奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その2352)

2023-01-31 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「昭和の犬(姫野カオルコ著・幻冬舎文庫2015刊/2013版の文庫化)」を読んだ。姫野カオルコ(ひめのかおるこ1958生れ)女史は、滋賀県出身/青山学院大学(文学部/日本文学科)卒。1990“スラプスチックコメディ/ひと呼んでミツコ”で単行本デビュー。2014“昭和の犬”で第150回直木賞受賞。---------

この本「昭和の犬」の目次は次の通り。“ララミー牧場(イクの幼児期)”、“逃亡者(幼稚園)”、“宇宙家族ロビンソン(小学校低学年)”、“インベーダー(高学年)”、“鬼警部アイアンサイド(高校生)”、“バイオニックジェミー(大学生)”、“ペチコート作戦(社会人)”、“ブラザーズ&シスターズ(現在時点)”、“あとがき”----------

この本「昭和の犬」の裏表紙の内容紹介文は次の通り。昭和33年滋賀県に生まれた柏木イク。気難しい父親と/娘が犬に咬まれたのを笑う母親と暮らしたのは/水道も便所もない家。理不尽な毎日だったけど/傍らには時に猫が/いつも犬が/いてくれた。平凡なイクの歳月を通し見える/高度経済成長期の日本。その翳り。犬を撫でるように/猫の足音のように/濃(こま)やかで/尊い日々の幸せを描く、直木賞受賞作。----------

姫野カオルコ女史は、56歳で直木賞を受賞した。芥川賞は若年で受賞する例が多いけれど/直木賞は中年を過ぎた一端(いっぱし)の作家に与えられる賞なのかも知れない。ファンは嬉しいだろうし/作家本人もきっと安堵するのだろう。この本「昭和の犬」の内容は姫野カオルコ女史の私小説であり/人生体験の切り売りでもある。小説を読者が読むのは/自身と異なる人生を味わうためなのであり/実部分の多いほど噛みしめて読めるのだ。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その2351)

2023-01-30 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

年始の風物詩--------

奈良県北中部/京阪神へ通うサラリーマン家族(100万人)の住むベッドタウンを東西に貫(つらぬ)く近鉄奈良線の最寄駅に向かう30分の徒歩行(とほこう)の途中/目にして気になった事象がある。-------

最寄り駅に近付くにつれて/段々と敷地面積の大きいお邸(やしき)が増えてくる。スタート地点では70坪程度だが/途中100坪となり/徒歩10分圏内となると300坪から500坪の邸宅も見受けられる。-------

立派なお庭と門塀を構えていても/建築年代が古くて/当時のモータリーゼーションを察するに/一家に一台の自家用車の駐車スペースを掘り込みシャッター車庫形式で設(しつら)えるのが主流であった。----------

最寄駅からバスで通う徒歩30分圏外/以遠の住宅地では/その土地開発と建築年代が比較的新しい場合/お庭を設ける替わりに/駐車スペースを2台分確保して/ご主人と奥様の自家用車を停(と)められるようにする例が増えているようだ。---------

このような私鉄沿線/住宅地では路上駐車は厳禁であり/停めておくと直ぐに警察に誰か(主に暇な老人)が通報するので/致し方ない。無断駐車するにしても離れた処を物色せねばならない。--------

漸く/年始の風物詩であるが/この時期(年末年始/年内3日/明けの正月3日間)/路上駐車してもお目溢(こぼ)しに与(あずか)れる。東京方面から息子や娘たちが車で帰省してくるに際して/実家に1~2泊する間/傍に路上駐車することは/お互いさまなのだろうが/近隣同士で許し合うのだ。--------

車のナンバーを見ると/所沢/相模/横浜/群馬/富山/富士山などがあり/奈良県育ちの子息/子弟たちの就職先が京阪神の経済圏だけではないことが如実に分かる。----------

最寄駅に近い大邸宅の方が/お庭の立派さに較べて駐車スペースが貧弱であるのも/こうした年始の風物詩的により深く分ったりするのである。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その2350)

2023-01-29 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

寮美千子の連載コラムを奈良の地方紙でよく見掛ける。--------

寮美千子(りょうみちこ1955生れ)女史は、県立千葉高校卒/中央大学(文学部)中退。日本の作家/幼年童話からジュブナイル小説/絵本/詩/純文学/ノンフィクションまで手掛けている。若い時は、外務省/広告制作会社で働き、フリーのコピーライターとして活動していた。---------

1986“童話/ねっけつビスケット/ちびすけくん”で毎日童話新人賞を受賞。2005“楽園の島/カルカッタ幻想曲”で泉鏡花文学賞を受賞。---------

地方紙の連載コラムでは、県内のユニークな話題/題材を取り上げられており/毎回興味深く拝読してきた。--------

特に興味を惹いたコラムではご自身の祖父の逸話を取り上げて居られた。父方の祖父は/大正末期から昭和戦前にかけて活躍した科学ライター/寮佐吉である。寮美千子女史は/“ある科学ライターのこと”、“ミームとしての宇宙の微塵/宮澤賢治と寮佐吉”に寮佐吉のことに触れているそうだ。-----------

