Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

全世界に注目されている時に転んでしまったら?

2013年02月26日 | 社会
昨日の第85回アカデミー賞授賞式では、例によって色々なハプニングがあったようです。
一番驚いたのは、やはりホワイトハウスからのオバマ夫人による作品賞の発表でしょうか。

作品賞  「アルゴ」
主演男優賞 ダニエル・デイ=ルイス 「リンカーン」
主演女優賞受賞 ジェニファー・ローレンス「世界にひとつのプレイブック」
助演男優賞 クリストフ・ヴァルツ 「ジャンゴ 繋がれざる者」
助演女優賞 アン・ハサウェイ 「レ・ミゼラブル」
監督賞   アン・リー「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」



アカデミー賞受賞式のスピーチは毎回面白いものがあって感心するのですが
あんなのはプロに下準備をさせているのだという声もある。
しかし、例えば今年の授賞式で、主演女優賞のジェニファー・ローレンスが転んでしまったことは
ハプニングとしか言いようがないでしょう。
豪華な白いドレスを着たジェニファー、名前を呼ばれて壇上に上がるときに
階段でこけてしまったのです。
一瞬どうなるのか?と思ったのですが

”Thank you, You guys are just standing up because you feel bad that I fell
and that's really embarrassing but thank you.”
「私が転んだから気の毒がって立ち上がってくれたのね、恥ずかしいわ、でもありがとう!」
と、さらっとかわしていました。
彼女のスピーチは、ひたすらサンキューの連呼で、特別面白いものではなかったのですが
自分の失敗をユーモアに変えたところは中々です。
Jennifer Lawrence's acceptance speech  http://tinyurl.com/a7prl2v



「レ・ミゼラブル」で惨めなファンティーヌを演じたアン・ハサウェイは助演女優賞獲得、
ピンクのプラダのドレスで颯爽と登場。
しかし…
胸の部分が、かすかに見えてしまっているのです。
乳首の形が見えることに気付いた視聴者が、すぐさまツイッターでツイートを開始、
(@HathawayNipple)というアカウントでその日ツィッター炎上したのだとか。
あんなに綺麗で実力もあるのだから、あんなことで話題を集めなくてもいいのにと
つい思ってしまいます。



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ミシュランに輝く女性シェフ「サンパウ」

2013年02月25日 | グルメ

一階のワインセラー

日本橋コレドの別館にある、モダン・スパニッシュ・レストラン。
ミシュラン二つ星。
お店のHPによればここのメニューは、カタルーニャ地方にあるサン・ポル・デ・マルの
店と全く同じ構成、スタイルで提供されるのだそうです。


二階のウエイティング・ルーム

最初にCava(スペインのスパークリングワイン)で乾杯して
小さなトリュフのスープ。
ミクロメニュー(一口前菜)4種類。
車海老 パン コン トマテのトルティーリャ、ガンチェット。
カサゴ 3色の芋の団子、スケット。
イベリコ豚のプルーマ 百合根、マカダミアナッツ、クレソンのソース。
バニラのフラン、桃のボンボン、パイナップル、ココナッツ、クリーム。
小菓子とコーヒー。



ミシュラン星付きレストランでメイン・シェフが女性、というのは初めての経験でした。
HPの写真で見ると、ショートカットの似合う溌剌としたスペイン女性。
そのせいかどうか、ここのお料理、全体に繊細なおままごとのようなのです。
四種の一口前菜なんてその極みといったところか。
お料理を出されるペースが非常に悠長だと思ったら(グランメゾンではままあることですが)
HPに「メニューの内容にはランチとディナーの区別なく、約3時間をかけてゆっくりと
お食事を楽しんでいただいております」と。
いやそれ、東京では難しいでしょう…

サンパウ http://www.santpau.jp/concept/index.html
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20年後の運命

2013年02月24日 | 社会


昨日の朝日新聞、山田養蜂場の一面広告。
”老化と寿命研究の第一人者”順天堂大学教授の白澤卓ニ氏と
山田養蜂場代表山田英生氏の対談。
テーマは「人生100年時代へー病気にならないために」。
今回は、要するに食べすぎはよくないという結論のようです。

