Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

1600円で5500円の化粧品が買える謎

2008年11月30日 | Weblog
ネットを見ていて、小さな企業広告に目が留まりました。

「アニエスb」のコスメの広告。
2700円のリップスティックにお財布がついて1600円!
更に2800円のマスカラがついてくる!

ccbパリ アニエスb

本当!?
アニエスbの化粧品は、特別好きというほどではないのですが、いくつか使ったことがあります。
無香料で少々素っ気ない気もしますが、フランスのコスメ会社だけあって、その容器や雰囲気などがちょっとお洒落。
その割には値段も安くて、親しみやすい感じ。
その商品が、どうして1600円で、2700円+2800円=5500円分買える訳!?

私は、はっきり言って財布は要らないのですが、それを引いても、これは安い!
というので先週頼んでみたのが、届きました。
配送手数料として500円ほど余分にかかりましたが、それでも2千円ちょっと。
広告で謳っている通りのものが、ちゃんと入っています。
おまけにスペシャル・プレゼントとして、「ルb」のミニ香水まで。
この香水、昔好きだったのです。
今更買うにはちょっと甘すぎる香りだけど、こうしてちっちゃいハートのボトルがついてくると、なんだか凄く嬉しい。

しかし、こんな出血大サービスをして大丈夫なの?と小心者の私は、思わず心配してしまうのです。
あるいは化粧品の原価って、それでも元が取れるほど低いのか!?
でも、店頭では確かにこの定価で売られているのです…

夫に得意気に話したら、バカだなあ、企業はマーケットを拡げたいばっかりなんだよ、そんなハシタ金に釣られて、個人情報売るなよ!と。
ああ、そうか…
これから、アニエスbからのダイレクト・メールがごっそり届くようになるのか、とちょっと反省。
そういえば、今回送られてきた品物も、口紅とマスカラ、財布に香水のミニボトルと全部かき集めても片手に乗る大きさなのに、しっかりと大きなダンボール箱に入って、中にはアニエスbのカタログがどっさりと…

それでも、女は、限定品とかスペシャル・プレゼントというものに弱いのです。
さすがにコスメ会社、女心をよく研究しています。
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「おまえの話はつまらん!」

2008年11月26日 | 社会
昨日の朝日新聞のCM天気図。

ここのところ連日流される自民党のテレビCMを、天野祐吉氏が断罪しています。
”ちゃんと聞いてみれば、「家計を支え」「中小企業を守り」「地方を元気にし」「景気を回復する」と言っている。
何のために麻生さんがこの瞬間も働いているかといえば
「この国のために、すべての人のために、あなたのために」と言っているのだ。”
”話がうますぎる、というより、ひとつひとつの言葉がつるつるすべって、なんにも耳に残らない。はっきり言えば、つまらないのだ。”
”で、思わずぼくは、数年前のキンチョウのCMを思い出した。
「つまらん、お前の話はつまらん!」と一喝するCMである。”

日米の学生が政治についてテレビ討論をしたという記事が、先週、やはり朝日に小さく載っていました。
全体に、アメリカの学生は非常に熱心でやる気満々だったのに対して日本の学生はどうしようもなくシラケていた、と。

そりゃあねえ…
アメリカには、腹が立つことも疑問に思うことも色々ありますが、少なくとも、オバマ氏のスピーチなんかは本当に素晴らしかった。
そして(この先どうなるか分からないにしろ)初の黒人大統領を選出する、ということをやってのけた。
それにひきかえ、明確な政治的ヴィジョンもなく、スピーチは聞くに堪えず、言葉は間違いだらけ、そして空々しい”イメージCM”ばかり流す日本の政治家。
そりゃ若者じゃなくっても、シラケたくもなるでしょう…

写真 渋谷駅に出現した「明日の神話」
   幅30メートルの巨大なものです
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「マクロプロス家の事」

2008年11月23日 | 劇、オペラ、コンサート
昨日、日生劇場で二期会のオペラ「マクロプロス家のこと」を観ました。
カレル・チャペック原作、レオシュ・ヤナーチェク作曲。

「蝶々婦人」(これは昔、シドニーのオペラハウスで観たことがある)や「椿姫」のような分かりやすいオペラではない、こんな難しそうなオペラ(HPを見てもさっぱり訳が分からない)が初心者に分かるのか!?という不安はあったのですが…
大体、この物語のヒロインは337歳という設定なのです。
ファンタジーものかと思うと、遺産相続だの弁護士だの、やたら現実的な言葉が連呼される…しかも、まったく聞きなじみのないチェコ語で!
しかも、演奏される曲目は、やたら陰鬱で暗いメロディばかりだし。
一幕目は正直、ちっとも面白くなかったのですが、二幕目、三幕目とぐいぐい舞台に引きずりこまれ、ラストシーンでは息を呑みました。

