奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その280)

2017-05-31 09:41:07 | 奈良・不比等
世界遺産・古都奈良と大阪難波を結ぶ近鉄奈良線の学園前駅で「奈良・大和路」の大きなポスターを観た。安倍文殊院の善財童子である。半身を捻(ひね)って振り向くポーズは微笑ましくもある。national treasure carved Kaikei (国宝・快慶作)と右端に印字されており、写真家・小川光三(1928~2016)氏の有名な作品の一つである。-------
安倍文殊院の文殊菩薩と眷属(けんぞく)が国宝に指定されたのは比較的最近(2013)である。------
奈良国立博物館で開催中の特別展「快慶~日本人を魅了した仏のかたち(平成29年4月8日~6月4日)」に出展されている国宝7体に安倍文殊院の善財童子は含まれていない。-----
仏教美術の佳品は鎌倉時代を持って絶えてしまうと嘗て美術評論家が述べていたが、確かにポスターの写真を見るだけでも「奈良・大和路」のシリーズに納められた仏像類の迫力は他に較べられるものがない。-----
世界遺産・古都奈良と云っても、奈良県全域に一度は拝観してみたいと云う仏像が散在しており、少なくとも半日あるいは一日を要する旅の日程を組まねばならない。確かに「快慶展」を観れば一堂に会した快慶の作品群を観賞できるだろうけれど、安倍文殊院の善財童子のような本尊の眷属は貸し出しが難しいようだ。快慶展を観て快慶の他の作品にも興味を抱かれた方は各所に存する快慶の優品を是非ともご覧になっては如何だろうか。
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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その279)

2017-05-30 14:54:08 | 奈良・不比等
「逆境からの仕事学(姜尚中著・NHK出版新書2016刊)」を読んだ。姜尚中(かんさんじゅん1950年生れ)氏は東京大学名誉教授で政治学・政治思想史を専攻されている。-----
逆境に心折れそうなときに読む本として、ヴィクトール・フランクルの「それでも人生にイエスと言う」、資本主義の精神を読む本として、ダニエル・デフォーの「ロビンソン・クルーソー」と自身が熊本出身のためか夏目漱石の「三四郎」を薦(すす)めている。他には、マネジメントの核心に触れられるピーター・ドラッカーの「マネジメント~基本と原則」が良いが、抄訳の「マネジメント・エッセンシャル版」を読んでいる人が殆(ほとん)どとのこと。5冊目はカール・ポランニーの「大転換」であり、「かつて市場は社会の一部でしたが社会が市場の一部になってしまったとするとその逆転現象がなぜ起きたのか」その謎解きとして非常に面白いものだそうである。------
「逆境からの仕事学」の中では少しだけ司馬遼太郎についても言及している。司馬遼太郎は小説「峠」に登場する長岡藩家老・河合継之助の作戦がスイスの永世中立国を真似ようとしたものであったと書いている。このようにどのような時代にあっても小さくてもキラッと光る生き方を示すことが出来れば「逆境もまた楽し」と云えるのだが、如何だろうかと姜尚中は云っている。------
荒井正吾・奈良県知事の奈良県の将来のあるべき姿はスイスを真似ることで達成出来るのではないかと仰っていることと幕末の河合継之助の考え(司馬史観?)は繋がっているに違いない。
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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その278)

2017-05-29 09:16:53 | 奈良・不比等
「千田稔せんだみのる館長公開講座・図書館劇場Ⅻ~大和から探る日本文化①」が「奈良県立図書情報館・1階交流ホール(平成29年5月28日・午後1時~4時)」にて開催された。毎年奇数月・第4日曜日の計6回で構成されている。千田稔館長曰く前座を務めていると仰(おっしゃ)るが、後座の本講は毎回演者が異なるのであり、1年を通して講座が続くのは千田稔館長の前座であり、今年は「魏志倭人伝の読み方」となっており邪馬台国ファンが集(つど)うことになるようだ。東京で邪馬台国(やまたいこく)の講演を開催すると、決まって9割方を占める凝り固まった「邪馬台国・九州説」の方から質問を受けて畿内説の講演者は往生することになるのだとか。-------
邪馬台国は九州に防人(さきもり)を置く程に軍事力の卓越した国であったのであり、九州に収まるくらいのサイズではなくてもっと大きな版図を持っていたと考えられるのであり、畿内説でなければ説明が付かない。------
卑弥呼(ひみこ)の鬼道(きどう)だけで治めて居た訳ではなく、男弟とあるように、軍事力を差配する人物に支えられていたのであろう。鬼道とは中国の初期・道教であり、五斗米道と同じだそうである。また魏志倭人伝に登場する邪馬台国の成立は朝鮮半島に楽浪郡や帯方郡という強大な漢帝国の出先のあった時代に遡ると千田稔館長はお考えのようだ。また、投馬国は出雲であり、当時、日本列島は邪馬台国と投馬国の2強に分かれた支配構造になって居たのだろうと云う。
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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その277)

