蛾遊庵徒然草

おこがましくもかの兼好法師にならい、暇にまかせて日頃感じたよしなし事を何方様かのお目に止まればと書きしるしました。

アルカイダ指導者オサマ・ビンラディンの虐殺に思う。

2011-05-09 22:12:05 | 時事所感
5月9日(月)晴れ、暖。

 5月8日(日)付け、朝日1面で『オバマ氏「やつを仕留めたぞ(ウイー・ガット・ヒム)」米東部時間の1日夕、オバマ大統領は、国際テロ組織アルカイダ指導者のオサマ・ビンラディン容疑者殺害を確認し、こう言った。』を読んだ。

 オバマ氏が劇的な大統領選挙に勝利し、その就任演説の格調の高さとの何たる違いだろうか。
 これでは、安物の西部劇の悪漢退治か憎い敵を圧倒的な力にまかせてリンチしたのとなんら変わらないではないか。
 しかも彼は武器も持たず無抵抗だったという。
武器も持たない無抵抗の相手の顔面を銃で打ち抜き、その遺体を拉致してインド洋に投げ捨てるとは、虐殺以外のなにものでもないではないか。これでは単なる目には目の報復でしかないではないか。

 9・11は、確かに人間として許されざる所業だろう。だが、それは何といおうと犯罪の一種ではないか。
 21世紀の現在、犯罪には裁判でもって法により処断するのが建前なのではないか。
 しかし、現実の国際政治の場において、アメリカの力の前には、法の正義なんてことは絵空事でしかないようだ。
 
 そしてそれ以上に驚かされたのは、同じく朝日6面で『国連の藩基文事務総長が、米軍によるビンラディン容疑者殺害について「正義が達成され、とても安心している」と声明を出したことについて、職員から批判の声が上がっている。」とあったことだ。
 もはや、これは、建前としての国際正義の貫徹を標榜する上での唯一の頼みの綱たるべき国連すらも、米国にとっての仮装舞踏会での一仮面でしかないということではないか。

 口で言っても分からなきゃー、腕でもって分からせてやる。人類は、いつになったら腕力によらずして、とことん多数参加の話し合いのもとで、お互いの利害を調整できるようになるのだろうか…。
 それは、人類が亡びるまで永遠に達することはできない彼岸のことなのだろうか…。

 そして、今ひとつ不思議なことは、今回のオバマ大統領の処断に対して、ほとんどのマスメディアが、何かの物の怪を恐れるがごとく追認しているかのようにみえることだ。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