奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1742)

2021-05-31 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「異常気象はこう進む(浅井冨雄著・小学館文庫2001刊)」を読んだ。浅井冨雄(あさいとみお1932生れ)氏は、1955京都大学(理学部/地球物理学科)卒、1964理学博士。米国大気科学研究センター研究員を経て、東大(海洋研究所)教授/所長を務め、現在は東大名誉教授である。-------

この本の目次は次の通り。“異常気象年表”、“あえぐ大気/気候変動と異常気象”、“大気と海洋のシーソーゲーム/エルニーニョ”、“地球温暖化/二酸化炭素の温室効果”、“海に沈む東京/南極の氷が解けるとき”、“オゾンホールの脅威/人間活動の反省”、“地球が日傘をさす/大気中のちり”、“緑のベスト/酸性雨”、“大都市は熱の孤島/ヒートアイランド”、“異常気象対策は21世紀喫緊の課題”-------

裏表紙の抜き刷り文は次の通り。気象は絶えず変化するもの。46億年という恒久の時間を生きている地球の動きを考えれば、何が異常で何が正常かなど、明確に判断できる由もない。しかし我々が文明を享受することによって、地球を蝕み気象の変化を生み出していることも、また事実。人間の活動が地球に与えたダメージの過程を気象学の数々のデータと精緻な分析をもとに、地球に生きる我々が進むべき道を探っていく。-------

トランプ大統領のように、地球温暖化などフェイクだと云い放つ人がいる中で、トンデモ科学に振り回される人も多い。科学的リテラシーの無い人向けにこの本は、異常気象の教科書的な知識を与えてくれる。議論するにしても自然科学の場合は、ある程度お勉強しないと、社会科学のように水掛け論にしかならない。-----

浅井冨雄氏は、自然科学でここまでは分かっているが、これ以上の精度を求めるには、今後の研究に待たねばならないなどと、謙虚な研究者の立場で書かれていて良書だと思った。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1741)

2021-05-30 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「理系白書~この国を静かに支える人たち(毎日新聞科学環境部編・講談社文庫2006刊/2003版の文庫化)」を読んだ。------

この本の目次は次の通り。“文系の王国(報われない理系出身者/生涯賃金の格差/家1軒分5000万円/霞が関昇進不文律/技官の出世は局長止まり/理系官僚6割人事が不満/政財界もトップは文系/全員理系の中国共産党執行部/中枢に理系が不可欠)”、“権利に目覚めた技術者たち(奴隷はもうごめん/億単位の年俸も可能なアメリカ/飛躍狙いベンチャー/技術者の逆襲/報奨金制度で努力に報いる)”、“博士って何(実験1日10時間/取敢えず大学院/高い専門性は両刃の剣/40歳まだ武者修行/官僚が国を腐らせる)”、“教育の現場から(失われる作る喜び/なぜ問う心/若者の理科離れ/学力低下に強まる不安/授業減り理科細る/大学入試原罪論)”、“理系カルチャー(地下鉄サリン実行役の軌跡/オウム中枢の3分の1/優れた能力利用され/不正生むムラ意識/理系とオタク/科学者も社会の一員)”、“女性研究者(女性教授門前払い/女性研究者差別感3倍/女らしさの束縛/研究に男も女もなく/女子の理科嫌い作るのは親と教師)”、“失敗に学ぶ(大魚を見逃した悔しさ/偶然も味方に/専門性に潜むスキ/1万分の1にかける/苦い経験が成長の糧)”、“変革を迫られる研究機関(大学発ベンチャー続々/摺れ違う産と学/トップ30に踊る大学/私立大は生き残れるか)”、“研究とカネ(狭き門に研究者殺到/真理探究に巨額投資/成果求めない投資もっと)”、“独創の方程式(ヒトゲノム計画の影の英雄/独創性見極める評価眼を/師の殻破ってこそ/突飛な発想阻む純粋培養)”、“文理融合(ものを言う論理的感性/噛み合わぬ男女の仲/めざせ新教養人)”-------

平成時代に顕著となったゆとり教育の弊害など、日本の理系人材の減少が危ぶまれた時期に、毎日新聞社で精力的に取材され記事に掲載されたものを1冊にまとめたものである。明治に遡る文系優位の国家制度が基本にあることも述べられていて興味深い。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1740)

2021-05-29 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

マクドナルドの店内の壁の英文は次の通りである。-----

“I want to think again of dangerous and noble things.

I want to be Light and FROLICSOME.

