奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1737)

2021-05-26 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

気象庁が平年より21日早い近畿/東海地方の梅雨入りを宣言した日、しとしと降る雨が止む気配はなかった。最高気温の予想は25℃とのことでそれ程には蒸し暑く感じられなかった。------

新緑がその緑の濃さを増し、家々の庭木は次々に花を咲かせている。薔薇の咲き誇っているお家、ジャスミンの香りが漂うお家、躑躅(つつじ)に彩られているお家、園芸品種の牡丹(ぼたん)や石楠花(しゃくなげ)の大輪の花を覗き見できるお家など、従来型の庭付き住宅のお庭では、街角ウォッチングの楽しみを花の季節の続く間、提供してくれるのだ。------

野鳥の囀(さえず)りが、彼方此方で耳を喜ばせてくれる。営巣して雛(ひな)を育てる季節の到来なのだ。-------

奈良県北中部の京阪神へ通うサラリーマン家族(100万人)の住むベッドタウンには幾筋もの小河川が奈良盆地の中央部に向けて南流している。少しでも雨が降ると、茶色く濁り水位を増して勢いよく流れる。晴れていると鴨(かも)たちの姿が散見されるが、雨が降るとどこかに避難でもするのか見当たらない。雨が降っても元気よく飛び回るのは、燕(つばめ)である。燕は小振りの野鳥だが、とても敏捷であり、川面や地面すれすれに飛び、時には、人間の直ぐ傍を飛翔(ひしょう)することもある。蚊蜻蛉(かとんぼ)のような昆虫を餌として捕らえて、巣で待っている雛(ひな)に運ぶのである。-------

今年の梅雨は長梅雨になるのか、それとも早くに明けるのか分からないが、梅雨は梅雨で梅雨空を気にせずに何とか楽しみを見つけて暮さねばならない。--------

コロナ禍が一掃されるのは未だ大分(だいぶん)先のことだろうから、少なくとも梅雨の期間は余りで出歩いたりせずに大人しく待っていること(ステイホーム?)が肝要なのだろう。------

今回のコロナ禍を駆逐してくれるだろうワクチン開発は、分子生物学の精鋭たちの活躍によるところ大であり、この苦難を人類が乗り越えられれば、分子生物学を志す若者が増えて、将来的にもこの学問分野の大きな自信に繋がることだろう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1736)

2021-05-25 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「名優滝沢修と激動昭和(滝沢荘一著・新風舎2004刊)」を読んだ。滝沢荘一(たきざわそういち1936生れ)氏は、名優滝沢修(1906~2000)の長男である。東大(教養学部アメリカ科)卒、東大/新聞研究所修了。毎日新聞/外信部/編集委員/熊本大学(法学部)教授/1998~2007富山国際大学教授。専攻は国際政治論/米国現代政治とのこと。-------

この本の目次は次の通り。“死去伝える各紙の報道”、“意に反して俳優の道に”、“大戦前夜/新劇弾圧で逮捕される”、“思想検事との対決”、“東京拘置所での日々”、“獄中で知った日米開戦”、“農家に弟子入り”、“農作業に見つけた喜び”、“北海道での移動演劇”、“どうもありがとう”、“滝沢さんのこと/木下順二”、“解説/名優の生み出す伝説/宮下展夫”------

裏表紙の抜き刷り文は次の通り。戦禍にまみれた激動の時代に反戦平和を貫いた伝説の名優“滝沢修”の愛と波乱の生涯。拘置所での日々/農民への転身/妻文子への愛など長男/荘一氏が初めて明かす秘話の数々は、日本の新劇を築いた名優の知られざる生き方を焙り出し、同時代を生きた人のみならず若者たちの胸をも激しく揺さぶった。大学で国際政治を教える著者が一気に書き下ろした激動昭和史の生々しい証言。名優/滝沢修の魂を余すところなく描き、改めて平和や家庭の大切さを問う感動のノンフィクション。-------

滝沢修がNHKの大河ドラマで吉良上野介(1964)/藤原秀衡(1966)を演じていて存在感が大きかったことを今も覚えている。私生活を明かさなかった父親/滝沢修の私的な資料を纏めて書籍として残しておくことに使命を感じたと仰られている滝沢荘一氏の誠意が溢れる本となっていると思った。そして戦前の治安維持法の被害者の一人が滝沢修氏であることが良く分かった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1735)

2021-05-24 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「真実をつかむ~調べて聞いて書く技術(相澤冬樹著・角川新書2021刊)」を読んだ。相澤冬樹(あいざわふゆき1962生れ)氏は、東大(法学部)卒、1987NHKに記者職で入局し、山口放送局/東京報道局/大阪放送局に務めた。森友事件担当を外され、1918NHKを退職する。現在は大阪日日新聞/編集長である。-------

この本の目次は次の通り。“記者の秘密を明かすワケ”、“新米記者を育てた先輩の愛と上関原発計画(恵まれた自分に気付く/権力に都合の悪いことを調べ出せ/次席検事がうっかり漏らした一言が初の特ダネに)”、“昭和から平成へ/時代の狭間で学んだ真実(昭和天皇崩御/皇居の張り番に呼ばれなかった私/耳に残るフィリピン妻の涙声/朝日新聞の記者に抜かれまくって/取材先を引き継ぐ意味)”、“愛する神戸の街は壊滅した(連休明けの神戸を襲った巨大地震/あの時の神戸は戦場だった)”、“夢とは違った社会部の現実(こんな時間に帰る社会部記者がいるのか/脳死移植取材の苦い思い出/上司とそりが合わないと部下はつらいよ/あんた牙をむいたね)”、“記者を育て育てられる仕事(迷惑掛ける仕事/嫌われ者の商売/デスクを凌ぐ敏腕記者との格闘/記者とカメラマンの大乱闘)”、“17年前の僕に試された私(地域社会を震撼させた女児誘拐殺害事件/人の不幸を取材する意味)”、“107人の人生を断ち切った大事故とJRの闇(府警キャップをクビになる/JR社内の権力闘争と謀略の匂い/鬱の苦しみに沈む/記者に戻る決意)”、“取材は愛(不当な状況に置かれている人の声を伝える/記者は書くと云う武器を持っている)”--------

