Zooey's Diary

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「ナポレオン」

2023年12月09日 | 映画

若き軍人ナポレオンが1793年のトゥーロンの戦いで英国軍を破り、皇帝に成り上がった栄光の時代から一転、エルバ島への追放、百日天下、そしてワーテルローでの大敗北、セントヘレナ島で死去するまでの全生涯を2時間半にまとめたのは、「グラディエイター」の巨匠リドリー・スコット監督。



なんと、マリ―・アントワネットの処刑シーンから物語は始まります。
広場の大群衆の歓声の中、ギロチンで斬首されるマリ―・アントワネット、そんな不穏な社会情勢の中、砲兵士官ナポレオン(ホアキン・フェニックス)はその天才的戦術によって、頭角を現していく。
しかしジョゼフィーヌ(ヴァネッサ・カービー)に惚れ込み、彼女の前では多情な女に振り回される情けない男に過ぎない。年上の子持ちの未亡人である彼女の何処がそんなに魅力的なのか、映画の中ではさっぱり分かりませんでしたが、戦場から数百通のラブレターを送り、不倫の噂を聞くとエジプトの戦場を放り出して帰国する始末。



その情けない男に指揮される戦場は、しかし熾烈を極める。
最初のトゥーロンの戦いから生首が飛ぶような凄惨な戦闘シーンが続きましたが、ことに息を呑んだのは、アウステルリッツの3帝会戦のシーン。
ナポレオンは、敵軍を雪が積もった広大な氷の湖上に追い詰める。そこに無数の大砲を撃ち放ち、膨大な数の兵士や馬が、飛び散る血と共に割れた氷の下に沈んでいくのです。これは日経の映画評によると、”戦場を隅から隅まで完全に再現し、11台のカメラを同時に回して”撮影されたのだそうです。



2時間半の映画の7割位が凄惨な戦闘シーンで、私は何度目を固く瞑ったことか。
「ナポレオンが生涯、指揮した戦闘は61。その戦闘におけるフランス軍将兵の戦死者300万人」というテロップが最後に出ます。
一人の女に振り回される情けない男が大軍を率いて、これだけの膨大な戦死者を出したという事実、そこから戦争の狂気と愚かさを描きたかったのか。
しかし以前だったら残酷な戦争映画を観る度に、だから戦争はしちゃいけないのだと強く思ったものですが、今、現時点でも戦争は行われているのですね。

ナポレオン公式HP 

コメント (4)
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