道楽ねずみ

ドイツに関するものを中心に美術展,オペラ,映画等の趣味の世界を紹介します。

能面と能装束(三井記念美術館展)

2014年08月03日 | 美術道楽
三井記念美術館で開催中の「能面と能装束」展に行きました。
オペラの好きな道楽ねずみは能がそれほど大好きという訳でもありませんが、それでも毎年新宿御苑の森の薪能には出かけますし、昔は新年に国立能楽堂に出かけたり、京都にいました時は平安神宮の薪能に出かけたりと、能にも関心があります。

今回、三井記念美術館のコレクションを見て、改めて能面や衣装について知識を得ることができました。能面の裏側を見ることができるというのも貴重な機会です。

能面は、「翁」の面をはじめ様々なものが展示され、しかも2つの面を対比して展示されたりもしていました。
不動の面は、不動明王に似せて作られた面ですが面を付けたら顔から離れなくなり、無理に剥がそうとしたら顔の皮まではがれてしまったという怖い言い伝えのあることなど知りました。不動の面の見た目のいかつさや面の裏側の妙にフィットするような造り、それと面の材料の樹木から出たタールが血の痕跡のように見えることからこのような言い伝えができたのでしょう。
音声ガイドにしたがって、能面をいろいろ角度を変えて見ますと、意外に表情が豊かなのに驚かされます。特に孫次郎作といわれる「孫次郎(オモカゲ)」を音声ガイドにしたがってみていますと、左右対称ではありませんし、上、下、右、左それぞれ方向を変えてみますといろいろな表情に見えてきまして、皆同じではありません。
私は能役者というのは顔を傾ける演技と扇子で表情を出しているのだと思っていましたが、その前提として能面が能役者の傾けた位置によってこんなに表情が豊かになるのだということを知りませんでした。
また女役の能面の髪の毛の描き方にいろいろ年齢を表す意味があるということも今回初めて知りました。

豪華な能衣装も、衣装それ自体だけではく、描かれるものにも深い意味があることを知りました。明治期に作られた刺繍七賢人模様厚板唐織などは、竹林の七賢人のほか、我々ねずみ属の仲間であるハリネズミまでも描かれていました。

他に歌舞伎の衣装も展示されています。

能の小道具のうち、扇子に勝修羅とか負修羅とかあり、演目や演じる役によって違うとは知っていましたが、能面や能装束も奥が深いようです。

能の世界は、知らないでみても楽しめますが、知識が増えてみてもまた楽しめます。
大変いい物を見せていただきました。
時間があればまた行きたいのですが、なかなか難しいかもしれません。



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