相澤冬樹氏は、東大法学部というエリート出身でありながら、優しい性格が災いして、NHKでは出世なさらなかったようだ。この本に収められた取材記者人生も波乱万丈であり、その苦労が察せられる。職を賭(と)して記者を全うしてこられた挙げく、左遷されNHKを辞職なさった。そしてこれからも相澤冬樹氏の森友事件追及は続けられるようだ。このような善人もいるのだと、少しばかり、日本人を見直している。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1734)

2021-05-23 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「満洲鉄道まぼろし旅行(川村湊著・文春文庫2002刊/1998版の文庫化)」を読んだ。川村湊(かわむらみなと1951生れ)氏は、法政大学(政治学科)卒、法政大学名誉教授。大東亜共栄圏の文化を文学/教育/言葉/生活など多角的に捉え研究を続けている。-----

この本の目次は旅程表。“昭和12年当時の満洲鉄道地図”、“渡満/神戸~大連(吉林丸で移動)”、“大陸上陸/大連港(満洲の玄関/ヤマトホテル/馬車に乗って大連観光/満洲の苦力/満鉄本社見学/夜の大連)”、“旅順(戦跡/満洲桜/旅大道路を車で移動/大連旅順はなぜ関東州というのか)”、“大連(旅順線を普通列車で移動/無税港/満洲土産名店街)”、“特別急行あじあに乗ろう(連京線を特急あじあで移動/熊岳城温泉/食堂車であじあのカクテル)”、“湯崗子温泉/連京線を急行はとで移動(東洋一の泥風呂/不思議な霊泉/満洲民話)”、“鞍山/鉄の町(車窓に満洲一美しい白塔を見よう/夜の奉天/奉天ヤマトホテル泊/清朝皇帝の絵葉書/奉天遊覧バス)”、“五龍背温泉(温泉のバンガローに泊まろう)”、“撫順/炭鉱の町(撫順線を普通列車で移動)”、“新京/連京線を特急あじあで移動(新京ヤマトホテル泊/満洲の首都/満映スタジオを覗こう/満洲国の組織/S字に流れる松花江)”、“吉林/満洲の京都(京図線を普通列車で移動/吉林2000年の歴史)”、“牡丹江(開拓団訪問/満蒙開拓青少年義勇軍)”、“哈爾濱ハルピン(エキゾチックな都市/哈爾濱ヤマトホテル泊)”、“満洲里/モンゴルに続く草原の町/ノモンハン”、“飛行機で日本へ/満洲国とはどんな国か/旅の終わりに/満洲は今”-------

川村湊氏は、全共闘世代と思(おぼ)しき世代である。戦争体験者/外地引揚者の溢れていた時代の日本人の記憶を書籍で残しておこうとされたのだと思った。植民地帝国としてアジア各地に青少年を雄飛させようとしていた政府の企図(きと)が絵に描いたように感じられた時代の満洲各地の列車旅を書籍により再現した企画本なのだ。だからとても面白く仕上がっている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1733)

2021-05-22 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「渋沢栄一と岩崎弥太郎~日本の資本主義を築いた両雄の経営哲学(河合敦著・幻冬舎新書2021刊)」を読んだ。河合敦(かわいあつし1965生れ)氏は、青山学院大学(史学科)卒、早稲田大学大学院(日本史専攻)博士課程単位修得退学。都立高校の教師(~2013)を務めながら、歴史研究家/歴史作家として数多くの著作を刊行してきた。-------

この本の目次は次の通り。“栄一と弥太郎の立志(渋沢栄一と岩崎弥太郎の生い立ち/屈辱と怒りが両雄に与えた大志/武士になりたいと切望した栄一/弥太郎大志を抱いて江戸へ/両雄の大きな転機/緊迫する江戸に栄一が遊学した理由/出獄と邂逅/突如暗転する人生を好転させる)”、“幕末における経済官僚としての栄一と弥太郎(武士になり財政再建を成功させた渋沢栄一/長崎貿易で土佐藩を支えた岩崎弥太郎/坂本龍馬との邂逅/難題を持ち込む龍馬の海援隊/明治維新における栄一と弥太郎/突然のフランス行き/戦争より商売を優先する岩崎弥太郎)”、“栄一と弥太郎の邂逅と決別(渋沢栄一と岩崎弥太郎の経営哲学/三菱外国汽船会社を駆逐す/論語と算盤/栄一と弥太郎の死闘)”、“日本の発展に尽くした栄一(弥太郎と栄一の人材教育/その後の三菱/渋沢栄一の後継者育成の失敗/実業家を超越した哲人/栄一の社会事業)”------

河合敦氏は、この本「渋沢栄一と岩崎弥太郎」をNHK大河ドラマ“晴天を衝け”の放送スタート(2021.2.14)に合わせて出版(2021.3.25)されている。幻冬舎の勧めもあっただろうが、間に合わせる力量は大きいようだ。文体は高校教師をなさっていた所為か、教室で歴史の授業を受けているかの気分になるのは仕方がない。渋沢栄一を岩崎弥太郎と比較することで分かり易い論調を醸し出し、取っ付き易い印象を読者に与えてくれているのだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする