奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1834)

2021-08-31 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「交通誘導員ヨレヨレ日記~当年73歳/本日も炎天下朝っぱらから現場に立ちます(柏耕一著・発行/三五館シンシャ/発売/フォレスト出版2019刊)」を読んだ。柏耕一(かしわこういち1946生れ)氏は、大卒後、出版社/編集プロダクションに勤め、編集ライター業に従事してきた。現在は警備会社にて交通誘導員などをしている。-------

この本「交通誘導員ヨレヨレ日記」の目次は次の通り。“まえがき/最底辺の職業の実態”、“交通誘導員の多難な日常(トイレ掃除/通行止/猛女/お金の話/意気地なし/人は嘘をつく/最高齢警備員)”、“交通誘導員の喜びと悲しみ時々怒り(黄金譚/大失敗/花火大会/プライド/陽気な異邦人/パチンコ屋警備/職場放棄/承認欲求/夜勤明けの出来事)”、“どうしても好きになれない人(誘導ミス/たかが挨拶/駐車場警備/好きになれなかった人/警備員は歯が悪い/通報される人)”、“できる警備員/できない警備員(首振り人形/コミュニケーション能力/できない警備員/家宅捜索/枝道地獄)”-------

柏耕一氏は、37年前に設立した編集プロダクションが経営不振となり、会社清算をせざる得なくなった。出版の仕事をしても滞納している税金の回収で、税務署に徴収されてしまうため、生活費を稼ぐ必要もあり、警備員の仕事をするようになった。------

大多数の日本の警備員がこの本「交通誘導員ヨレヨレ日記」を書けるかと言うと、多分、文才も常識もなくて人様に読んでもらえるような仕上がりにはならないだろう。そう考えた柏耕一氏は、では自分が書こうと決めたのだそうだ。スキマでブルーオーシャンではないかと。確かにこの種の本は初めてかもしれないが、結局、同じ人間の綾なす世界だから、悩み事もよく似ていると思わせられた。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1833)

2021-08-30 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「同調圧力の正体(太田肇著・PHP新書2021刊)」を読んだ。太田肇(おおたはじめ1954生れ)氏は、神戸大学大学院(経営学研究科)修了。現在は同志社大学(政策学部)教授である。-----

この本「同調圧力の正体」の目次は次の通り。“事件は共同体の中で起きる(コロナが剥がした日本社会のベール/同調圧力の功と罪は合わせ鏡/潮目が変わった90年代/見えない正体に迫る)”、“なぜ日本社会はこれほど窮屈なのか(職場も学校も共同体に変質/同調圧力の背景にある3つの要因/転職を抑制する制度の壁/小さな集団ほど圧力が強くなる/加圧装置としての共同体型組織/政府が命令ではなくお願いをする本当の狙い)”、“圧力をエスカレートさせるもの(同調圧力の正体/イデオロギーとしての共同体主義/自粛謹慎ムードを強化するもの/ウチの常識はソトの非常識/それでも幸せだった昭和時代/乏しい社会資本を共同体が補完した時代)”、“パンドラの箱が開いた平成時代(イノベーションの足を引っ張る工業社会の残像/組織と個人の蜜月時代が終わった/グローバル化と規制緩和の意外な結果/起きるべくして起きた平成の不祥事/背景にタテの圧力と個人の未分化)”、“コロナで露呈した日本の弱点(テレワークと日本型組織は水と油/自粛警察とSNS炎上にみる大衆型同調圧力/圧力源が権限序列から正義へ/コロナ対策が後手に回る必然)”、“同調圧力にどう立ち向かうか(日本の強みが弱みに/構造改革戦略/仕事や活動を分ける/適応戦略/共存戦略)”------

太田肇氏は、“必要以上に同調を迫る日本の組織に反対する組織嫌い”だからこそ、“個人を尊重する組織”を専門に研究してきたと述べている。変わり者の研究者とも云えるが、スキマ産業的な存在価値を認めさせて、アカデミズムの世界に生き残られたようだ。社会生活を営む人間だから同調圧力をなくすことは出来ない。でも共産主義やファシズムよりも苛烈な軍国主義を生んだイデオロギーよりも恐ろしい日本社会の同調圧力は何とかしなければならないのだと強調している。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1832)

2021-08-29 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

奈良県北中部の京阪神へ通うサラリーマン家庭/家族(100万人)が住んでいるベッドタウン/大規模住宅団地の風物詩の一つに台湾百合(ゆり)がある。毎年、夏のお盆の頃、1~2週間の振れ幅はあるものの、今年はお盆過ぎが開花の最盛期だったようだ。-------

台湾百合とは、日本の南方/台湾方面からの帰化植物と考えられている。ユリ科の植物である。一瞥(いちべつ)すると、鉄砲ユリにそっくりであり、白い花弁で姿の美しい百合である。------

何時頃、日本に帰化したのかは分からないが、気付いて以降、既に10年間を経過するが、咲く場所は、植えた訳でもないのに、玄関先であったり、庭の中であったり、おやっと思わせる処に、堂々と咲くのである。-------

