奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の町(その1225)

2019-12-31 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「ヨーロッパ夢の町を歩く(巌谷國士著・中公文庫2000刊/1993版の文庫化)」を読んだ。巌谷國士(いわやくにお1943生れ)氏は、東大(文学部)卒、同大学院修了。フランス文学者、評論家、エッセイスト、明治学院大学名誉教授である。-----

「ヨーロッパ夢の町を歩く」は、巌谷國士氏の得意とするフランス/パリ以外で、歩くだけで夢見心地になれるとっておきのヨーロッパの都市/21箇所を旅行ガイドさながらに、巌谷國士氏の高い教養とその識見を惜しげもなく披露しながら案内してくれる本なのである。その珠玉の都市は次の21箇所である。“リスボン、エヴォラ、ファティマ、マドリード、セゴビア、バルセロナ、マルセイユ、ヴェローナ、ナポリ、ドゥブロヴニク、ソフィア、プラハ、ワルシャワ、クラクフ、カルロヴィヴァリ、ドレスデン、ベルリン、ローテンブルク、ロンドン、コペンハーゲン、ベルゲン”-----

紹介される順番は、巌谷國士氏の好きな順ではないかと思わるように、南ヨーロッパから反時計回りに進むのである。最初はポルトガルのリスボン、ヨーロッパ主要国を訪問して飽きてしまった旅行者にツーリストビューローが薦めるのが、ポルトガルであるようだ。嘗て、映画俳優の高倉健が日本人旅行者の少ないポルトガルを気に入っていたようだ。-------

東大仏文出身の秀才で私学の教授であれば、身分は確かだし、巌谷國士氏の書かれたヨーロッパ紀行文は出版社にとって、絶対に儲かる出しものであったのだろう。自身3冊目であるとあとがきに書いている。------

旅行業者の纏めた旅行ガイドと違って、日本国内で暇を囲ったり、経済的に許されない向きにも、この本「ヨーロッパ夢の町を歩く」を読めば、読者も外遊しているかのような夢見心地にしてくれるので、優れ物である。目にする物、食べる物、乗り物、建物、川の流れ、その景色を目の前に彷彿とさせる巌谷國士氏の筆力/文才は生半ではない。決して古びない良い本である。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1224)

2019-12-30 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「掘り起こせ中小企業の稼ぐ力~地域再生は儲かる会社作りから(小出宗昭著・光文社新書2019刊)」を読んだ。小出宗昭(こいでむねあき1959生れ)氏は、法政大学(経済学部)卒、静岡銀行入行。2001創業支援施設“SOHOしずおか”へ出向。2008退職、独立し、現在に至るまで富士市/産業支援センター“エフビズ(fBiz)”の運営を受託している。-----

章立ては次の通り。“なぜ地域再生はプロの仕事なのか(理論編)”、“チームで対処するメリットを学ぶ(実践編)”、“紙のカルテから知恵を絞る(事例編)”、“センター長はこうして選ばれる(組織編)”-----

冒頭の“はじめに”には小出宗昭氏の“たった一つだが”と前置きして、重要な条件について書き示している。“中小企業支援を通じた地域再生に携れる人材は、結果を出し続けられるプロフェッショナルでなければならないということです。公的な施設で中小企業支援や地域再生に携わる人たちとたくさん接してきて、いつも異和感というか、物足りなさを感じていました。明確な結果を出さなくても、給料が支払われるので、危機感がありません。一般企業であれば、成績が振るわなければ、担当者やその上司が責任を問われるのが当然ですが、行政はその所在があいまいです。目標設定からして詰めが甘く管理も不十分なので、責任云々という意識が芽生えにくいのでしょう。そうした構造上の問題も影響して、膨大な税金が投入されているにもかかわらず、公的な産業支援施設からは、目に見える成果が生れてきていません。だからこそ私が手掛けるエフビズモデルでは、成功事例を大量に生み出していかなければならないと強く思っている。私の使命は公的施設を含めたこの業界レベルのレベルアップを図ることです。”------

