奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1316)

2020-03-31 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「エゴの力(石原慎太郎著・幻冬舎新書2014刊)」を読んだ。石原慎太郎(いしはらしんたろう1932生れ)氏は、一橋大学(法学部)卒、“太陽の季節”で芥川賞を受賞(1956)した。以後、作家/政治家(1968~2014)/都知事(1999~2012)として活躍してきた。-----

裏表紙の抜き刷り文は次の通り。恋愛/結婚/進学/就職/転職/起業、人は人生の中の岐路で悩んだ時、第三者の助言やマニュアルを頼ろうとするが、結局何を選択するかを決めるのは自分自身。その人の“エゴ”である。つまり失敗しない人生を送るには強くて健全な“エゴ”を育てるしかない。博覧強記の著者が古今東西の文献/偉人の足跡からその人物の“エゴ”が光り輝いた感動的瞬間を蒐集。人生の定理とともに“エゴ”という力の蓄え方が良く分かる画期的自己啓発エッセイ。------

章立ては次の通り。“個性の発露/フィロソフィー”、“恋愛・夢/ディスティニー”、“スポーツ・肉体/プロフェッショナリズム”、“教育・就職/ライフスタイル”、“政治経済/マネージメント”-----

田中真紀子/池上彰に“暴走老人”と呼ばれても“暴走老人の石原です”と受け流していたが、流石に恥ずかしかったのか、石原慎太郎が政治家を引退したころの著作である。だから本書「エゴの力」は意外と真面目な本となっており、自身の傍から見れば結構強運の人生の来し方を振り返って、これからの若い人後進に向けて、自分で決めて人生を歩むようにと諭しているのである。古典に始まり、自身の人生まで隠さず参考にしてくれと披露している。政治家色のない作家の石原慎太郎が戻ってきたかのようだ。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1315)

2020-03-30 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「人間使い捨て国家(明石順平著・角川新書2019刊)」を読んだ。明石順平(あかしじゅんぺい1984生れ)氏は、東京都立大学(法学部)卒、法政大学法科大学院修了。弁護士として、労働事件/消費者被害事件を専門に弁護をしている。-----

扉書きの抜き刷り文は次の通り。働き方改革が叫ばれる一方で、今なお多くの労働者が低賃金/長時間労働を強いられ命が危険にさらされている。ブラック企業被害対策弁護団の事務長を務める著者が、低賃金/長時間労働の原因である法律とその運用の欠陥を様々なデータや裁判例と共に明らかにする衝撃の書。-----

章立ては次の通り。“悲惨な日本の現状/世界はこんなに働いていない”、“穴だらけの法律/裁量労働制は残業代ゼロ制度”、“固定残業代/凄まじいコストカット効果/思考停止する裁判官”、“コンビニ/現代の小作農”、“外国人労働者/現代の奴隷労働”、“公務員/公営ブラック企業/悪魔の法律給特法”、“自民党と財界/国民を貧乏にしただけのアベノミクス”、“脱・人間使い捨て国家”------

明石順平氏は30代の若手弁護士であり、TVドラマに登場する悪徳弁護士とは対極におられる正義派であると思った。米ソの冷戦終結後、世界はグローバル化を突っ走ったのであり、日本でもそれがどのように国内事情を疲弊させるのかの議論もあったが、名案のあるわけもなく無策で来た結果(派遣法などで労働環境の改悪はしている)、日本の労働賃金は急速に低下してしまった。ブラック企業が跋扈したり、フランチャイズ制が幅を利かしたり、正社員/公務員でさえも過酷な労働に喘(あえ)いでいる。明石順平氏は訴訟を通して、日本の美徳の欠片(かけら)もない政界/財界/官界/司法界の不出来を嘆くだけでなく、改善策を終章で提案されている。世界中の労働対価が何時かは同一労働同一賃金に収斂する事態が日本においては余りにも急速であり、今もその傷が癒えないと言うことだと思うが、明石順平氏は許せないと激高するとともに嘆いておられる。日本には弱い者虐めをする悪い奴が多すぎると。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1314)

2020-03-29 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「ぼくたちの離婚(稲田豊史著・角川新書2019刊)」を読んだ。稲田豊史(いなだとよし1974生れ)氏は、横浜国立大学(経済学部)卒、キネマ旬報社でDVD業界誌/書籍編集に従事した後、2013よりフリーランスとして活動している。------

扉の抜き刷り文は次の通り。いま日本は3組に1組が離婚する時代と言われる。離婚経験のある男性にのみ、その経緯や顛末を聞く、今までになかったルポルタージュ。人間の全部が露わになる。すべての離婚者に贈るぼくたちの物語。-----

目次は次の通り。“離婚は人間の全部”、“家族を背負えないぼくたち(夫になれない/人は壊れる/家族が得意じゃない/かわいそうだから結婚した/父の条件)”、“妻が浮気に走った理由(殿方たちのお気に召すまま/完璧なあなた勝ち組のわたし)”、“壊れた伴侶(頑張ってもしょうがない/おかしいのはどっちだ)”、“業と因果と応報と(欲しいものだけ欲しい/離婚してよかった)”-----

