北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない
「四角形の七不思議~いちばん身近な図形の深遠な世界(細矢治夫著・講談社BLUEBACKS 2021刊)」を読んだ。細矢治夫(ほそやはるお1936生れ)氏は、1964東大(化学系研究科)博士課程修了、理学博士。理化学研究所/お茶の水女子大学に務めた。専門は物理化学/情報科学/数理科学/グラフ理論の科学物理への応用。現在はお茶の水女子大学名誉教授である。主な著書に“三角形の七不思議(2013)”がある。-------
この本の目次は次の通り。“四角形の基本的性質(チグハグは四角形英語/四角形を等面積に二分する/四角形の2種類の重心/四角形を敷き詰める)”、“正方形の意外な性質(正方形の正方形分割/正方形の中の正三角形/n次元の立方体/螺旋正方形)”、“いろいろな長方形(白銀比/黄金比/名刺/国旗/紙幣/切手)”、“曲者四角形の不思議(レプタイル/ペンローズタイリング/六角形/七角形/十四角形/八角形/十二角形/三角定規)”、“四角く並べた数の不思議(魔方陣/立体方陣/面積魔方陣/平方数/四平方定理/数独)”、“四角形を膨らませる(折り紙から立方体/サイコロの美学/菱形六面体/多面体の系譜/凧形多面体)”、“専門家を悩ませる四角形の不思議(メビウスの輪/トーラス/地図の四色問題/フェルマーの定理/四元数/四角い不可能図形)”、“固くなった頭を四角でほぐそう(将棋囲碁チェス/百人一首/トランプ/麻雀/ルービックキューブ/四角く戦う)”------
細矢治夫氏は、中高の幾何から始まって、大学教養レベルの代数幾何を面白可笑しく書き出しておられる。研究の合間に脱線したような、頭の休憩時間/大人のパズルを試みては如何と誘っておられる。ゲーム性の強い問題ばかりであり、これらに嵌(はま)ると時間の消費が止(とど)まらなくなる。数学の表層だけを捉えるとゲームと変わらないので、もっと深遠な世界に挑戦しないと人生の大切な時間が奪われる。