奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その859)

2018-12-31 08:15:00 | 奈良・不比等
北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない
「限界の現代史~イスラームが破壊する欺瞞の世界秩序(内藤正典著・集英社新書2018刊)」を読んだ。内藤正典(ないとうまさのり1956生れ)氏は、東大(科学哲学分科)卒で、一橋大学教授を経て、現在は同志社大学教授である。専門は現代イスラム地域研究とのこと。-----
「限界の現代史」は、イスラム世界の扱いを間違ってきた西欧諸国の行き着く先として、これまでの西欧諸国を中心とした世界秩序に崩壊の兆しが表れていると心配されている。-----
既にIS国が消滅しているので、後付けに過ぎない論だが、後から整理すると分かり易くなるものであり、オバマ大統領は何もしなかったとか、トランプの方がましだとか、全て後から見れば理屈付けは簡単だから、読者も100%信じる必要は無いのだが、日本人の中の数少ないイスラム研究者の言としては貴重な本になっていると思った。-----
シリアのアサド政権の延命を手助けしたオバマはダメだし、トルコのエルドアンは西欧と話が出来るとか、ロシアの中東基地問題は、沖縄の基地問題と同じで扱いにくいと書いている。-----
“限界”の意味は、国民国家の制度がグローバル化する世界の中で、会員制のリベラリズムで囲っているのは何時までも続かないとイスラムの膨張圧力が証明しているのだからと説明している。”さあどうする日本人”と問いかけているが内藤正典氏にも具体的な処方箋は示せていない。イスラム世界との友好は難しい。
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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その858)

2018-12-30 08:15:00 | 奈良・不比等
北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない
「信長もビックリ科学でツッコむ日本の歴史~だから教科書にのらなかった(平林純著・集英社2018刊)」を読んだ。平林純(ひらばやしじゅん)氏は、京大大学院(理学研究科)修了で、サイエンスライターとして活動し、テレビ出演も多いそうである。-----
「信長もビックリ科学でツッコむ日本の歴史」は、“文系・理系を超えて科学の目で日本史をみると色んな事がわかる”という触れ込みで書かれている。テレビのクイズ番組の台本を書籍としたかの様な具合である。-----
小中高の日本史の先生が授業の際に挟み込む話題の一つになるような事柄を集めてあって、児童や生徒の興味を引くことが出来るし、大人でもマンガの好きな人ならイラストも入っているのでリビング・お茶の間で拾い読みするには最適かも知れません。-----
毛利元就の3本の矢は折れるとか、鵯越は馬が古代馬で小さくて可能だったとか、五重塔は5階建てではなくて背の高い1階建てに過ぎないとか、十二単は寒い冬だけとか、銀河鉄道3ナインのメーテルのモデルはシーボルトの孫であるとか、世間を騒がす様なものは一つもないが、そこそこに面白い類の羅列でこの本はこの本としてシリーズ化出来そうな本だと思った。------
平林純氏が理系の中の理系インテリであることから、文系の読者は少し反発を感じる箇所も無きにしも非ずだが。
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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その857)

2018-12-29 08:15:00 | 奈良・不比等
北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない
「工学部ヒラノ教授の研究所わたりある記(今野浩著・青土社2018刊)」を読んだ。今野浩(こんのひろし1940生れ)氏は、東大(工学部数理工学コース)卒で、スタンフォート大学(OR学科)博士課程修了で、東工大、中央大で教授を務めた。専門はORと金融工学である。-----
「工学部ヒラノ教授の研究所わたりある記」は、東大修士課程を修了した後、勤務された電力中央研究所時代を中心にして、研究者生活の始まりを詳しく書いてくれている。既に故人となられた方も多いとかで、今野浩氏にとっては黒歴史ともなる履歴を細大漏らさず書いたそうであり、研究者を目指している人には一読の価値がある本になっていると思った。研究最前線のこうした組織では、実際に夢破れて自殺する人も何人かおられて驚くばかりである。東大を出ていても不遇な人が多々おられるのは、読んでいて気の毒この上なく思った。そして今野浩氏曰く、少し間違っていたらご自分がその憂き目に合っていたかもしれないと述懐(じゅっかい)しておられる。------
ウィスコンシン大学やウィーンの研究所の話の粗方は以前の著作で読んでいたが、そこに書き切れなかった事情まで今回は書いてくれているし、その後の、研究所の仲間の風聞まで調べて書いておられるので、読んでいて納得がいく仕上がりになっている。-----
“終活編”で以降はフィクションを書くと言ったが、松永安左エ門(1875~1971)が設立した日本初のシンクタンクである電力中央研究所について、書いておくことにしたそうである。東日本大震災のことも頭におありだったからだろうか。遠い昔、高速増殖炉の研究にタッチされていたのだから、書いておくべきとも感じられたのだろうと思った。
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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その856)

