北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない
「昭和の犬(姫野カオルコ著・幻冬舎文庫2015刊/2013版の文庫化)」を読んだ。姫野カオルコ(ひめのかおるこ1958生れ)女史は、滋賀県出身/青山学院大学(文学部/日本文学科)卒。1990“スラプスチックコメディ/ひと呼んでミツコ”で単行本デビュー。2014“昭和の犬”で第150回直木賞受賞。---------
この本「昭和の犬」の目次は次の通り。“ララミー牧場(イクの幼児期)”、“逃亡者(幼稚園)”、“宇宙家族ロビンソン(小学校低学年)”、“インベーダー(高学年)”、“鬼警部アイアンサイド(高校生)”、“バイオニックジェミー(大学生)”、“ペチコート作戦(社会人)”、“ブラザーズ&シスターズ(現在時点)”、“あとがき”----------
この本「昭和の犬」の裏表紙の内容紹介文は次の通り。昭和33年滋賀県に生まれた柏木イク。気難しい父親と/娘が犬に咬まれたのを笑う母親と暮らしたのは/水道も便所もない家。理不尽な毎日だったけど/傍らには時に猫が/いつも犬が/いてくれた。平凡なイクの歳月を通し見える/高度経済成長期の日本。その翳り。犬を撫でるように/猫の足音のように/濃(こま)やかで/尊い日々の幸せを描く、直木賞受賞作。----------
姫野カオルコ女史は、56歳で直木賞を受賞した。芥川賞は若年で受賞する例が多いけれど/直木賞は中年を過ぎた一端(いっぱし)の作家に与えられる賞なのかも知れない。ファンは嬉しいだろうし/作家本人もきっと安堵するのだろう。この本「昭和の犬」の内容は姫野カオルコ女史の私小説であり/人生体験の切り売りでもある。小説を読者が読むのは/自身と異なる人生を味わうためなのであり/実部分の多いほど噛みしめて読めるのだ。