奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1622)

2021-01-31 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

奈良県北中部は、久方振りに無風で雲一つない今年一番の晴天となった。午後2時の東の空には上弦の月(月齢7.9)が浮かんでいる。気温は摂氏11度を上回ったようだ。午前に出掛けた時は、何時ものようにネックウォーマーを首に巻いていたのだが、不要となった。-------

秋空のように澄み切った青空ではないが、明るく淡い青空で、遠くの山々がシルエットになって見えている。近鉄奈良線の最寄り駅のプラットホームから南の方面を見ると、3つの山のシルエットが重なって僅かにその濃淡を違えて望まれるのだ。多分、大阪府との府県境に屹立する金剛山とその手前の葛城山と二上山のようだ。-------

大阪府の最高峰は金剛山(1125m)であり、奈良県の最高峰は大峰山の八経ヶ岳(1915m)である。しかし、奈良県北中部からは吉野/大峰山の山塊/山容は遠すぎて全く見えない。だから金剛山の雄姿が奈良県側からも否応なく立派に見えるのだ。-----

“倭は国の真秀(まほ)ろば/畳なづく青垣/山ごもれる大和し美(うるわ)し”と古事記に書かれているように、奈良県北中部を形成する奈良盆地を取り巻く山々は、その殆(ほとん)どが低山である。西側の金剛山/葛城山/二上山/信貴山/生駒山(642m)はある程度名を知られているが、東側では春日山/三笠山/若草山/御蓋山/高円山/三輪山、北側では笠置山、南側は先述の通り見通せない。------

天気が良いので軽くお出かけした帰り、大和西大寺駅発で女性車掌搭乗の“KAIYUKAN TRAIN(海遊館30周年記念デコラティブ列車)”に再び乗れてラッキーだった。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1621)

2021-01-30 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「天空の城ラピュタ~ジブリの教科書2(スタジオジブリ&文春文庫編・文春ジブリ文庫2013刊)」を読んだ。扉の監督紹介文は次の通り。宮崎駿(みやざきはやお1941生れ)氏は、1963学習院大学(政治経済学部)卒、東映動画に入社。後、Aプロダクション/ズイヨー映像/日本アニメーション/テレコムを経て、1985年にスタジオジブリ設立に参加する。“風の谷のナウシカ(1984)”以来、“天空の城ラピュタ”、“となりのトトロ”、“魔女の宅急便”、“紅の豚”、“もののけ姫”、“千と千尋の神隠し”、“ハウルの動く城”、“崖の上のポニョ”を発表し、2013年には“風立ちぬ”を公開した。-------

この本「天空の城ラピュタ」の目次は次の通り。“パズーとシータの内なる軌跡(ナビゲーター森絵都)”、“映画天空の城ラピュタ誕生(スタジオ設立/借金を背負って発足/時代を超えていく通俗文化をつくりたい/現代人全体への友愛の物語/古くからの児童文学とラピュタの輪郭)”、“大冒険活劇ラピュタの現場(ナウシカからの連続性/密度の濃い音楽/日常を描けばアクションも生きる/鳩のカット/痛そうにいじめてくれ/この原画はラフにもなっていない/楽しき空中海賊ドーラ一家)”、“作品の背景を読み解く(石田衣良/荒俣宏/湯本香樹実/山本史郎/加藤貞一/上橋菜穂子/ヤノベケンジ/夢枕獏/宮崎至朗)”、“天空の城解題(大塚英志)”-------

“天空の城ラピュタ”がどのように制作されたかその一端を知るには格好の本である。だから教科書的にその材料を集めてあるのだろう。イギリスウェールズの炭鉱町を取材してその風景を取り入れている話など興味深いのだ。------

ジブリ作品の人気NO.1は、実はこの“天空の城ラピュタ”であるというのが、興行成績は別として、世界のファンの思うところだそうだ。2位は“風の谷のナウシカ”であり、この2つは時代を超えて見続けられることだろう。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1620)

2021-01-29 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「経済学の堕落を撃つ~自由VS正義の経済思想史(中山智香子著・講談社現代新書2020刊)」を読んだ。中山智香子(なかやまちかこ1964生れ)女史は、早大大学院(理論経済学/経済史専攻)博士課程単位取得退学、ウィーン大学大学院(経済学研究科)博士課程修了。現在は東京外国語大学(総合国際学)教授である。専門は社会思想史/経済思想とのこと。------

この本「経済学の堕落を撃つ」の章立ては次の通り。“経済学の分岐点/倫理から倫理フリーへ(市場は自由競争に任せるべきか理念と方法を問う/暮らしか進歩かダーウィニズムと経済学/逸脱の始まり/経済学からの価値の切り離し社会主義経済計算論争の行方)”、“アメリカニズムという倒錯(自由か生存か大戦間期の平和の現実/マネジメント市場の見える手/経済成長への強迫観念と新たな倒錯の始まり/工業化される農/食に見るアメリカニズム)”、“新たな経済学の可能性を求めて/擬制商品の呪縛から離れて(世界システム分析の登場/人間を取り戻す労働から人間へ/オカネとは何かレントおよび負債を巡る思考/土地とは何かそして誰かとともに食べて生きること)”-------

