奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その553)

2018-02-28 08:15:00 | 奈良・不比等
「純ジャパニーズの迷わない英語勉強法(上乃久子著・小学館2017刊)」を飛ばし読みした。上乃久子(うえのひさこ1971生れ)女史は四国学院大学(英文科)卒で、バイリンガル雑誌社・翻訳会社・ロサンゼルスタイムズ東京支局・JIKAを経て、現在、ニューヨークタイムズ記者として東京支局に勤務している。-----
帰国子女でなく海外留学組でもなく一流の語学が求められる職場で活躍している。そのような高度な語学を習得した英語勉強法について事細かに全てを教えてくれている本であるようだ。----
これまでの学校英語が日本人教師による授業であったため少しも上達しない受験英語のための英語教育であり、日本人が日本人に英語を教える愚を強調している。出来るならばネイティブの外国人に語学は習うべしと云うのがこの本の最大の趣旨だろうと思った。日本人の英語教師が居る限り日本人の英語は絶対に上達しない。でも今直ぐに日本人英語教師を解雇する訳には行かないので、文科省も辛い立場ではあるだろう。-----
上乃久子女史が薦めているのはインターネットを利用せよと云う点が特徴、何度もネットの関連ページが紹介されている。更にグーグルにしても日本のグーグルサイトではなくてアメリカ本家のグーグルサイトに繋いでユーチューブの映像で生の英語に触れなさいと教えている。グーグルの情報量はアメリカと日本で6.7倍の開きがあるそうであり、活用しない手はないと云う。勿論、無料サイトで勉強が出来ると云う。------
今や、小学生から英語を教える時代となっており、無駄と云うか受験英語に煩わされたり、英語の話せないような日本人英語教師の魔手から逃れて実用的な英語を独学で勉強出来るその方法を中学英語の必要語彙数などを交えて、分かり易く説明して呉れている。-----
地方公共団体の都道府県や市町村の職員ならこの「純ジャパニーズの迷わない英語勉強法」を職場と自宅に座右の書として置いておくのが、これからの観光立国・立県の時代にも相応しいのではないかと思った。昔の受験英語の無駄を繰り返してはならない。明治の初期の東大生は英語を外国人教師から直接習っているのだが、中期以降となると外国帰りの日本人が英語やドイツ語を教えるようになって日本人は語学がさっぱりダメになってしまった歴史を今も繰り返している。何故こんなに性懲(しょうこ)りもなく日本人の出来の悪い語学教師を要請し続けて駆逐しないのかは分からないが、太平洋戦争中の敵性語として英語を蔑視したことの報いとも考えられるが、もうそろそろバカな洗脳を脱しても良い頃と思った。そして受験科目から英語を省いても良いのではないかと思う。そうすれば意味の無い日本でしか通用しない受験英語の愚が一掃されると思うが如何。
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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その552)

2018-02-27 08:15:00 | 奈良・不比等
白洲正子(1910~1998)が訪れていた隠れ里の王龍寺が奈良市西部の矢田丘陵北部にある。黄檗宗の禅寺であり、山門から入る石段は苔生(こけむ)していて趣がある。然(しか)しながら西南の2方面は飛鳥カントリーのゴルフコースであり、北の裏山は「あすか野住宅地」となっている。僅かに残った境内には大きなヤマ桃の木や、照葉樹の自然林が残されている。近鉄奈良線の沿線を住宅開発するまでは王龍禅寺の広い持ち山だったのだろう。王龍禅寺の山門前から富雄川に向けて東に矢田丘陵を下ると農家の畑が可也の面積で見受けられる。但し、丘陵地の尾根筋には特養ホームや育英西学園などの建物が見える。富雄川沿いのバス道が近くなると京阪神へ通うサラリーマン家庭の住宅地が処狭(ところせま)しと並び出す。奈良県北中部のお馴染みの新興住宅地の出現である。富雄川を東に渡り「みねの寺」まで登ると小高い丘になっていて秋篠川の小川のような源流が東に向けて細々と流れだしている。その小川の北側には大渕池公園が隣接しており、更に東の大渕池公園の正面に向かうと松柏美術館が見えてくる。近鉄グループの稀代の総帥・佐伯勇(1903~1989)の邸宅跡を提供したものだそうである。-------
近鉄電車の駅長お薦めハイキングコースに王龍寺がこれまでは取り上げられてこなかったように思うが、王龍寺も見方によっては、優れた観光地の一つであり、お寺の許可を貰ってハイキングコースを設定すればそのルートは結構ハイカーで賑わうのではないかと思うが、現在の誰も訪れない隠れ里の雰囲気はきっと壊れてしまうのだろう。-----
奈良県内には有名な観光寺院が多いけれども、王龍寺の様な商売気のない寺院も捨てたものではないと思った。恐らく、飛鳥カントリーやあすか野住宅地への土地の売却益など王龍禅寺の資産内容は今に至るも恵まれているのだと思った。
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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その551)