後半には小出宗昭氏の尊敬する藻谷浩介(もたにこうすけ1964生れ)氏との対談が収録されており、とてもアイロニーに富んだ藻谷浩介の発言がある。“日本の中小企業の多くが死んでいって、人口半減とともに半分ぐらい潰れてもおかしくないんだけど、皆さんは生き残る半分(元々強い企業/放っておいても潰れない企業)を、活性化する仕事をしている。放っておけば潰れる企業のターミナルケアはホスピスと同じで税金の無駄使いである”-----

生粋の銀行マンが出向(実質片道切符)から歩んできた19年間の中小企業支援事業の活動内容を纏めて本にしている。良い本であると思った。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1223)

2019-12-29 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「立て直す力(上田紀行著・中公新書ラクレ2019刊)」を読んだ。上田紀行(うえだのりゆき1958生れ)氏は、東大(文化人類学科)卒、同大学院(文化人類学専攻)博士課程単位取得退学、岡山大学大学院(医歯薬学研究科)博士課程修了、博士(医学)取得、文化人類学者である。愛媛大学助教授を経て、現在は東工大教授である。-----

「立て直す力」の章立ては次の通り。“生きづらい社会”、“立て直す力としての宗教”、“悪魔祓いが教えること”、“祭りとこころ”、“仏教の神髄”------

東工大のリベラルアーツ教育院長でもあり、理系の東工大生から、授業評価の最高点を奉(たてまつ)られている。東工大という高偏差値の秀才大学生に、“強さだけじゃないよ、人間の弱さも知りなさい“、と宗教の知恵を教えているのである。上田紀行氏のスクーリングを受ければ、強さは元々大丈夫な東工大生に弱さの意義を知ると云う”鬼の金棒“が与えられることになるのだ。東工大生だけでは勿体ないので、そのおすそ分けの意味合いでこの本「立て直す力」は書かれているそうだ。但し、その他大勢の大学生にはあまり向かない本だろう。何故かと云うと弱さは十分に秘めているが、決して意志が強くはないのが普通であるのだから。このような教育が理系の大学で必要とされるのは、嘗てオーム事件に巻き込まれた学生が大勢いたことから、カルト宗教の強力な洗脳に屈しないように、予防のためのワクチン接種のつもりで宗教学のエッセンスを教えているのであるようだ。------

“あとがき”に上田紀行氏の思いが次のように書かれている。“今の世の中では、弱い立場の側に立ってものを言ったり、憤りをもって行動したりするのは逆風を受けるので、相当強い気持ちを持たなければいけません、しかしその強い気持ちを持つというのは、人間の強さと優しさの現れなのです。仏教でいえば慈悲です。不動明王は憤怒の表情をしているけれども、その裏には強い慈悲の気持ちが隠されているのです。弱さを知っている人の方が、最終結果的に強いと思います。強さだけしか知らない人、気付いていない人ほど、いざという時に弱い。しっかりとした土台が出来ていない。しなやかさが足りない印象があります。弱い部分を知っている人ほど慈悲の気持ちも強いでしょう”----

エリートとなる人ほど、“失敗を語れない雰囲気、同調圧力/忖度/偽装を撥ね退け、不自由を解き放つ力を発揮して欲しい”と書いているのだ。

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1222)

2019-12-28 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「家族の経済学~データ分析でわかった結婚出産子育ての真実(山口慎太郎著・光文社新書2019刊)」を読んだ。山口慎太郎(やまぐちしんたろう1977生れ)氏は、慶應大学(商学部)1999卒、同大学院(商学研究科)修士課程2001修了、2006ウィスコンシン大学にてPhD(経済学博士)を取得。カナダ/マクマスター大学准教授を経て、2017より東大(経済学部)准教授を務めている。専門は“家族の経済学”と“労働経済学”とのこと。-----

「家族の経済学」の章立ては次の通り。“結婚の経済学”、“赤ちゃんの経済学”、“育休の経済学”、“イクメンの経済学”、“保育園の経済学”、“離婚の経済学”-----

