奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その402)

2017-09-30 08:15:00 | 奈良・不比等
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歴史ファンタジー小説・北円堂の秘密

「日本文化をよむ~5つのキーワード(藤田正勝著・岩波新書2017刊)」を読んだ。藤田正勝(ふじたまさかつ1949生れ)氏は京大卒の京大教授であり、日本哲学史を専攻されている。京大西洋哲学は梅原猛氏によれば、西洋哲学翻訳所であり、絶望したと述べられている。その中でも西田幾多郎だけが気を吐いて来たが難解すぎて後継者が育たない。西田哲学も「善の研究」なのか「禅の研究」なのか判然としない代物で有り今では忘れ去られようとしているように見える。その西田哲学にもう一度脚光を浴びせようとして来られたのが藤田正勝氏である。-----
「日本文化をよむ」の5つのキーワードとは、西行の心、親鸞の悪、長明と兼好の無常、世阿弥の花、芭蕉の風雅であり、最後の章では、西田哲学がこれらのキーワードを中心に構成されていると述べている。また自らの専攻する日本哲学の振るわない理由として、論理性の欠如と、感性を論ずる美学との混同により西洋哲学とは太刀打ちできず、特定の人物の思想や宗教をひっくるめて日本哲学の特異性を主張する事もあるが世界には通用せず少なくとも学問的にはガラパゴスだと“けんもほろろ”である。-----
奈良県は日本文化の発祥地であるという誇らしい歴史が有るけれど、藤田正勝氏の示す5つのキーワードに古都奈良が関与している箇所はどこにもない。綺麗さっぱり忘れられているようだ。近年、侘び茶の創始者として村田珠光を古都奈良ではクローズアップしているが何時まで続くだろう。都が京都に移ってからは南都しての影響力は有ったが都・京都のヒンターランドに過ぎなかったようだ。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その401)

2017-09-29 08:15:00 | 奈良・不比等
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歴史ファンタジー小説・北円堂の秘密

古都奈良の東向き商店街から興福寺境内に掛けて、浴衣(ゆかた)掛(が)けの若い女性を見掛けるようになった。二人連れに擦れ違う時、背の高さに驚いた。170cm以上の身長と思われた。そしてどうやら日本人ではなさそうで中国あるいは韓国の女性のようであった。気温が日中でも25度以下の9月下旬なので薄っぺらい浴衣地(ゆかたじ)の着物は洋装の上に重ね着をしているのでした。それでも彼女たちは日本の伝統文化の着物を実際に身に付けて街や奈良公園を歩き満足しているようでした。------
京都では舞子さんや芸子さんの衣裳が人気とは以前から知っていたが、最近では古都奈良でも外国人観光客の必須アイテムとなっているようだ。------
国内観光客の場合は流石に秋になってから浴衣を着るなんてどうかしていると思うでしょうから、天平衣装などを貸し出したりはしているが、安物の仮装行列のようでそれ程の人気は無い。-----
近鉄奈良駅から直ぐの東向き商店街辺りのロケーションは、浴衣地の着物観光にとっても頗(すこぶ)る便利であり、あっと言う間に、奈良公園の興福寺境内で世界遺産の建物をバックにした記念撮影が出来るのである。これが三条通りを上って来なければならないJR奈良駅だとこうは行かない。現在、東向き商店街のアーケードを改修するのでデザインのアイデア募集が為されているけれど、まるで「ドラえもん」の「どこでもドア」のように手品のように奈良公園に入れますと宣伝すれば如何だろうか。
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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その400)

2017-09-28 08:15:00 | 奈良・不比等
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歴史ファンタジー小説・北円堂の秘密

