北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない
「名優滝沢修と激動昭和(滝沢荘一著・新風舎2004刊)」を読んだ。滝沢荘一(たきざわそういち1936生れ)氏は、名優滝沢修(1906~2000)の長男である。東大(教養学部アメリカ科)卒、東大/新聞研究所修了。毎日新聞/外信部/編集委員/熊本大学(法学部)教授/1998~2007富山国際大学教授。専攻は国際政治論/米国現代政治とのこと。-------
この本の目次は次の通り。“死去伝える各紙の報道”、“意に反して俳優の道に”、“大戦前夜/新劇弾圧で逮捕される”、“思想検事との対決”、“東京拘置所での日々”、“獄中で知った日米開戦”、“農家に弟子入り”、“農作業に見つけた喜び”、“北海道での移動演劇”、“どうもありがとう”、“滝沢さんのこと/木下順二”、“解説/名優の生み出す伝説/宮下展夫”------
裏表紙の抜き刷り文は次の通り。戦禍にまみれた激動の時代に反戦平和を貫いた伝説の名優“滝沢修”の愛と波乱の生涯。拘置所での日々/農民への転身/妻文子への愛など長男/荘一氏が初めて明かす秘話の数々は、日本の新劇を築いた名優の知られざる生き方を焙り出し、同時代を生きた人のみならず若者たちの胸をも激しく揺さぶった。大学で国際政治を教える著者が一気に書き下ろした激動昭和史の生々しい証言。名優/滝沢修の魂を余すところなく描き、改めて平和や家庭の大切さを問う感動のノンフィクション。-------
滝沢修がNHKの大河ドラマで吉良上野介(1964)/藤原秀衡(1966)を演じていて存在感が大きかったことを今も覚えている。私生活を明かさなかった父親/滝沢修の私的な資料を纏めて書籍として残しておくことに使命を感じたと仰られている滝沢荘一氏の誠意が溢れる本となっていると思った。そして戦前の治安維持法の被害者の一人が滝沢修氏であることが良く分かった。