北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない
「邪馬台国は朱の王国だった(蒲池明弘著・文春新書2018刊)」を読んだ。蒲池明弘(かまちあきひろ1962生れ)氏は、早稲田大学卒で、読売新聞社(経済部)に入社するも、中途退社し、桃山堂出版を設立した。自らも歴史神話に係わる著述をしている。「邪馬台国は朱の王国だった」は、邪馬台国と大和朝廷の成立の頃を、当時貴重であった鉱物資源の朱(辰砂・水銀と硫黄の化合物/HgS)の探鉱・開発・争奪を追って、古代国家の九州から大和への東遷を意味づけている。これが真実の歴史に近いかどうかは別にして、結構真剣に論考されている。朱の貴重さは防腐剤であり、仙薬であり加熱すれば水銀となり、陵墓の造営にも欠かせない材料であったことは確かである。-----
蒲池明弘氏は理系の人ではないので、鉱物としての朱のことを詳しくご存じではなくて、受け売りの文言が多く、殆どが古代史を邪馬台国から説き起こして、奈良時代の大仏造営までを走り抜けるような章立てになっている。朱に目を付けたことは、これまでの日本古代史の解釈に新たな一石を投じるのではと蒲池明弘氏は述べているがそれ程に、センセーショナルな内容でもなくて、これまでも何方(どなた)かの著作で読んだような気のすることが多かった。でも、朱で一冊の新書を書きあげられているところは大したものである。奈良県も嘗ては朱の鉱床が多く存在したそうであり、記紀で観光振興を図ろうと云う自治体の部局では読んでおいた方が良いだろうと思った。
「邪馬台国は朱の王国だった(蒲池明弘著・文春新書2018刊)」を読んだ。蒲池明弘(かまちあきひろ1962生れ)氏は、早稲田大学卒で、読売新聞社(経済部)に入社するも、中途退社し、桃山堂出版を設立した。自らも歴史神話に係わる著述をしている。「邪馬台国は朱の王国だった」は、邪馬台国と大和朝廷の成立の頃を、当時貴重であった鉱物資源の朱(辰砂・水銀と硫黄の化合物/HgS)の探鉱・開発・争奪を追って、古代国家の九州から大和への東遷を意味づけている。これが真実の歴史に近いかどうかは別にして、結構真剣に論考されている。朱の貴重さは防腐剤であり、仙薬であり加熱すれば水銀となり、陵墓の造営にも欠かせない材料であったことは確かである。-----
蒲池明弘氏は理系の人ではないので、鉱物としての朱のことを詳しくご存じではなくて、受け売りの文言が多く、殆どが古代史を邪馬台国から説き起こして、奈良時代の大仏造営までを走り抜けるような章立てになっている。朱に目を付けたことは、これまでの日本古代史の解釈に新たな一石を投じるのではと蒲池明弘氏は述べているがそれ程に、センセーショナルな内容でもなくて、これまでも何方(どなた)かの著作で読んだような気のすることが多かった。でも、朱で一冊の新書を書きあげられているところは大したものである。奈良県も嘗ては朱の鉱床が多く存在したそうであり、記紀で観光振興を図ろうと云う自治体の部局では読んでおいた方が良いだろうと思った。