白澤氏が例に出された実験というのが面白い。
2009年の米国ウイスコンシン大学の有名な実験なのだそうで
サルを「通常の餌を与えたグループ(38匹)」と「餌の量を3割減らしたグループ(38匹)」
に分け、20年近く観察したのだそうです。
その結果、通常の餌のグループの生存率は63%だったのに対し、餌7割のグループは87%。
さらに通常の餌グループは、癌を発症したサルが8匹、糖尿病5匹、心臓病4匹、
7割グループでは癌4匹、心臓病2匹、糖尿病はゼロだったのですと。
さらに見た目の違いも激しく、通常の餌を与えたサルは毛並みはボロボロ、
動作は緩慢、見るからに老化していたのに対して、
餌を制限されたサルは、毛並み艶々、目つきも鋭く、動きも敏捷で
全体的にとても若々しかったのだそうです。

カロリー制限するだけで、寿命や病気の発症率、見た目にそんな大きな違いが
出るとは。
おまけに白澤氏によると、最近の研究では食べ過ぎによって認知症になりやすい
ことも明らかになってきたのだそうです。

歳をとると体の代謝能力が落ちて、消費カロリーが低くなる。
それなのに若い頃と同じように食べていれば、太るのは当たり前。
なので私はずっと腹八分目を心がけています。
(白澤氏は八分目でも多すぎ、七分目がよいとおっしゃっていますが)
時々、贅沢なレストランでランチを頂く日には
朝は抜き、夜も殆ど食べません(家族の為に作りますが)。
おかげで体型はともかく、20代の体重を一応保っています。
難しいカロリー計算も、特別なダイエット食も要らない。
家族の為に和食中心の食事をしっかり作って、自分が食べる分だけ少なめ目にする。
お勧めです。
これで本当に認知症の予防にもなればいいのですが、
こればっかりは…(;´д`)ゞ

写真はFBから。
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どっちが先?

2013年02月21日 | 社会


「じゃらん」のテレビCMの最新バージョン。
目つきの悪い猫「ししょう」と愛らしい顔の子猫「でし」の旅姿が可愛いなあと
思っていたら、最近ポメラニアンの俊介君が加わったのですね。
三匹揃うとそれぞれの個性が際立って、尚可愛い。



しかし、目つきが悪く、いかにも意地悪そうに見えるししょうも
好きでこんな顔に生まれたのではないだろうと思うと、ちょっと可哀そう。
目つきが悪いから性格が悪くなったのか、
性格が悪いから目つきが悪くなったのか?
それって、器量よしの子猫にも、あどけない顔の俊介君にも
言葉を変えてそのまま当てはまるのでしょうが…

どの世界にも、引き立て役と引き立てられ役がいるということか。

「じゃらんnet」 http://www.jalan.net/nyalan/cm/
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英雄か犯罪者か

2013年02月18日 | 社会


ロンドン五輪の英雄、南アフリカの義足のランナーが、
バレンタインディに恋人を誤って射殺したというニュースを聞いて驚いた翌日、
誤射ではなく計画的な殺人だったのではないかという続報。
そして昨夜、「被告の自宅で血まみれのバット発見」というニュースが。

オスカー・ピストリウス、Wikipediaによれば
生後11ヶ月の時、病気の為両足の膝から下を切断。
しかし、刃(Blade)のように薄い競技用義肢を使用して陸上競技で活躍し、
ブレードランナーの異名を取って数々の輝かしい記録を残している。
ロンドン五輪で陸上男子400メートルに出場し、準決勝に進出。
ロンドン・パラリンピックでは陸上男子400メートルで金メダルを獲得。
パラリンピックで優勝というのも凄いが
健常者のレースで準決勝に進出したというのも凄い。
足がないのに、オリンピック選手なんて…
その雄姿を見て、目を見張ったものなのに。

真相はまだ分かりませんが…
実は攻撃的な性格であったとか、恋人としょっちゅうケンカしていたとか
寝るときにはベッドにピストル、窓際にマシンガンを置いていたとか
色々な情報が錯綜しているようです。
ピストルにマシンガンというのも凄いが
しかし南アフリカで、しかも彼のような成功者が住んでいる豪邸であれば
そのくらいのことをしてもおかしくないような気もします。

以前、南アフリカというところがどれくらい危険なのかと色々読んでいたら
こんな文章を見つけて見つけて驚いたことがあります。
”ヨハネスブルグでは、特に夜に赤信号では止まってはいけません。
夜に赤信号で止まると襲撃される恐れがあるからです。
現地警察の案内にはこうかかれています。
「Running a red light is not illegal
if you're in reasonable fear of assault.」
(殺される危険があったら、赤信号は無視しても違法になりません)”

