奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1772)

2021-06-30 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「四角形の七不思議~いちばん身近な図形の深遠な世界(細矢治夫著・講談社BLUEBACKS 2021刊)」を読んだ。細矢治夫(ほそやはるお1936生れ)氏は、1964東大(化学系研究科)博士課程修了、理学博士。理化学研究所/お茶の水女子大学に務めた。専門は物理化学/情報科学/数理科学/グラフ理論の科学物理への応用。現在はお茶の水女子大学名誉教授である。主な著書に“三角形の七不思議(2013)”がある。-------

この本の目次は次の通り。“四角形の基本的性質(チグハグは四角形英語/四角形を等面積に二分する/四角形の2種類の重心/四角形を敷き詰める)”、“正方形の意外な性質(正方形の正方形分割/正方形の中の正三角形/n次元の立方体/螺旋正方形)”、“いろいろな長方形(白銀比/黄金比/名刺/国旗/紙幣/切手)”、“曲者四角形の不思議(レプタイル/ペンローズタイリング/六角形/七角形/十四角形/八角形/十二角形/三角定規)”、“四角く並べた数の不思議(魔方陣/立体方陣/面積魔方陣/平方数/四平方定理/数独)”、“四角形を膨らませる(折り紙から立方体/サイコロの美学/菱形六面体/多面体の系譜/凧形多面体)”、“専門家を悩ませる四角形の不思議(メビウスの輪/トーラス/地図の四色問題/フェルマーの定理/四元数/四角い不可能図形)”、“固くなった頭を四角でほぐそう(将棋囲碁チェス/百人一首/トランプ/麻雀/ルービックキューブ/四角く戦う)”------

細矢治夫氏は、中高の幾何から始まって、大学教養レベルの代数幾何を面白可笑しく書き出しておられる。研究の合間に脱線したような、頭の休憩時間/大人のパズルを試みては如何と誘っておられる。ゲーム性の強い問題ばかりであり、これらに嵌(はま)ると時間の消費が止(とど)まらなくなる。数学の表層だけを捉えるとゲームと変わらないので、もっと深遠な世界に挑戦しないと人生の大切な時間が奪われる。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1771)

2021-06-29 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「新版/絵でわかる日本列島の誕生(堤之恭著・講談社2021刊)」を読んだ。堤之恭(つつみゆきやす1974生れ)氏は、1998広島大学(理学部/地球惑星システム学科)卒、2003同大学院(理学研究科)博士課程修了。同年/国立科学博物館に勤務、2013より同/地学研究部/研究主幹、2015より筑波大学(生命環境系)准教授兼任。著書に“絵でわかる日本列島の誕生(講談社2014刊)”がある。-------

この本の目次は次の通り。“現在の日本列島”、“プレートテクトニクスと付加体”、“プレートテクトニクス”、“日本列島をつくったプロセス/付加体の形成と浸食そして背弧拡大”、“歴史の道しるべ/年代”、“日本列島形成史”、“日本列島形成史の形成史”、“産声/幼少期”、“大きな挫折と成長期”、“独立/日本海/フォッサマグナ/中央構造線の形成”、“日本列島の変動とフィリピン海プレート”、“フィリピン海プレートの方向転換とその影響”、“日本列島に残された謎”、“日本列島の基盤/各論”-------

書籍紹介文は次の通り。私たちの住む日本列島は何時からここにあるのでしょうか/どうして“逆くの字”形なのでしょう/その成り立ちは、我が国に火山や地震が集中していることとも関係しています。今とこれからを知るためにも、過去を明らかにすることは重要です。各地の地質/岩石/岩石を構成する鉱物を詳しく分析することで、次第に列島の生い立ちが分かってきました。地質学の最前線で活躍する著者が国生み伝説の真相に迫ります。-------

堤之恭氏は、従来のローカルな各論的/博物学的な地学者ではなくて、プレートテクトニクスを理解しその理論を踏まえて地形/地質を解析する最新の地学者である。これまでの高校地学の教科書の記述を改める仕事をなさっているのだろう。日本列島だけに視点を置かずに地球誕生以来の地球全体のプレートの動きの中で日本列島が置かれてきた状況/ユーラシア大陸から切り離された地歴を読み解くと云う事を生業(なりわい)とされている。7年で新版とは、この分野の学問の急成長が分かろうと云うものだ。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1770)

2021-06-28 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「形を読む~生物の形態をめぐって(養老孟司著・講談社学術文庫2020刊/1986版の文庫化)」を読んだ。養老孟司(ようろうたけし1937生れ)氏は、東大(医学部)卒、解剖学者/東大名誉教授である。--------

この本の目次は次の通り。“自己と対象(客観主義/実験科学/形態学とは何か/形をあつかう)”、“形態学の方法(具体的な方法/画像と言葉/形態学と言語/方法の限界/馬鹿の壁)”、“形態とは何か(構造の定義/ホロン/構造と輪)”、“対応関係/相同と相似(タコの目とヒトの目/相同関係/具体的な対応関係の検討/相似あるいは類比)”、“重複と多様性(剰余が多様性を導く/構造の剰余/剰余性の統御)”、“純形態学(形だけを扱う/原型としての鰓弓血管/数学的な形の取り扱い)”、“機械としての構造(生物は機械か/素材の違い/現代の機械論)”、“機能解剖学(機能解剖学とは何か/機能における枠組み/機能は形を決定するか)”、“形態と時間(形態学の立場/発生過程と進化過程/発生と形/進化と形)”、“形態の意味”--------