 I want to be IMPROBABLE BEAUTIFUL and afraid of NOTHING, as though I had WINGS (mary oliver)”-------

危うくて気高いことを再び考えたい。

軽やかに心躍るようになりたい。

本当とは思えないほど美しく、何も恐れなくなりたい。

まるで翼をもったかのように。--------

有名な詩人/エッセイスト“mary oliver”の”Owls and Other Fantasies”という詩の本から引用とのこと。------

4年ほど前、マクドナルドが店内を改装した際に、壁紙として貼られていたが、英文の意味が気になっていたところ、ネットである人のブログに書かれていたものを転載させていただいた。訳文も、1行目の付加文もマクドナルドの店内にはなくて、5年振りに意味不明のメッセージであったものが腑に落ちた。------

近鉄奈良線沿線にあるマクドナルドはとても便利なので、良く利用するが、子どもから大人までファストフードだけでなく諸々の興味/不思議を提供してくれていて、面白い。--------

アメリカ本国では誰でもが知っている詩人なのだろうが、日本では馴染みがない。詩そのものに嗜(たしな)みのある日本人は至って少ない。だから、壁紙の模様として、ぼやっと見過ごしている人が大半だと思うけれど、ネットで探すと同じく気にして調べている人がいて、そのブログにはとても重宝させていただいた。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1739)

2021-05-28 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「ボケずに元気に80歳~名医が明かすその秘訣(新見正則著・新潮文庫2017刊/2014版の文庫化)」を読んだ。新見正則(にいみまさのり1959生れ)氏は、慶応大学(医学部)卒、オックスフォード大学で移植免疫学を学ぶ。専門は血管外科/消化器外科。セカンドオピニオン/漢方医としても活動し、2013“イグノーベル医学賞”を受賞した。現在は、帝京大学付属病院/愛誠病院で患者を診ている。-------

この本の目次は次の通り。“ボケずに元気な80歳の実例に学ぶ(抗ガン剤拒否で元気/100歳の秘訣は貧乏な食事/タバコ吸っても肉食でも元気/ご主人の介護が長生きの秘訣/枯れるように/手術をするべきかどうか/何が正しいか分からない/医学は長生きを目指してきたが/死の前にある認知症/生きてるって何だろう)”、“ボケずに元気でいるために病院とどう付き合うか(近所の医院か大学病院か/専門化細分化の弊害/漢方はラムネと思って/70歳過ぎたらガンの手術はするな/老人の肺炎をこわがるな/食欲が落ちたら無理しない/ピンピンコロリを望むなら薬に頼るな)”、“ボケずに元気のために知っておくと損しないこと(そもそも人はいろいろ/コレステロール値にだまされるな/肥満判定の不可解/高血圧基準と市場原理/マイナスイメージの臨床研究は表に出ない/人間ドックを受ける医療従事者が少ないわけ/メタボ診断が患者を増やす/医療は科学ではない/死なない感染症には罹った方が良い)”、“科学的な根拠を疑え/賢い患者になるために(実験結果と因果関係を疑え/エビデンスのある医療とは/プラセボ効果でモルヒネ様物質が脳から出る)”、“50歳を過ぎたらボケないための療養法(ガンは細胞の老化/病気になるのも悪くない/年相応を受け入れる/本好きテレビ好きは要注意/歩かないのは危ない/ボケないでガンが理想/生きているのは運がいい証拠)”、“死ぬならボケずにガンがいい(ボケた母を囲んで/介護家族の複雑な本音)”、“解説/草野仁”------

新見正則氏は、賢かった母親が認知症になってしまって、さぞ母親は無念であったろうと思いやって、この本を書いたとのこと。遺伝的にも認知症発祥の可能性は高いが、少しでもそれを避ける努力をこれからしていこうと思っていると云うのだ。名医/新見正則氏が思いつく限りの秘訣を披露されているのだ。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1738)

2021-05-27 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「手塚治虫エッセイ集成~私的作家考(立東舎2017刊)」を読んだ。手塚治虫(てづかおさむ1928~1989)氏は、大阪帝国大学(付属医学専門部)卒、医師/医学博士。1946漫画家としてデビュー、“新寶島(1947)”などストーリー漫画により、戦後漫画界に新生面を拓いた。1962アニメーション作家としてデビュー。“鉄腕アトム(1963~)”の放映によりテレビアニメブームを巻き起こした。-------

この本の目次は次の通り。“自作について(SF漫画について/科学漫画というおかしなもの/私とジャングル大帝/アトムと私/鉄腕アトムの生い立ちと歴史/火の鳥と私/動物漫画の美女たち/怪獣と恐竜/ささやかな自負/かわいらしさをどう表現するか/手塚治虫的ドラキュラ)”、“漫画と私(科学漫画について/我が投書時代/SFと私/時代漫画と私/西部劇漫画と私/僕と女の漫画/大人漫画家よ胡坐をかくな/子ども漫画の周辺/外国の動物漫画/ファンタジーなんか書けません/クリエートのヒント/漫画の商品化/親愛なる妖怪たち/漫画の教科書/漫画大国日本)”、“私的作家考(田河水泡のらくろの魅力/島田啓三冒険ダン吉の魅力/21世紀のフクちゃん/杉浦茂/永島慎二/松本零士/横山光輝/坂口尚/石森章太郎/漫画の申し子が戦後映像文化史を描いた/ベルサイユの薔薇と少女漫画/アステリックスの冒険/ブラジルのディズニー/アメリカンコミックの巨匠ウィンザーマッケイ)”-------

立東舎のこのシリーズは手塚治虫氏の漫画以外の著作を集めたものであり、手塚治虫氏が同時代の作家/作品をどう考察し評したのか、興味深く知ることが出来る優れた集成本である。-----

世界に誇るアニメを生み出す日本を現出させた功を一番に担ってこられた手塚治虫氏の肉声をこれら収録されたエッセイが語ってくれるのである。ファンならずとも必読の本であると思った。

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