薄紫のジャカランダの花が咲き乱れるというプレトリア、
いつか行ってみたいのですが…

ピストリウス被告の自宅で血まみれのバット発見
http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2928729/10301601
南アフリカの危険性
http://soudan1.biglobe.ne.jp/qa2291756.html

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あの時何を言いたかったのか

2013年02月14日 | 社会


朝日の今日の夕刊、「三谷幸喜のありふれた生活」。
愛犬の最期を巡っての日々が書かれています。
”とびがこの世を去ってから一週間が過ぎた。
仕事から帰っても、とびが迎えてくれない生活。
朝になっても、とびが顔を舐めて起こしてくれない生活。
そんな暮らしにも少しずつ慣れ始めた。
そして今、激しい後悔の中で溺れそうな自分がいる。”

後悔というのは
とびの介護に当って、自分ができるだけのことがしてやれたかということ。
さらに言うなら、13年間、飼い主としてとびを幸せにしてやれたかということ。

この連載、これが639回目ということは
もう12年ほども私はこの連載を読んでいるのか。
その間には色々あったなあ。
週に一回の短いエッセイから垣間見られた
三谷氏の幸せな新婚生活、映画の成功、そして離婚。
公演などで不在が続くと、ストレスからいたずらや拒食を繰り返したとび。
叱りつけるとあまりにいじけるので、三谷氏の股間を解放してやると
うっとりと顔を埋めていたとび。

”(いよいよ歩けなくなったとびを乗せた)台車を表の道まで移動させた時、
とびが突然「うおおん」と鳴いた。
久々に聞くとびの声。
どこにそんな元気が残っていたのか。
さらに「うおおん」「うおおん」ととびは大声で叫び、
そして「おん」「おん」とニ回小さく鳴いた。(中略)
それがとびの最期だ。”

あの時、とびは何を言いたかったのかと著者は言っている。
永遠に答えの出ない問題を残して、とびは旅立ってしまったと。
何をって…
そんなの「ありがとう」に決まってるじゃないの、と
犬を飼っている私は思う。
飼い主が好きで好きでたまらない犬が最後に残す言葉って
ありがとう、大好きだよに決まってるじゃないの。
とびは13年間、幸せだったに決まってるじゃないの。
でも、よその犬のことだからそう思うのであって
タロウの最期の時には、私もやはり自信を失くすのだろうなあ…
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米国で売れて日本で売れないもの

2013年02月12日 | 社会


食品会社カルビーは先月末、2013年3月期の連結業績予想を上方修正したのだそうです。
連結純利益が前期比23%増の87億円に達する見込みで
4期連続の最高益という、なんとも景気のいい話。
その陰に、前年比160%以上の売上という「フルグラ」の飛躍的成長があったのだと。
「フルグラ」というのは、穀物をオーブンで焼いて砕いた「グラノーラ」という
シリアルの一種にドライフルーツをミックスした商品なのだそうです。

へええ…
「フルグラ」、私は食べたことがありません。
かつてたまには朝食にシリアルをと何度か思ったものの、
夫も息子も嫌がり、結局我家には根づかなかったという経緯があるのです。
料理は家事の中では好きな方なので
それに手間をかけることはそれほど嫌ではないのですが
私は何しろ、朝に弱い。
慢性的な睡眠不足に加えて低血圧。
毎朝なんとか起きて機械的に朝食を作り、夫や息子を送り出すものの、
ちゃんと目が覚めるのはその後という体たらく。
なので、たまにはミルクをかけたシリアル、それとコーヒーなどという朝食だったら
物凄くありがたいのだけど。

この記事では、シリアルはアメリカで売れていて日本で売れていない商品のNo.1と
言い切っている。
確かに、朝シリアルを食べる光景は、アメリカ映画の中で嫌というほど出て来ます。
若い頃アメリカにホームステイした友人も、
一年間毎朝シリアルだったと怒っていたなあ…
そういえば、以前我家にショートスティしたアメリカ人の若者に
ベーコンエッグにサラダ、フルーツを入れたヨーグルト、トーストにコーヒーといった
朝食を出したら、こんなゴージャスな朝食をと驚かれたことがあったのだった。
イギリスのフル・ブレックファーストは有名で、ベーコン、キノコ、ソーセージ、
フライドトマト、 卵料理、ブラックプディング、ベイクドビーンズ等々が皿に盛られる。
私も旅行した際には堪能しましたが
イギリス人の男性と結婚した友人は、あれはホテルだけ、
普通の家庭ではシリアルばかりだと言っていました。

カルビー社長の伊藤氏は、
アメリカのシリアルは不味いが、「フルグラ」を食べたらこんなにおいしいシリアルが
あったのかと驚いたと言っています。
”香ばしさと食感の良さが口コミで広がり、
今までシリアルに馴染みのなかった世代にも支持されるようになった”のですと。
さて、我家の頑固な男たちに受け入れられるかどうか…?