稲田豊史氏自身も離婚経験者だそうで、普通は離婚の顛末をべらべらと喋る男性は少ないのだろうが、インタビューに応じてくれた事例を数多く並べて書籍化してしまった稀有の書である。----

タイトルの「ぼくたちの離婚」が、嘗てヒットしたTVドラマ“高校教師(真田広之&桜井幸子2003)”の主題歌“ぼくたちの失敗(歌/森田童子1953~2018)”と似ていることに気付いた。恋愛の成就が達成される前に破綻するのか、結婚にまで至っても奈落が待っていることも多いのだとの警鐘を鳴らすものであるのか。人口が増えると様々な理由で生き辛くなり、今度は人口の自然増が抑制されていくものであると観念すれば問題と考える必要もないのだが、皆同じでなければならないと考える人には理解不能なのかもしれない。でもこの本「ぼくたちの離婚」を読むと、人の心情というのはそれこそ様々で決めつけることは出来ないのだと教えられるのである。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1313)

2020-03-28 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「でか足国探検記(椎名誠著・新潮文庫1998刊/1995版の文庫化/現地訪問は1991)」を読んだ。椎名誠(しいなまこと1944生れ)氏は、東京写真大学中退、流通業界誌を経て、現在は作家/“本の雑誌”編集長/映画監督として活動している。------

裏表紙の抜き刷り文は次の通り。南アメリカ大陸の南端、パタゴニア地方。スペイン語で“でか足族が住むところ”と名付けられた地を“あやしい探検隊”が行く。町で食べたタラバガニに哲学的思索を巡らせ、大氷河に悠久の時を感じ、アザラシの恐るべき生態の謎を探る。民俗学/生物学から食物に関する蘊蓄まで様々な雑学を縦横無尽に展開しつつ、現場主義を貫き冒険魂を忘れない。ハプニング続出超面白紀行である。------

椎名誠氏はパタゴニア探訪を2回行っている。1回目(1983)の様子は“パタゴニア/あるいは風とタンポポの物語(情報センター出版局)”に書いている。旅行記の形を借りた私小説になっている。しかし、2回目の本「でか足国探検記」は、楽しく読める本当の旅行記となっているのだ。-------

あやしい探検隊シリーズとも少しく異なっていて、最果ての地への旅行の目的と言うが、具体的な目標を挙げずに、現地の原住民、山や川、動植物を片っ端から探索していくのである。大航海時代に、パタゴニア訪れた著名な探検家を気取って真似をするのである。でも“のっけから”遠大な旅程は頓挫する。それも頼みの帆船“ヴィクトリア号”がおんぼろ過ぎて波風の荒いホーン岬やドレイク海峡は勿論のこと、マゼラン海峡へも行けないのである。仕方がないので8名の探検隊は旅程だけを只管(ひたすら)無為に時を過ごすのである。勿論、近隣を探訪はするので、ペンギンや氷河を求めて歩き回るのである。そしてそれでも時間が余ったのか、フォークランド諸島に3カ月も滞在するのである。本の内容としては、以前に行った旅行の思い出話が満載で、パタゴニアを忘れさせるほどなのだ。椎名誠氏のファンには興味深く堪(こた)えられない1冊だと思った。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1312)

2020-03-27 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「探偵の現場(岡田真弓著・角川新書2020刊)」を読んだ。岡田真弓(おかだまゆみ1968生れ)女史は、2003総合探偵社を設立し探偵業界で売上№1を達成した。ラジオ日本でパーソナリティも務めている。-----

扉の抜き刷り文は次の通り。探偵社にくる依頼の8割は不倫調査である。本書では不倫をした/された人たちのその後も含めた調査の全貌など、一般人には想像もつかない探偵だけが知っている生々しい現場を解説。------

章立ては次の通り。“不倫する人の末路”、“不倫調査最前線”、“探偵が集める不倫の証拠”、“探偵の実情”-----

探偵業法の施行(2006)の4年前に開業されていた先見の明に驚かされるが、岡田真弓女史はとても有能な人物のようだ。東京砂漠とも称され、生身の人間には生きていくのが辛い一極集中の都市“東京”で、探偵社への依頼の需要は恐らく限りないだろう。しかし、ある程度セレブでないと調査費を支払えないだろうから、下々の痴話喧嘩は相手にしない処が、岡田真弓女史の探偵社の運営方針であるのだろう。調査費を踏み倒された話などは出てこない。またセレブであるとお小遣いが豊富で使い道に困れば、不倫に走る端緒も数多く存するだろうから、人間の表の評判と裏では大いに異なるとも書いている。その事例を週刊誌のゴシップ記事のごとく並べ立ててくれている本であり兎に角面白いのだ。でもこのような他所のご家庭のゴタゴタを読んで楽しむのはどうかと思う方にはお勧めできない本となっている。でも読んでしまうのは困ったものである。民放テレビの内容を批判できない所以(ゆえん)である。

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