場合によっては、花が6輪ほど放射状に咲く場合もある。立派な邸宅の門前であったり、結構目立つ処に、開花して初めて気付く感じで家人をも驚かせるのだ。-------

空き家になっていて、庭の手入れが少なくて、雑草の生い茂るお邸にも、遠慮なく数多く咲いている場合もある。勿論、邸宅の塀の外側、道路沿いの側溝の中から顔を出して咲いている台湾百合もある。-------

夏のこの時期、花の少ない季節だから、余計に目立つのだろうか。普通は家人が植えた花が咲くのであるが、誰が植えた訳でもなく、立派な百合の花が咲くのだから、びっくりもするが面白い。この季節、夏水仙の小さな白い花や、木槿(ムクゲ/韓国の国花)/芙蓉の白い花とは、一線を画して、毅然と咲き誇るのだから、目立たない訳が無い。------

台湾百合(別名/高砂百合、細葉鉄砲百合)は、園芸用として台湾から1923/1937頃に移入されたもので今では全国に分布していると云う。台湾百合は種を大量につけて風でその種が飛び、生息地を増やしてゆく。連作を嫌うので、同じところに咲くことは少なくて、次々に植栽の場所をずらすと云うか移してゆくのである。------

このように、鉄砲百合に似た台湾百合であるが、百合はユリなので、咲くと綺麗だ。そして百合はフランスの国花でもあるのだから。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1831)

2021-08-28 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「生の誘惑/イヴェット(モーパッサン1885作/前田晃訳・岩波文庫1931刊/1913版の文庫化)」を読んだ。モーパッサン(Guy de Maupassant 1850~1893)は、19世紀後半にフランス文壇を風靡した自然派の代表的な作家である。訳者/前田晃(まえだあきら1879~1961)氏は、働きながら現/早稲田大学(文学部哲学科/文学科)を卒業し、以後、出版界で活動した。------

この本「生の誘惑/イヴェット」の表紙扉の紹介文は次の通り。貴族専用の“遊興の館”を経営する母と暮らす18歳の純真な乙女の真理を描く。人の世の動きのとれない根本義を暗示している。-------

訳者の緒言は次の通り。「生の誘惑」は特異の社会に置かれた処女の心理を描いたもので、この種の方面におけるモーパッサンの唯一の傑作と言われる。不思議に絢爛な人目を妖惑するような色彩に充ち満ちており、原作は女主人公の名を其のまま取って“イヴェット(Yvette)”と題してあるが、訳者はその作意を酌んで、「生の誘惑」とした。本編の中には人と人との間の誘惑もあれば、死の誘惑もあるが、訳者が最も深く興味を感じたのは“生の誘惑”であったからだ。トルストイはモーパッサン論の中で、前半における作者の芸術家としての視野は正しいが、後半に至って歪んでいると評している。しかし作者は女主人公をして“生の誘惑”に身を委ねさせる処に重点を置いて、そこにこそ作者の人生に対する態度を見せたのではないかと訳者は考えるのである。-------

日本の近代文学は西洋の作家の影響をとても強く受けていることが、この本「生の誘惑」を読むことで自明となる。100年以上もたった現代社会では、モーパッサンの倫理/道徳観も古いように思うが、明治/大正の日本人にとってはある種、新鮮であったのかも知れない。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1830)

2021-08-27 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「Q&Aこころの子育て~誕生から思春期までの48章(河合隼雄著・朝日文庫2001刊/1999版の文庫化)」を読んだ。河合隼雄(かわいはやお1928~2007)氏は、京大(数学科)卒、スイスのユング研究所に留学し、ユング派分析家資格取得。臨床心理学者/京大名誉教授でした。-------

この本「Q&Aこころの子育て」の目次は次の通り。“木のある風景(皆が心を使うことを忘れている/原因が分かっただけでは何の解決にもならない/お父さんをサボっている証拠/誘惑に取り込まれない人間に育てる)”、“誕生から小学校入学まで(母子一体感/子育てが嫌/叱ってばかりいます/早くしなさいと小言ばかり/生きているんだから思い通りにならない/どうしても叩いてしまう/ストレス信号/甘えん坊/サンタクロース/早期教育)”、“新芽の頃/小学校時代(褒めるのが大事/一人で寝るのを嫌がる/子どもが動物を飼いたがる/個室を与える/怒るときは雷後晴れ/子どもが学校に行かない/子供がいじめに遭った/ああ面白かったと云う体験を貯金しておく)”、“若葉の頃/思春期(急に無口になる/子どもがしていることを受け入れられない/親が考える幸福/反抗なしの成長はない/本当の対決が必要/どんな子か/深い悩みを抱えていることもある/心身症は文化の病)”、“森へ(強い絆よりも深い絆/葛藤を抱え続ける/夫婦で解決すべき課題/自分の人生を生きられる人間/本気の恋愛をしたら親の役目もひと段落/家族が一緒に暮らす)”-------

河合隼雄氏は、ユングの日本人弟子のような存在であり、心理学者として臨床面で主張されていることの内容には養老孟司氏も絶賛しておられる。でも阪神大震災/オウム事件という日本社会に与えた影響の大きい事象について、少しも付言されていない。だから少しくインパクトは少ないが、信用できる言い口なのかなと思った。

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