コラムは奈良来訪時/奈良ホテルに宿泊したアインシュタインが爪弾(つまび)いたと云うアップライトピアノが今もホテルのロビーに置かれていて/宿泊客の興味/関心を引くと云う/ホテルの永い歴史を物語る内容であった。---------

しかし続いて読むと/後半では/寮美千子女史も近年まで知らなかったそうだが/祖父/寮佐吉の取り組んだ相対性理論の紹介記事を宮澤賢治が読んで先端科学の知識を得たのではなかろうかと云うのである。難解さから四次元科学をトンデモ科学に関連付けた人もいたようであり/“童話/銀河鉄道の夜”はその亜流じゃないかと。---------

寮美千子女史は、寮佐吉のDNAを継いでおられる理系女のようで/そう云えば何事にも理屈っぽい気がする。童話と云うのは子どもの探求心をどこまでも満たさねばならないのだから。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その2349)

2023-01-28 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「フランスの街の夜~遠藤周作初期エッセイ(遠藤周作著・河出書房新社2022刊)」を読んだ。遠藤周作(えんどうしゅうさく1923~1996)は、慶応大学(仏文科)卒、1950~1953フランスに留学。12歳でカトリックの洗礼を受けており、日本の精神風土とキリスト教の問題を追求した。“白い人(1955)”で芥川賞、“海と毒薬(1958)”で毎日出版文化賞、“沈黙(1966)”で谷崎潤一郎賞、“侍(1980)”で野間文芸賞、1995文化勲章受章。-------

この本「フランスの街の夜」の目次は次の通り。“フランスの街の夜/留学生”、“一人の若い作家として/読書について”、“文学碑無用論/本不足時代の良さ”、“世界映画のつながりの中で/文学の拷問と映画の拷問”、“確たる幸福感を持て/変質者の時代/あらゆる世界に草加次郎的人物がいる”、“良夫賢父の弁/時計と指輪とガマグチ”---------

この本「フランスの街の夜」の内容紹介文は次の通り。フランス留学から帰国後/作家として歩み出した初期の貴重なエッセイ。フランスの思い出を描いた美しい表題作他/文学/宗教/狐狸庵ものから直筆漫画まで/本書でしか読めない垂涎の一冊。見知らぬ土地の見知らぬ街を旅したことがありますか。フランス留学から帰国後/作家として歩み始めた若き日々。瑞々しさに溢れた初期エッセイ/単行本初収録作品の数々。---------

遠藤周作の小説作品はテーマがキリスト教でマニアックなので/敬遠していた。しかしエッセイの狐狸庵ものは面白く拝読していた。この本「フランスの街の夜」に掲載されているエッセイについては知らなかった。遠藤周作の初心が初々(ういうい)しくて面白いと思った。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その2348)

2023-01-27 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「ソ連核開発全史(市川浩著・ちくま新書2022.11.10刊)」を読んだ。市川浩(いちかわひろし1957生れ)氏は、大阪外国語大学(ロシア語科)卒/大阪市大大学院(経営学研究科)後期博士課程修了/博士(商学)。専門は科学技術史。現在は広島大学(総合科学部)教授。著書に“冷戦と科学技術/旧ソ連邦1945~1955”、“核時代の科学と社会/初期原爆開発を巡るヒストリオグラフィー”、“科学の参謀本部/ロシアソ連邦科学アカデミーに関する国際共同研究”がある。---------

この本「ソ連核開発全史」の目次は次の通り。“核兵器開発の発端/ソ連の勃発(第2次世界大戦と原子爆弾/ソ連ウラン問題プロジェクト/広島長崎の衝撃)”、“核兵器体系の構築/ウラン資源開発/ミサイル/原子力潜水艦(科学者技術者の動員/核爆弾核弾頭から核兵器体系へ)”、“放射能の影/米ソサイエンスウォーの帰結(ソ連における放射線影響研究)”、“ソ連版/平和のための原子(原子力平和利用キャンペーン/オブニンスク原子力発電所)”、“原子力発電の夢/経済停滞とエネルギー危機の中で(黒鉛チャンネル炉/発電所用軽水炉開発/高速中性子炉の開発/核融合炉へのトライアル)”、“東側の原子力/同盟諸国とエネルギー政策(中国への原子力科学技術支援と中ソ対立/対東欧同盟諸国への原子力発電技術提供)”、“ビジネス化する原子力/ソ連解体後(ソ連核開発40数年の帰結/ニュークリア/ルネッサンス)”---------

この本「ソ連核開発全史」の内容紹介文は次の通り。史上最大の水爆実験/史上初の原子力発電所稼働/東側同盟国への技術提供/最悪のチェルノブイリ原発事故/原子力ビジネス。第二次大戦後/大規模な軍拡競争を伴う東西冷戦下のソ連において推進された原子力政策は/人類史をどう変えたのか。危険や困惑を深めながらも試行錯誤を重ね/科学者/技術者を総動員して推し進められた知られざる数々のプロジェクトを丁寧に追う。---------

市川浩氏は、ロシア語を専攻されており/ソ連崩壊前後のペレストロイカで公開された公文書を読み漁り/この本「ソ連核開発全史」をお書きになったものと思う。65歳を迎えて/一般向け新書を出すのは/ご希望の一つであったのだろう。

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