「日本思想の古層(梅原猛&川勝平太著・藤原書店2017刊)」を読んだ。「梅原猛(うめはらたけし1925生れ)」氏は日文研・初代所長であり、「川勝平太(かわかつへいた1948生れ)」氏は早大卒・オックスフォード大学院、早大教授、日文研教授を経て、静岡文化芸術大学学長で、静岡県知事を務めている。-----
「日本思想の古層」では梅原猛氏と川勝平太氏の対談・2編と川勝平太氏の書き下ろし論考で構成されている。梅原猛氏の日本の古代学は有名だが、川勝平太氏ももっと鋭く切り込んだような日本の古代像を提示して呉れている。川勝平太氏の家系が古代豪族の京都の秦氏であり、秦河勝(はたのかわかつ)の娘に係わる一族が京都の亀岡一帯に今も住んでいるのだそうである。勿論、川勝平太氏の名字の「川勝」は秦河勝の姓名の名前の方の「河勝」を名乗ったに違いないと考えられている。-----
聖徳太子の係累が後世全く見当たらないのに較べて、パトロンとも云われた秦氏にはその子孫が実在している。また、聖徳太子より秦河勝が賜った広隆寺の弥勒菩薩も現存する。歴史的にリアルな存在感を示す秦氏の本宗家は皇極3年(644)に秦河勝が配流されて終わりを告げているとのこと。-----
梅原猛氏は母方の出所が東北人の色濃い処から、縄文文化への傾倒も強い。日本には汎ユーラシア文化の3つの層が時代的に重なっていると云う。それは最下層が縄文文化であり、その上に弥生文化があり、更にその上に現代に続く古墳文化が始まったのであると説いて居られる。そして汎ユーラシアの文化が日本列島に伝わるとそれぞれに日本化して定着し現在の日本の伝統文化となっているのだと云う。言葉にすると「山川草木悉皆成仏」であると仏教用語で説明をされている。-----
南都六宗では難解なままであった仏教も時代が下がって庶民にまで布教される段階では相当に砕けた教義に成るものである。古都奈良でも薬師寺が難しいことを云わずに写経で寺勢を回復されたが、何時の時代も庶民レベルへの浸透は小難しくない方が効果が高いのだろう。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その399)

2017-09-27 08:15:00 | 奈良・不比等
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歴史ファンタジー小説・北円堂の秘密

JR西日本の大阪駅には「ホテルグランビア大阪(HOTEL GRANVIA OSAKA)」があり、1階の「カフェレストラン・リップル」ではブレンドコーヒーをお代(か)わり有りで750円とリーズナブルに提供している。大阪駅の中央コンコースであり大層流行っている。一応2時間の時間制限が有るけれど、待ちが生じなければ追い立てないと云う。------
古都奈良では修学旅行生に対してはカフェ文化の展開は不要だろうが、大人の国内観光客にしても外国人観光客にしても休みがてら立ち寄るカフェがあれば良いのだろうが、東大寺までの道すがらカフェの数はとても少ない。奈良公園の中では店が開けないからとも云えるが、雨宿りや休憩が出来てカフェとしての役割も果たせる施設が数か所あれば観光客は助かるだろうなと思うことがある。-----
奈良ホテルや菊水楼の喫茶部が有るにはある。しかし、少し敷居が高いのではないか。奈良公園にカフェを造って半永久的に占拠すると鹿のテリトリーが狭められてしまうし、大仏殿への参道や奈良博の西側にある飲食店街の客を奪うことにもなるので躊躇して来たのだろうか。------
カフェだからとコーヒーや紅茶だけでなく高級な日本茶のサービスも出来るようにすれば今以上に賑わうのではなかろうか。少なくとも道の駅くらいの規模のカフェを奈良公園に数箇所作るのはシルクロード博の時に較べれば大したことではないように思うが如何だろうか。
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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その398)

2017-09-26 08:15:00 | 奈良・不比等
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歴史ファンタジー小説・北円堂の秘密

「東大卒貧困ワーカー(中沢彰吾著・新潮新書2017刊)」を読んだ。中沢彰吾(なかざわしょうご1956生れ)氏は東大(文学部)卒で毎日放送勤務後、50歳を過ぎた頃、介護退職をした。その後職を求めて自らも非正規労働に従事し、現場からのレポートを書くノンフィクションライターとして活動している。-----
絶望的とも云える非正規労働の世界を事例を並べて延々と紹介して呉れているが、解決策への提言は一切ない。また返す刀で正規労働者もうかうかして居れない状況についても縷々(るる)述べて呉れている。パワハラ等の嫌がらせにも耐えるしかないとして、これも対処法は無いと述べている。正社員なら勤務時間の8時間を耐えれば良いが、非正規の場合は24時間耐えねばならない事になるとその凄まじさを淡々と書いている。------
中沢彰吾氏はそれなりの蓄えが有って、取材の積りでブラック労働の世界に足を踏み入れているかのようで、読み始めは期待せずだったが読むにつれて毎日放送の記者時代の経験か流石にプロの取材力だなと感心することとなった。-----
奈良県でも、森精機がドイツメーカーに身売りをしたり、シャープが台湾企業へとどうしようもなくグローバル化の波に浚(さらわ)れていく状況が続いており、誰も止め得ないのではあるが、それに対する挽回策・打開策は一向に浮かび上がって来ない処に日本の労働市場の絶望が垣間見えていると感じてしまう。製造業の困難さに無理を感じて、農林業に活路を見出そうとしている人達もいるが、これとて万人単位の就業人口を養うには程遠い現実が有るのだろう。成功しているかに見えるスイスの農林業にしても、景観保全に役立つために国家的保護のもとで細々と続けているに過ぎないとの見方もあるのだから。スイスのGDPを生み出しているのは農林業でも観光でもなく大部分が製造業と金融業であると云う。
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