隠れたヒット『フルグラ』でカルビーが仕掛ける朝食革命
http://dime.jp/genre/67355/
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日常の殺意「夜行観覧車」

2013年02月09日 | 


今、テレビドラマ放映中の作品。
結果を知りたくて我慢できず、読んでしまいました。
まあこれはサスペンスなので、感想を書くまでもないかとも思ったのですが
タイムリーなので書いてみます。
同じ著者の「告白」や「贖罪」に比べると
インパクトの大きさには欠けます。
しかし「高級住宅地に住むエリート一家で起きた殺人事件」という題材、
その周辺の人々のそれぞれの家庭事情や思惑が面白い。
誰もが悩みを抱え、誰もがカッコ悪く生きている。

遠藤家の一人娘、中学生の彩花が癇癪を起して家の中で暴れる様は
見ていてつらくなるほどです。
しかしそれも結局、「自分に似て気が小さく、おとなしいだけの子」(父親の言葉)に
母親(ドラマでは主役の鈴木京香)が過剰な期待をして名門中学を受験させたのが原因か。
受験に失敗した彩花は、公立中でもいじめられて居場所をなくし、
家の中で暴れては鬱憤を晴らしているのです。
隣家のエリート一家の息子への淡い恋心が劣等感に歪められ、
憎悪にまでなり…

誰もが無様にジタバタしながら生きているのですが
わずかながらもいいところもある。
例えば高級住宅街での一番の古参ボス、小島さと子。
新参者で「この辺で一番小さな安普請の家」を建てた遠藤家を目の敵にして
その主婦をいじめまくるのですが
二言目には母親を「クソババア」呼ばわりし、「アンタなんか死ね!」と叫ぶ彩花に対して
「あなたのママは疲れているのよ。
これだけ我が子に、あんたあんたって連呼されたら、親をやめたくもなるわ。
彩花ちゃん、あなた、親をあんた呼ばわりできるほど、何がえらいって言うの?
将来、ノーベル賞でもとるのかしら?
でも、そういう人は親をあんただなんて絶対に呼ばないわね。」
と正論を吐くシーンではスッキリします。

お互いを愛し、お互いに思いやっている筈なのに
何処かで歯車が違って憎み合ってしまう家族。
この小説の中では、殺意は究極のものではなく、日常に転がっているもののようです。
結末は、意外性がないのが意外といったところか。
最後の週刊誌の記事として掲載された文が、全体をよく引き締めています。
ここをテレビではどう脚色するのかが、楽しみです。

「夜行観覧車」 http://tinyurl.com/byk4atw
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胸が痛くなる「何者」

2013年02月06日 | 


第148回直木賞受賞作。
著者の朝井リョウは、我家の次男と同い年なのです。
その彼が、自身の就活体験を基に書いたという本作、楽しみにしていました。
”影を宿しながら光を探る就活大学生の切実な歩み。
あなたの心をあぶり出す書下ろし長編小説。”(amazonより)

大学生の男女五人が、就活の情報交換をするという名目で度々集まる。
語り手である主人公拓人は学生劇団で脚本を書いており、何処か覚めた性格で
他の連中を斜めに見下ろしている。
学生バンドでヴォーカルをしている光太郎、留学経験があり英語ペラペラのリカ、
コラムニストで蹴活に否定的な隆良、精神不安定な母親に頼られている瑞月。
3年の12月に皆で集まってES(エントリーシート)を書き出す頃は皆、同一線上に並び、
「瑞月たちと集まって就活会議。仲間がいるって心強い!」(リカのツィッター)
という感じだったのが、ESで落とされる者、二次三次試験に進む者と
次第に差が広がっていく。
そして冬が終わり、春が来て…