2018-12-28 08:15:00 | 奈良・不比等
北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない
「愛読の方法(前田英樹著・ちくま新書2018刊)」を読んだ。前田英樹(まえだひでき1951生れ)氏は、中央大学大学院(文学研究科)修了にて、立教大学教授を長らく勤められた。2018年春に定年退職して最初の新書が「愛読の方法」とのことで、だから好きなことを書くと冒頭で宣言されている。-----
「愛読の方法」は、良い本を読まないと悪い本でも読めば人間は洗脳されるので宜しくないと警告を発している。では良書と悪書をどのように見分けるかというと、良い本は少なく精神に悪い本が圧倒的に多いのだから、出来れば評価の安定した古典を読めと書いている。決して古典の解説本を読む様なことをしてはいけないとも書いている。解説本が曲者で折角の古典の良さを皮肉ったり貶めたりして読者を誤解させる本が多いと言う。だから原典は無理にしても、直接古典を読みなさいと言うのが前田英樹氏の教えである。確かに音楽でも絵画でもクラシックな作品は誰しもが感動できるのだから書籍の世界もそうであるのかも知れません。要するに一定の鑑識眼を備えた上で現代世界の書籍を見ればその真贋の区別がつくようになるだろうと老婆心で書いているそうである。-----
本当は話し言葉が一番だそうだが、書き言葉で学ばなければならない場合が多いので、兎に角洗脳されないように注意せよと書いている。ソクラテスにしても釈迦にしても孔子にしても弟子が書き留めたものが師匠の言葉として残っているのであり、身体から発する言葉こそ、真実を伝えるのだと強調している。----
人文系無用論が大手を振っていることを憂えてこの本を書かれた様だが、反論になっているかは疑問であると思った。前田英樹氏の言葉通り“口ばかり達者では始末が悪い”典型のような本に仕上がっているので、人文系の大学教師としては肩身が狭かったのは当然だろうと思われた。----
科学者デカルトの扱いもバイアスが掛かっているように見えるし、理系の思考を辿ることは文系の人には難しく出来ない人が多いのだろうと考えさせられた。
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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その855)

2018-12-27 08:15:00 | 奈良・不比等
北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない
「役者なんかおやめなさい~84歳日本を代表する名優が語る60年余の舞台人生(仲代達矢著・サンポスト2017刊)」を読んだ。仲代達矢(なかだいたつや1932生れ)氏は、俳優座4期生の俳優であり、無名塾を主宰している。インタビュアー&ライターは坂梨直子(さかなしなおこ1973生れ)女史である。二松學舎大学(中国文学科)卒で、2014年にサンポストに入社している。-----
仲代達矢氏は演劇だけでなく多くの映画に出演し世界的にも有名であるとのこと。白黒時代の“切腹(小林正樹監督1962)”を知らない人はいないだろう。今で言う処のイケメンであったので俳優座も映画監督からの抜擢もあったのだそうだ。結構とんとん拍子に出世作に巡り合って戦後の映画の黄金期を渡って来ている。俳優座先輩の宮崎恭子(1931~1996)と出合って結婚すると即引退なさったとか、とても運が強かったようだ。でも奥様は既に他界されており、以来20年を超えて独り身で実子もいない。------
本当に舞台芸人であり、俳優である処は将に日本を代表していると言える。仲代達矢氏の発言を読むと自身も若い時の様な活躍は無理となっているが、昨今の若い人たちをみると戦後直ぐの時代の様な俳優は育たなくなって来ていると感じるのだとか。それでも奥様が始められた無名塾は続けていくと宣言している立派であると思った。------
インタビュアーが反戦の仲代達矢さんが文化勲章を何故お受けになったのですかと尋ねると、笑って誤魔化されていたが、東京空襲で逃げ惑い、亡骸(なきがら)の傍を学校に登校してきた経験から戦争は絶対に駄目だと強調されている。謝るのが先で、仕返しなどするものではない、それが戦争になるのだからと。
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