
 
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破壊的衝動性 (1)

2008年04月19日 00時07分18秒 | 「BPDを生きる七つの物語」より
 
 衝動性は BPDの中核的な 要素のひとつです。

 問題なのは、衝動行動が 自己破壊的な行動に 至ってしまうことです。

 拒食や過食,薬物乱用,あるいは、

 性的逸脱,ギャンブル,浪費などが それに当たります。

(心子の場合は、摂食障害と服薬がありましたが、

 残りの3つは ありませんでした。)

 BPDの自己破壊的衝動性は、他の精神疾患のそれと 異なるところがあります。

 自閉症の子の衝動性は、自分の内部から 起こってくるもので、

 外の世界には 関心がありません。

 ADHDの子供は、プレッシャーに対処できず、

 それによって フラストレーションを感じ、衝動的になってしまいます。

 それに対して BPDの衝動性は、近しい人への 失望の反応です。

 対人関係での 欲求不満の現れとして、感情を爆発させてしまうのです。
 

 幼少期のトラウマが、成人の衝動性をもたらす という仮説もあります。

 ある研究で BPD患者を、幼児期に虐待を受けた虐待群と 非虐待群に分けて、

 セロトニン 〔*注〕 への 反応を調べました。

〔*注: 情動に深く関連し、脳内のセロトニンが低下すると

 衝動的,攻撃的行動に 影響があります。〕

 その結果、虐待群は明らかに セロトニンへの反応が 低下していたといいます。

 また、社会的な影響も 考えられます。

 伝統や 地域社会との繋がりが 薄れたために、

 衝動性に対して 社会的抑制が弱まり、歯止めが効かなくなります。

 なお、診断基準の中で衝動性は、BPDが寛解したかを 見極める指標ともなります。

 年齢の高いBPD患者は 若い患者に比べて、衝動性を示すことが少なくなり、

 これが BPDの人が時を経て 「成熟を遂げる」 ことの 原理かもしれません。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/53838413.html
 
〔 「BPDを生きる七つの物語」 (星和書店) より 〕
 
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