道楽ねずみ

ドイツに関するものを中心に美術展,オペラ,映画等の趣味の世界を紹介します。

「安井曾太郎の肖像画」展(ブリジストン美術館・中央区京橋1丁目)

2009年12月18日 | 美術道楽
ブリジストン美術館で開催中の「安井曾太郎の肖像画」展に行きました。
安井曾太郎はセザンヌのコレクションもあるブリジストン美術館には生前からよく通っていたそうです。
安井曾太郎といえば,竹橋の東京国立近代美術館にある「金蓉」の絵が有名ですが,ほかにも人物画をたくさん残しています。
大学の先生,政治家,実業家,日銀総裁,画家など様々な人物を描いており,家族の肖像画もありました。
安井曾太郎はまずモデルの実写図を描いてしまい,それをもとにモデル不在のまま時間をかけて描くという独特の描き方だそうでして,若い令嬢のモデルを描いたときには,実写図をもとにして描いているうちに,令嬢の方がどんどん成長してしまい,そのズレを修正するのにくろうしたというエピソードは面白かったです。大内兵衛や大原総一郎(大原美術館のコレクター),横山大観の絵などを見ると,何かモデルと現実にお会いしたような気持ちになるので,不思議なものです。

水戸徳川家の当主で貴族院議長を務めた方が,貴族院議長を退任するにあたり安井曾太郎に肖像画を描いてもらったところ,完成した絵を見て,自分はこんな年寄りかなとがっかりしたのですが,次第に自分の方がだんだんその絵に近づいてきた,このことは安井曾太郎に肖像画を描いてもらった人が皆言うところである,という話はとても面白かったです。目の前のモデルの姿に気を取られることなく,じっと実写図をもとにモデルの内面まで観察して描くからそうなるのでしょうね。
とても面白かったです。

常設展の方で安井曾太郎が風景画も描いていたことは初めて知りました。

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