2017-05-28 08:27:20 | 奈良・不比等
「東京の敵(猪瀬直樹著・角川新書2017刊)」を読んだ。「石原慎太郎いしはらしんたろう・東京都知事(1999~2012)」から副知事(2007~2012)であった猪瀬直樹(いのせなおき1946生れ)氏に引き継がれた東京都知事(2012~2013)はその後、舛添要一(2014~2016)氏を経て、小池百合子(2016~)が就任している。------
猪瀬直樹氏が東京都の副知事・知事として都議会勢力との確執(かくしつ)の続く中で成し遂げられた事績が淡々と並べられている。------
都道府県の知事の立場が「東京の敵」を読むとよく分かる。内閣総理大臣の立場とは異なり、大統領と同様の権限を行使出来るかのように勘違いしている人には必読の書である。どうしても議会対策が必要であり多数与党でなければ各所で妥協を迫られてしまうこともよく理解できる。-----
猪瀬直樹氏は自身が知事として立案していた案件を「小池百合子・東京都知事」に実現して貰(もら)いたいようであり、勘所を余すことなく論述している。ノンフィクション作家としてスタートした面目躍如の本であり、自身の辞任に至る経緯についても正直に述べていて好感が持てる。-----
権力者への忖度(そんたく)が話題となっているが、東京都を取り巻く問題も同様に事案に関わる人々の行動を律するのは難しいものであることが予想される。しかしながら、小池百合子知事には小石に躓(つまづ)くことなく、立派な都政を遣り遂げて欲しいものだとのエールを送っているかのようにも思えた。------
時代掛かって考えれば世界遺産・古都奈良の太守に封じられておられる奈良県知事を頂点とした地方自治のトップ官僚は是非とも「東京の敵」を読んで同様の轍を踏まないで奈良県独自の経済成長を遂げられるように県政を進めて欲しいものである。
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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その276)

2017-05-27 09:11:21 | 奈良・不比等
世界遺産・古都奈良の三条通がJR奈良駅から上三条の交差点までの間、歩道の拡幅と一部立ち退き待ちであった処が解体撤去されて、完全に見通せるようになった。中央の車線は東向き一方通行の走行車線だけにして、所々に荷下ろし用の待避車線を設けている。最後まで残っていたのは「ピノキオ」という名の洋食レストランでした。2008年にドラマ化された「鹿男あをによし」でロケに使われた処として有名であった。-------
9年も経つと流石(さすが)に覚えている人も居ないかも知れないが、世界遺産・古都奈良が大河ドラマの舞台になったのが「春の坂道(1971年NHK)」だけであり、奈良時代を描くドラマは製作されていない。奈良県は大河ドラマの舞台にしてもらおうとNHKに働き掛けはしているようだが今のところ反応はないようである。------
修学旅行生や外国人観光客ならば世界遺産級の文化遺産があるから宣伝しなくても古都奈良に観光に来てくれるのだが、国内観光客にとっては東大寺大仏殿(毘盧舎那仏)を何回も観る必然性が生じないのは尤(もっと)もな事と云える。-----
奈良県では記紀の舞台としての世界遺産・古都奈良を売りにしようと「平城遷都1300祭(2010年開催)」以降、2020年に亘(わた)り「記紀・万葉プロジェクト」を行っている。しかしながらどうしてもストーリー性のある小説などが生まれない。出来れば懸賞付きで小説をプロ・アマ問わずに全国から募集しても良いのではないだろうか。
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