オランダの児童養護施設で暮らす11歳の少女ルーのもとに、離ればなれになっていた母カリーナから突然の連絡が入る。自称ハリウッドスターだというカリーナは、再会を喜ぶルーを勝手に施設から連れ出し、ポーランドに住むおばあちゃんのところへ行くと告げる。カリーナにはルーとずっと一緒に過ごすための、ある計画があった。そんな母の型破りな言動に戸惑いながらも、一緒にいたい一心で母に着いていくルーだったが…(映画Comより)

来日中のオランダ人の友人と観た映画というのは、これでした。
カリーナのあまりの駄目母ぶりに呆れます。
そもそも一人娘を養護施設に預けっ放し、その間連絡もせず、突然現れて勝手に連れ出す。「ボニーとクライド」を気取り、無銭飲食など娘に犯罪の片棒を担がせる。
精神的に不安定な社会不適合者であり、ハリウッドスターというのもおそらく嘘八百で、今まで一体何処で何をしていたのか?
しかし、母親が恋しい11歳の娘ルーは、戸惑いながらもついて行く。
その娘の健気さに泣けてきます。
子どもは親を選べないものね。

「人生はゼロか100かよ、キドー!(お嬢ちゃん)」というのがカリーナの台詞。
タイトルでもある「Kiddo」は、「kid」の愛称形で「子供」という意味です。
シリアスな題材でありながら、所々に現れるアニメーションやポップな画像、そして60~70年代のアメリカンポップスが何とも明るい。
ラストは悲しいが、ルーの心には母親との思い出が刻みつけられたことでしょう。
完全でなくても、どんなに駄目母であっても、子どもを思う気持ち、そして子どもが母を慕う気持ちは、やはり美しい。

カリーナは何処で拾ってきたのだというようなおんぼろシボレーで現れて、しょっちゅうエンストしながらポーランドまで走るのですが、最後は綺麗なトヨタの軽車両に変わるのも面白い。
ルーが暮らしている養護施設が、日本のように大きなものではなく、数人の子どもたちと養母が暮らしている、ごく普通の家のようであることに驚きました。
オランダ人の友人に聞くと、色々なタイプの施設があるが、あれはよく見られるタイプなのだそうです。
目が行き届き、こじんまりした家族のようであるという点でいいのかもしれませんね。
「Kiddo」公式HP