道楽ねずみ

ドイツに関するものを中心に美術展,オペラ,映画等の趣味の世界を紹介します。

Casino Boncompagni Ludovisi

2017年01月15日 | 美術道楽

コロンナ宮を割と早めに切り上げたのには訳がありました。

実は、この後、重要な見学の予約があったのです。

 

カラヴァッジョが描いた唯一の天井画というものがあります。

それが、カジノ・ボンコンパーニ・ルドヴィージという貴族のお屋敷の中にあるのです。

こちらは一般公開されていません。金曜日と土曜日に予約を取って、個人見学が可能というものです。一般的には、15名からのグループ見学で一人€20ということなのですが、それ以下の人数でも€300を支払えば可能ということですので、つたない英語でメールを書いて予約を取りました。

ドイツ語であればメールでもなんでも困らないのですが、英語でははなはだ乏しい表現力です。ドイツ語と英語の両方で記載したメールを書きましたが、ドイツ語は相手にされず、英文で返事がきました。そうこうして、何度かやり取りをして、結局、グループ見学の予定が入らないということが判明したので、ねずみたち2匹だけで見学となりました。

時間前に到着しても、門は閉じられていて、監視カメラで見られているのか、予定時刻の11時きっかりに門が開きました。

メールでは、普段は勝手に見てもらうが、お姫様Princessがいる時には、Princessが説明してくださるとのことでしたが、お屋敷にうかがいますと、Princessがいらっしゃいました。執事のおばさんは、イタリア語しか解さないので、会話ができず、皆、Princessからお話をうかがうことになりました(どうやらメールも、執事が書いていると思っていたのですが、Princessが執事に代わって書いていたのでしょうか。天皇が綸旨を自分で書くようなものです。)。

 

この建物は、ルドヴィコ・ルドヴィジ枢機卿が1621年から1623年にかけて建築したのを、1825年から1851年にかけてボン・コンパーニ・ルドヴィジが増築したということです(宮下規久朗「イタリア・バロック」66頁)

 

最初に通されました風景の間です。

中央にAntonio Circignaniの絵があり、その周りにグエルチーノ、ドメニキーノ、パウル・ブリルなどの絵があります。

 

 

次に「アウロラの間」に入ります。

このヴィラの見どころはカラヴァッジョよりもむしろグエルチーノの天井画です。

アウロラの間には、有名なグエルチーノ《アウロラ》があります。

下から見上げた視点で描かれて、遠近法が駆使されています。

暁の女神が夜を払しょくする場面とのことです。

 

 

この作品は、誰のかわからなくなってしまいました。

 

 

2階に行くとカラヴァッジョ《ユピテル、ネプトゥルネス、プルート》があります。

これがカラヴァッジョ唯一の天井画ということですが、あまり感激するような作品ではありません。

カラヴァッジョは、これ以降、自分は天井画の制作には向いていないと思い、二度と制作しなかったそうです。

 

2階でも評価が高いのは、むしろこちらのグエルチーノの天井画です。

 

 

 

ヴィラの外には、ミケランジェロの彫刻が普通に置いてあります。

 

 

最後にはPrincessと記念撮影をさせていただきました。

 

今度は、ゲーテが絶賛したという、グイド・レーニの《アウロラ》のあるパラッツォ・ロスピリオージにも行きたくなりました。


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