北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない
「直木賞をとれなかった名作たち(小谷野敦著・筑摩書房2023刊)」を読んだ。小谷野敦(こやのあつし1962生れ)氏は、東大(文学部)卒/同大学院(比較文学/比較文化専攻)博士課程修了/学術博士。阪大助教授/東大講師を経て、作家/文筆家。著書に、“もてない男/宗教に関心が無ければいけないのか/大相撲40年史/聖母のいない国/現代文学論争/谷崎潤一郎伝/里見弴伝/久米正雄伝/川端康成伝/非望/母子寮前”など。--------
この本「直木賞をとれなかった名作たち」の目次は次の通り。“戦前昭和(夢野久作/ドグラマグラ1935/中野実/花嫁設計図1935)”、“戦後昭和1(織田作之助/それでも私は行く1947/徳永直/妻よねむれ1948)”、“戦後昭和2(倉橋由美子/夢の浮橋1971/広瀬正/エロス/ツィス1971)”、“その後(三浦綾子/われ弱ければ/矢嶋楫子伝1989/吉本ばなな/TUGUMI1989)”--------
この本「直木賞をとれなかった名作たち」の内容紹介文は次の通り。直木賞を取ってしかるべきだった83作品を独自基準で選出。理屈抜きに面白い名作を紹介し、文壇の零(こぼ)れ話を交え昭和から現在までの文学史を裏側から描き出す。こんな文学史もあっていいんじゃないか。本当の大衆文学史。--------
小谷野敦氏は、阪大助教授になっておきながら/何らかの理由で/そのアカデミックポストを捨ててしまわれたのではないかと思う。この本「直木賞をとれなかった作品たち」にあるように/ご自身が“直木賞”を取って下世話な世界/世間に生きる作家になりたかったのではないのか。