北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない
「売ってはいけない~売らなくても儲かる仕組みを科学する(永井孝尚著・PHP新書2019刊)」を読んだ。永井孝尚(ながいたかひさ)氏は、1984慶応大学(工学部)卒、日本IBMに入社した。2013退社し、ウォンツアンドバリュー代表となる。著書も多い。-----
ネット時代の販売戦略について、豊富な事例をもとにその具体策を教えてくれている本である。体育会系の営業マンが売りまくっていた大量生産大量消費の時代は過去のものとなり、体育会系ではどうしようもないことを注意してくれている。今では売るためには頭を使わなければならないので、体育会系のように汗を流すだけでは、会社は潰れてしまうと警告している。ではどうすれば良いのか、例えば、ユニクロなどでは様々なビジネスを実施に移すがダメならば深傷を負う前に撤退するという、極めてチャレンジャブル作戦でそのうちに幾つかが当たれば会社は利益を上げられるというのだ。------
永井孝尚氏は上手くいった事例ばかりを上げておられるので、注意しないと口車に乗せられて失敗の連続となるかもしれない。でもとても調子よく書き連ねられていて、ついそうなのかそうすれば良いのかと膝を打ってしまいがちになるのも止むを得まい。それもその筈、社員研修を仕事になさっているのだから、経営者に受けが良く、多分、研修を受ける社員には面白くない人なのかもしれないが、“煽(おだ)てて木に登らせる技”もきっと得意なのだろう。-----
経営戦略(販売戦略)がうまくいかなかった会社の事例は名前を伏せているそうだが、あまり多くを書いていない。大塚家具やシャープや三洋、古くはダイエーなどその失敗の経験は反面教師として役立つのか。何れにしてもお調子者の本であるというのが本当のところだが、こういう本も研修の教則本に便利なのだと思った。