2018-02-26 08:15:00 | 奈良・不比等
「本当の大人になるための心理学~心理療法家が説く心の成熟(諸富祥彦著・集英社新書2017刊)」を読んだ。諸富祥彦(もろとみよしひこ1963生れ)氏は筑波大学人間学類・同大学院博士課程修了後、千葉大学教育学部助教授を経て明治大学文学部教授を務めている。専門は心理学でカウンセリング活動も行っているそうである。-----
心理学はフロイトやユングの流れが以前は有力であったが、近年、心理学自体が欧米の流れに合わせて文系から理系に変更される事態となって来ているため、例えば医学部の精神病領域などは完全に理系の学問となっている。「本当の大人になるための心理学」は言ってみれば古い心理学のご託宣を並べているかのような雰囲気もあるけれど、カウンセリングの臨床データとしては古い心理学のほうが豊富な事例を持っているので、当らずとも遠からずの世界では今の古い心理学に頼る人や団体が多いと云えるのだろう。-----
「本当の大人になるための心理学」の章立ては「日本の大人はなせ未熟なのか」「成熟した大人の六つの人生哲学(ひとはわかってくれないものである。人生は思い通りにはならないものである。人は分かりあえないものである。人間は本来一人である。私は私の事をして、あなたはあなたのことをする。仲間から孤立し一人になってもやっていけないことはない。)」「単独者として生きよ」「人生は思うようにならないもの」「うつは中高年を魂の世界へ導いてくれる扉」「思いの他を楽しむ」「あえて本気で生きる」「魂のミッションを果たす」「最高に成熟した人格とは」のようになっており、科学的実験データなどは一切なくて、倫理・道徳・宗教の教えの様な雰囲気すら漂うが、諸富祥彦氏のファンはカウンセリングの活動が盛んな所為かとても多いようだ。それに社会階層の上の方にそのクライアントが集中しているとも考えられる。宗教は嫌いだが心の平安は得たいと人間は勝手な生き物だからこのような心理学も存在価値があるのだろう。理系を振りかざしている心理学が華々しい成果を出すのはもう少し先なのだから。
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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その550)

2018-02-25 08:15:00 | 奈良・不比等
「ミリタリーテクノロジーの物理学<核兵器>(多田将著・イースト新書2015刊)」を読んだ。多田将(ただしょう1970生れ)氏は京都大学理学部博士課程を修了し、現在、高エネルギー加速器研究機構・素粒子原子核研究所准教授をされている。----
「ミリタリーテクノロジーの物理学<核兵器>」は何処かで行われた講演記録を新書に纏めた物であるようで、平易な説明を積み重ねて、原子爆弾の仕組みを詳しく誰でもが分かるように解き明かして呉れている。これまでは機密に関わる物ででもあるかのように構造やその起爆装置などについては公表されなかったと思うが、多田将氏は核爆弾の広島型(リトルボーイ)・長崎型(ファットマン)・水爆に至るまでその構造を明らかにしている。こうした知識は火薬の取り扱い方のように、核爆弾の取り扱い方として21世紀の現代では一般人の常識として知って置かなければならない事項になったのだろうと思った。教えられていなかった作業員が核燃料の臨界を起こした事故などはその知らされていなかった痛ましさが感じられる。毒物の扱いなどと同様に放射性物質の取り扱いやその知識をしっかりと教えることが余計な心配を抱いたりしてしまう危険を防ぐ事に繋がるのだろう。-----
原子炉の減速材と冷却材の話など、難しい話を簡単な例え話を使って、講演会の聴衆に向かってどうどうと説明されたのだなと感心した。断片的にしか知らなかった核兵器の知識を繋がりのある形で説明をされているので、これまで知っていると思っていた知識の内容を改めて整理し直すには最適な本であると思った。核廃棄物の処分地を決めねばならない状況が迫っている中、地方公共団体の職員でもミサイル避難警報を発したりせねばならないのだから、常識的な原子核の物理学的教養はきっと必須なのだろう。
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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その549)

2018-02-24 08:15:00 | 奈良・不比等
「倭の五王~王位継承と五世紀の東アジア(河内春人著・中公新書2018刊)」を読んだ。河内春人(こうちはるひと1970生れ)氏は明治大学文学部卒、同・博士後期中退で、その後、博士(史学)を取得し、現在、明治・立教・中央・大東文化大学及び首都大学東京の兼任講師を務めているそうである。-----
「倭の五王」では、これまでの有力な研究論文を総浚えして新書ではあるが倭の五王(讃珍済興武・421~478)時代の東アジアにおける倭国の立ち位置を説明して呉れている書物であり、これまでの切れ切れの関係書籍をジグソーパズルのように組み合わせて示して呉れているので、日本史だけでは不十分であった古代世界がユーラシアの東アジア世界全体を俯瞰する中で倭国が何故、中国に朝貢したのかを説明している。------
倭の五王の日本書紀との関連付けも色んな説を並べながらこの案が今は有力であるなどと展望論文としては最適な基調講演を聴いているかのような心地よさを感じる位であった。特に、大型前方後円墳が集中する5つの地域の存在が大君グループの複数存在の理由に繋がっているとの説はとても興味深かった。-----
奈良県や大阪府など古墳群を有する府県の関係職員は是非一読すべき本だと思った。
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