裏表紙の抜き刷り文は次の通り。生物の形態をヒトがどう考え/どう取り扱うかについて、考えを述べた。今まで形態そのものを扱った本は多いが、こういう観点の本はないと思う。生物の形に含まれる意味とは何か。解剖学/生理学/哲学から日常まで、古今の人間の知見を豊富に使って繰り広げられる、スリリングな形態学総論。ものの見方を変える1冊。-------

養老孟司氏の30代後半~40代初めに考えて居られたことを本にしたものだそうだ。後に、唯脳論/バカの壁でブレイクされるのだが、当時すでにその片鱗が窺(うかが)える面白い本だ。生物学者は数学が不得意で、数学者は生物学を好まないとか自然科学の分野でも研究能力に濃淡があるとさらっと書いておられる。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1769)

2021-06-27 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「理工系のための原子力の疑問62~なぜ世界は原子力発電に依存するのか/再稼働をふまえ理解すべき科学的知識(関本博著・2013刊)」を読んだ。関本博(せきもとひろし1945生れ)氏は、京大(工学部/原子核工学)卒、同大学院修士課程修了、カリフォルニア大学バークレー校(原子核工学)PhD取得。ゼネラルアトミック勤務を経て、1976より東工大に務める。現在は同名誉教授。-------

この本の目次は次の通り。“原子力のパワーはどれだけすごいのか(核反応と化学反応との違いは/核反応は容易には起こせない/連鎖反応と臨界とは/核分裂ではどのような物質が生まれるのか/火力発電との比較/再生可能エネルギーとの比較/原子力を超えるエネルギーはないのか)”、“原子力の発電の仕組みとは(原子炉の構造/核分裂エネルギーをどのようにして電気に変えるのか/なぜ燃料にウランが使われるのか/減速材とは何か/中性子の減速はどのように行うのか/未臨界から臨界にするには単に制御棒を抜いていくだけで良いのか/原子炉の出力はどのようにして変化させるのか/負のフィードバックとは/核分裂が進むと未臨界になるのでは/濃縮ウランの作り方/軽水炉の構造/どうして高速炉開発に力を入れるのか/高速増殖炉は軽水炉に比べて安全か/核燃料は十分にあるか/原子炉は発電以外にも利用されているのか)”、“原子力が抱える問題とは(核兵器への転用は可能か/放射線放射能放射性物質とは何か/今までの事故での被爆の程度/原子炉を停止してもなぜ冷却が必要なのか/どのようにして放射性物質を閉じ込めるのか/地震が起きた際の安全策は/核廃棄物の処理処分/情報公開)”、“原子力と人類の将来(もっと安全な原子炉は造れないのか/固有安全炉とは/原子力はいつまで必要なのか)”------

関本博氏は、東日本大震災を挟んで、この本を執筆された。その間、出版が中止されるのでは危ぶんだそうだ。流石にサイエンスアイ新書のシリーズだけあって予定通りの出版となった。本物の原子核工学の専門家の手になる本なので、素人向けとしてはよく書かれた本であり、理系出身の原子力反対派の人にこそ読んでほしい本であるのだと思った。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1768)

2021-06-26 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「高次元空間を見る方法~次元が増えるとどんな不思議が起こるのか(小笠英志著・講談社BLUEBACKS 2019刊)」を読んだ。小笠英志(おがさえいじ)氏は、東大大学院(数理科学研究科)博士課程修了、1996博士(数理科学)。数学者/作家/大学教員。-----

この本の目次は次の通り。“高次元空間とは/高次元空間という言葉を数学的にきちんと説明しておきましょう”、“高次元の出てくる例/日常レベルのことを調べることから経済や自然観測までかなり多くの処で高次元空間は基本事項である(複素関数/物理/高次元に行けるのか)”、“宇宙について/我々の存在している宇宙について少しばかり(相対論/時間について/標準理論/超弦理論/我々の世界が実は高次元だ)”、“結び目がほどける/高次元空間を見るとはどのような精神状態か体験させて差し上げましょう(3次元空間の中では結ばれていた円周が4次元空間の中では必ずほどける)”、“4次元で結ばれる/4次元空間の中でもやはり結ばれるものはある/4次元空間を直感力で念想しよう(4次元空間の中の球面/球面は4次元空間の中で結ばれる)”、“高次元で結ばれる/高次元空間の中でもやはり結ばれるものはある/高次元空間を気合で直覚する”、“次元を1つ上げる/次元を1個上げれば右手系左手系は区別できない/次元を1個上げることを想像して直感する”、“高次元空間で操作する/高次元空間の中の図形を局所の操作だけで変形する様子を観照する”、“3次元だけでも高次元が必要/3次元空間の中だけ考えていても高次元の複雑な図形が出現する”------

科学の世界では既に高次元空間の理解が欠かせないのだが、日常生活では、全てが3次元空間までに留(とど)まってしまっている。小笠英志氏は、4次元以上の高次元空間の絵解きを学問として行ってこられている。読者の何割かに、実際に高次元空間の体感をせしめるべくこの本を書かれている。でもそう簡単に小笠英志氏の言う目に物見せてあげると云う約束は100%ではないと思った。でも理論物理学者に必須の数学者はぶっ飛んでいる方が多い。この本「高次元空間を見る方法」は、BLUEBACKSシリーズにピッタリと云えるのだろう。

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