中山智香子女史は、大学教養レベルの経済学の教科書を書くつもりだったそうだ。そのことを“終わりに”で次のように書いている。カールポランニー(1886~1964)を思想の軸として、経済学/経済思想が1880年代から現代に至る140年ほどの時代に、自由か正義かの価値や理念を巡って論じられてきたこと、自由主義の経済学が科学に追従して次第に変質し、平和や公正などの社会的理念に関しては驚くほど脆弱な基盤しか持ち得なかった。しかしその間に人間の生存や平和に関して、さまざまに体系的な思索が為されたことを考察してきた。------

ソ連の崩壊後、社会主義経済という反面教師が無くなったことにより、自由主義経済も迷走していると中山智香子女史は嘆いているのだ。経済学そのものが理系に取り込まれてしまって、社会正義とどのように折り合いをつけるかといった問題に対して経済学が無力になってしまったと言うのだ。文系の矜持を持てと檄を飛ばしているのである。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1619)

2021-01-28 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「負けてたまるか日本人~私たちは歴史から何を学ぶか(丹羽宇一郎&保阪正康共著・朝日新書2020刊)」を読んだ。丹羽宇一郎(にわういちろう1939生れ)氏は、名古屋大学(法学部)卒、伊藤忠商事入社、社長/会長まで務めた。中華人民共和国特命全権大使も務めて、現在は、日中友好協会会長である。保阪正康(ほさかまさやす1939生れ)氏は、同志社大学(社会学科)卒、編集者を経て作家活動を続けている。“昭和史を語り継ぐ会”を主宰している。------

この本の目次は次の通り。“社会不安の時代から次代への申し送り(保阪正康)”、“1945年の記憶から始めよう(黒板に書かれたミンシュシュギ)”、“なぜ歴史を伝えなければならないのか(史料を疑う姿勢/記録されない真実/日米同盟から見れば日本はアメリカの占領国/怖いのは沈黙の罠/戦争反対よりも戦争に近付くな/原子物理学者たちは悪魔の手先か天使の恵みか/ちょっと待てと言うのが文系の役目)”、“戦争を直視する(ワンチームで起こった戦争/軍事が政治を制する異様な仕組み/歴代天皇は戦争を恐れた/全く変わらない日本人の精神風土)”、“日本社会の空気とリーダーのあり方(ビジネスの世界では通用しない安倍首相の責任逃れ/政治家と役人にイェローカードのルールを/政治も企業も権力者は6年で腐る/瀬島龍三の三つにまとめろ/株主優先が問われる)”、“批判する勇気/アメリカ/天皇/朝鮮半島(日米関係の真相と天皇の政治利用/天皇を批判するということ)”、“日本と中国の関係を考える(14億人の国で資本主義の実験中/中国は連邦制国家へ進むべきだろう)”、“2020年からの日本と日本人(コップの中の水は変わっているか/古い水に浸かっていたら歴史は繰り返す/お金で幸福感が増すのは年収800万円まで)”、“読書のすすめ(知らないことが山ほどあるからどんどん読む)”、“未来と過去からの問い掛け(日本人の不安と空威張り/私たちの覚悟)”、“小さな蟻は何を見ているのか(丹羽宇一郎)”--------

丹羽宇一郎氏は早生れで保阪正康氏と学年は一つ違いで、小学1年生入学が1945.4と1946.4と1年の開きがあり、戦争中と戦後直ぐとなる。でも幼年であり、記憶としては同一だろう。二人の対談は縦横無尽で引っ掛かりがなく、とても興味深い本となっている。後半は幾分、大言壮語的になるがそれも面白いのだ。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1618)

2021-01-27 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

食品スーパーの品揃えを眺めながら考えた。農林水産物は、国内消費者向けに衣食住の食に関する内需を満たしているのだ。棚に並べられている生鮮食料品の大部分が国内産品である。------

加工食品の場合は中国産/南米産/東欧産などが多くなるのだ。米/野菜/果物/魚/食肉など個人消費する食品は産地表記を見ると国内が圧倒的に多い。--------

外食産業が価格の安い中国などの海外産品を料理の材料として使用していることは明らかであり、料理を低廉な価格でお客に提供するには必須のことだ。-------

ファストフードのメニューが比較的低価格で提供されている理由も、日本国内産ではなくて、オーストラリアの肉であったりするのだ。パインアップルやグレープフルーツは、勿論、海外産なのだ。--------

年明けからは真っ赤な“苺(いちご)”が、蜜柑(みかん)を押しのけて所狭しと並べられている。苺の産地を見ると長崎県産の“恋みのり”など奈良県産よりも多く並んでいるのだ。傷みやすい苺の場合、輸送費を考えれば地産地消が理想だと思うのだが、なぜ遠い九州などから運んでくるのだろうか。------

奈良県の農林業を考えるとき、県内に100万人もの京阪神へ通うサラリーマン家庭という大消費人口が存在するのだから、苺なら奈良の誇る“アスカルビー”、“古都華”、“ゆめのか”などのブランド品も沢山あり、わざわざ他県から買い付ける必要などないのではなかろうか。------

奈良県内の消費者の食を満たす生鮮食料品を生産出来れば、全て地産地消で売り尽くすことができるのである。奈良県と地元市町村はその農産品のベストチョイスを選定して生産奨励と県内地産地消を促すべくベッドタウンのサラリーマン家庭に協力を呼び掛けては如何だろうか。品質は他県に負けないようにして、価格も若干お得に押さえて提供すれば県内の農業は万々歳なのだ。“なら食と農の魅力創造国際大学校”ではそのような実際的な研究を行政と歩調を合わせて行うべきだろうと思った。

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