ツィッター、FaceBookという小道具を通して現代の学生たちの会社向けの顔、
友人向けの顔、そして自分用の顔を切り分けて見せてくれる。
いつまでも理想を追いかけている友人をバカにしたり、
内定を貰った友人の会社のブラックの噂を検索したり、
公開していない別アカウントで友人のことをぼろくそに書き込んだり。

”いくらこちらから願い下げだったとしても、最終的に選ばれなかったということは、
そこまで選ばれていたのに決定的に足りない何かがあったというふうに感じてしまう。
ESや筆記試験で落ちるのと、面接で落ちるのとはダメージの種類が違う。
決定的な理由がある筈なのに、それが何なのか分からないのだ。
これまでの人生で何度も経験してきた試験のように、
数学ができなかったから、とか、作文で時間が足りなくなったから、とか、
そんな分析すらさせて貰えない。
就職活動において怖いのは、そこだと思う。
確固たるものさしがない。
ミスが見えないから、その理由がわからない。
自分が今、集団の中でどのくらいの位置にいるかが分からない。”

そして落ちる度に、全人格を否定されたような気分になって行く。
シニカルな主人公拓人に次第に共感を覚えながら読んでいくと
最後に痛烈なしっぺ返しが待ち受けている。
タイトル「何者」の意味がその時初めて、ずっしりと意味を持つのです。

昨年12月1日、就活が解禁になった日のTVニュースで
大学生のES(エントリーシート)を出す会社の数が、一人67社だと言っていました。
我家の息子たちは、幸いそれほど苦労することなく就職が決まったので
実感として分からなかったのですが、67社って凄い数です。
長く続く不況の中で、今の学生は本当に大変だと思わざるを得ません。
その学生たちの呻きや悩み、嫉妬や自己否定の苦しみは
人間の普遍的な痛みとして、我々の胸をも打つのです。
早大在学中に「桐島、部活やめるってよ」で話題を呼んだ著者朝井リョウは
著作を続けながら、某大手映画配給会社に就職したといいます。
今後の活躍が楽しみです。

「何者」 http://tinyurl.com/alqr5ag
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驚愕の結末「ライフ・オブ・パイ」

2013年02月04日 | 映画
昨秋台湾に行った際に、この映画の巨大なポスターがあちこちに貼ってあったのです。
大海原に虎と少年が乗った小さなボート。
中国語だから名前も説明もまるで読めず、
摩訶不思議なその写真がただ記憶に残ったのでした。



原作はヤン・マーテルのベストセラー小説「パイの物語」、ブッカー賞受賞。
「ブロークバック・マウンテン」のアン・リー監督が映画化。
動物園を経営する家族と航行中に嵐に遭い、小さな救命ボートで大海原を
漂流することになった16歳の少年パイのサバイバル物語。
副題には「トラと漂流した227日」とある。
そんなことがあり得るのか?
そんな荒唐無稽な話を、どうやって観客に信じこませるというのか?

太平洋に投げ出された救命ボートに辿りついたのは、
少年、シマウマ、ハイエナ、オランウータン、そしてトラ。
弱い動物は次々に殺されてゆき、最後に残ったのは少年パイとトラ。
トラの名前は、リチャード・パーカー。



いやこれ、凄い作品です。
最後の最後に、驚愕の結末があるのです。
全編これメタファ。
シマウマも、ハイエナも、オランウータンも、トラも。
海亀も、人食い島も、トラとの別れも。
意地悪なフランス人コックも、人のよい東洋系ベジタリアンも。
結末を知ってみると、前篇のすべてが伏線に思えて来ます。
ネタばれになるのでこれ以上書けないのが残念。
ただ興味のある方には
エドガー・アラン・ポーの小説「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」と
更に驚いたことには、その小説が現実化したかのような
1884年の「ミニョネット号事件」がヒントであるとだけ言っておきましょう。
「リチャード・パーカー」で検索したら出て来たのでした。



アン・リー監督は台湾出身であり、日経新聞のインタビュー記事によると
この作品は台北市の飛行場跡地で制作、格納庫に五つのスタジオを作り、
波を生み出せる巨大なプールまで設置したのだそうです。
それで台湾に、あんな大きなポスターが沢山あったのですね。
3Dで観る、海だか空だか分からなくなる幻想的な青の世界、降るような星空、
鯨の壮大なジャンプ、夜光クラゲの神秘的な光…
お見事でした。
今年のアカデミー賞の11部門にノミネートされているのだそうです。

公式HP http://www.foxmovies.jp/lifeofpi/index.html
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