Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

「ある一生」ローベルト・ゼーターラー著

2024年10月06日 | 


先月この映画を観て、アルプスの素晴らしい景色に感動はしたものの、主人公のエッガーがあれだけ苦しい人生を通してどうして幸せだと思えたのか、どうにも納得できなくて、原作を読んでみました。
20世紀初頭、私生児として生まれ、引き取られた農場主から奴隷のようにこき使われ、虐待によって生涯足を引きずることになり、愛妻は新婚の内に雪崩で亡くなり、戦争でロシア軍の捕虜となり、その後アルプスの麓で一人で生きた男。
それでも何故、彼は幸せだと思えたのか?

本国オーストリアはじめ、80万部を越えるベストセラーになり、37ヵ国で翻訳されたとは思えないほど、薄い本であり、淡々とした小説でした。
映画では分からなかった発見も幾つか。
エッガーがロシアの捕虜となったのは8年もの間であり、その間シベリヤで強制労働をさせられていた(戦争が終わってもそうさせられたのは日本兵だけではなかったのね)。
後年、突然出て来た氷の中のミイラは、ヤギハネスであった。

”実のところ、村人たちの意見や怒りなど、エッガーにはどうでもよかった。彼らにとって、エッガーは穴倉に住み、独り言を言い、朝には氷のような冷たい小川にしゃがんで顔を洗う老人に過ぎない。だがエッガー自身は、なんとかここまで無事に生きて来たと感じており、それゆえ、満ち足りた気持ちになる理由はいくらでもあった”

結局、エッガーは、自分の人生を恨むということがなかったのでしょうね。
人と比べるということもなく、あるがままのすべてを受け入れている。
その我欲のあまりのなさは、映画「Perfectdays」の主人公にも通じるものがあるような気がします。
そういった姿に、自分には無理だけどそうなれたらという憧れのようなものを感じ、そこが支持された理由かとも思います。



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