山口慎太郎氏は、経済学の大家が扱わないようなキッチュ(kitsch)な対象でも、積極的に取り組んで、経済学的研究アプローチを果たしている。その成果の一部をこの本「家族の経済学」として素人向けに易しく解説してくれているのだ。個々の議論は週刊紙ネタに近い気もするが、そうではなくて、東京(帝国)大学の若手の俊英がいとも真面目に調査し考察し諸外国の事例とも比較し我が国の状況を経済現象と絡めて解説している。だから、一つ一つ納得させられることが並んでいる。世間の常識あるいは年寄りの戯言のような思い込みを打破もしてくれている。中々に役立ち、その安定した論調にも感心させられるのである。-------

面白いと思った見出しをあげておく。“男性5人に1人、女性10人に1人は生涯独身。キャリア女性ほど結婚のメリットは減っている。データが明らかにしたモテ要素。美人とイケメンの経済学。職場での出会いが3割。似たもの同士の結婚は世界共通。マッチングサイトが出会う機会の問題を解決。帝王切開と子どもの健康。出生体重で子どもの将来が決まるのか。母乳育児はメリットばかりなのか。育休3年制は無意味/1年がベスト。育休で正社員を辞めてはいけない。育休給付金の充実よりも保育園の充実を。外国のお父さんだって育休は上司と同僚の目が気になる。幼児教育は知能より、軋轢を生む問題行動を減らす効果がある。日本の人口1000人当りの離婚件数は1.7件で、OECD平均の1.9件よりやや少ない。離婚しやすくなるとDVや女性の自殺が大幅に減る。”

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古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1221)

2019-12-27 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「罪悪感のない間食/夜食(木村幸子著・主婦の友インフォス2018刊)」を読んだ。木村幸子(きむらさちこ)女史は、料理家/洋菓子研究家で、東京青山にてお菓子教室“洋菓子教室トロワスール”を主宰している。2012年には“最大のチョコレートキャンディーの彫刻”にてギネス世界記録の認定を受けた。料理レシピ考案の仕事も得意とし、著書も既に多い。------

この本「罪悪感のない間食/夜食」は、“罪悪感を抱きながら食べると太る。罪悪感でストレス状態になると血糖値が上昇し、同じものを食べても太り易くなる”、という論文をみて、このような罪悪感を少なくする料理レシピをこの本に纏めた。特別なダイエットに取り組まなくても、楽しく食べて減量もできると、自身でも試したと書いている。------

1.糖質オフの間食/夜食。“ベイクドチーズケーキ、低糖質チョコレート、ガトーショコラ、抹茶豆乳プリン、カスタードプリン、ローストビーフ、鶏ハム、おからご飯のアボガドマグロ丼、ベーカマの野菜添え、から揚げ”-----

2.グルテンフリーの間食/夜食。“米粉のミルキーロール、ヨーグルトパンケーキ、高野豆腐入り米粉のフルーツケーキ、米粉ときな粉のミニマフィン、米粉とはちみつのアイスクリーム、チキンとトマトのヨーグルトスパイシーカレー、鮭とじゃがいもの豆乳グラタン、グルテンフリーハンバーグ、米粉のチヂミ、レンコンカレーピザ”-----

3.砂糖なしの間食/夜食。“甘酒ティラミス、はちみつレモンマドレーヌ、さつまいもはちみつ、甘酒蒸しパン、ココナッツバナナブレッド、ホタテのサラダ”------

4.豆腐を使った間食/夜食。“高野豆腐とくるみのブラウニー、豆腐トリュフ、黒ごまとチーズの葛煉り豆腐、豆腐のスコーン、おからクッキー、豆腐茶漬け、ニラ入り肉豆腐、麻婆豆腐、豆腐の肉巻き天ぷら、厚揚げグラタン、ピリ辛カリカリじゃこピーマン豆腐”------

5.他にも、発酵食品、寒天/こんにゃく、酢、野菜、唐辛子/しょうがを使うレシピも紹介されている。-----

食欲をそそる間食/夜食の綺麗な写真が掲載されているので、こんなに美味しそうな菓子/料理を食べて体重増加にならず、罪悪感からフリーになれるなんて、とても素晴らしいと感心させられる本になっている。

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