この作品の、オペラのチェコ語上演は日本では初めてなのだそうです。
無論、日本語の字幕はついていましたが、チェコ語なんて理解する人が、一体観客の中にどれだけいるのでしょう!?
だったら、(オペラでよく使われる)イタリア語でやったって一向構わないじゃないの、などと私は思ってしまったのですが
ヒロインを演じた蔵野蘭子氏によると
「ヤナーチェクはチェコ語に合わせてリズムや音程を書いている」のだそうです。
「ただイタリア語やドイツ語に堪能な2人(注・主役を演じた二人)も、チェコ語作品は初めてとあって、最初は寿限無(じゅげむ)寿限無…の世界(笑)。音楽もあり得ないリズムが出てきて、歌えるようになるのにこんな時間がかかった作品はない」と。

へええ…
そういえば語学に堪能な友人から、チェコ語は一番難しいと昔聞いたことがあります。なんで?と聞いたら
格が7つあって、それぞれ変化するんだよ、と。
念のため、今ググッてみたら
"その複雑さから、チェコ語は習得の困難な言語と言われることが多い"(wikiより)
”男性・女性・中性名詞といった3変化に加え格変化が7種類あるため、
プラハ(Praha)という単語一つにしても所有格(プラハの)であれば
プラジュスキー・プラジュスカー・プラジュスケー(男・女・中性)となり、
前置詞の後に続く場合は、プラハに(v Praze=in Prague)、
プラハへ (do Prahy=to Prague)といったように変化するのです。”
(インスタントチェコ語入門より) http://www.hideaki-hirai.com/csroom/instantczech1.htm

チェコ語には
一生触らないようにしよう…(;´д`)ゞ

カレル・チャペック、20世紀のチェコを代表すると言われる作家、私はこの人の戯曲も小説も読んだことがないのに、妙に名前に親しみを覚えると思ったら
子どもの頃、「長い長いお医者さんの話」という彼の作品が好きだったのでした。
これは、魔法使いや王様、妖精、郵便屋さん、おまわりさんなど色々出てくる、優しくて楽しい童話の短編集なのです。

「マクロプロス家の事」l
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シュールな賢治ワールド「その日のまえに」

2008年11月20日 | 映画
原作を読んで、その記憶がこれだけ鮮明なうちに観る映画というのも珍しい。
2008年大林宣彦監督。 重松清原作。

原作は7編の短編から成っています。
大林監督は、その小説を切り刻み、ぐちゃぐちゃに混ぜて、張り合わせています。
基幹となるのは、末期癌で余命宣告を受け「その日」を迎えるとし子と夫の健太、その子ども達の話なのですが、それ以外の短編があちこちに散りばめてあります。
それらを結びつけるのは、なんと宮沢賢治なのです。

驚きました。
原作の中には、宮沢賢治という言葉は、たったの一回しか出てこないのです。
健太が、とし子がいよいよもう駄目だと医者から連絡を受けて、息子たちにそれを知らせた時、ぽつりと長男に言うのです。
宮沢賢治の「永訣の朝」って知っているか、と。
それだけなのです。

しかし、映画は、全編が宮沢賢治ワールドです。
「永訣の朝」の詩が歌となり、重々しいチェロの旋律と共に繰り返し流され、クラムボン、セロ弾きのゴーシュ、銀河鉄道の夜の話が自在に交錯しています。
「あめゆじゅとてちてけんじゃ」という詩の一説が、繰り返し出てきます。
私は子どもの頃、宮沢賢治が大好きだったのです。それこそ暗記するくらい読んだので、どれもこれもすんなりと入ってきました。

けふのうちに
とほくへいってしまふわたくしのいもうとよ
みぞれがふっておもてはへんにあかるいのだ
(あめゆじゅとてちてけんじゃ)
蒼鉛いろの暗い雲から
みぞれはびちょびちょふってくる
ああとし子
死ぬといういまごろになって
わたくしをいっしょうあかるくするために
こんなさっぱりした雪のひとわんを
おまえはわたくしにたのんだのだ
ありがたうわたくしのけなげないもうとよ
わたくしもまっすぐにすすんでいくから
(あめゆじゅとてちてけんじゃ) 「永訣の朝」より

「あめゆじゅとてちてけんじゃ」とは「雨雪を取ってきてください、賢治兄さん」という意味です。賢治の2つ年下の妹トシは日本女子大を出た後、花巻高女の教諭をしていたが、大正11年11月24才で病没しました。その妹が死ぬ朝をうたった作品、とされています。この詩を基に、ここまで見事な賢治ワールドを作り上げるとは…

説明が少ないので、原作を読んでいない人、宮沢賢治に詳しくない人には、かもめハウス、駅長君、クラムボン等々、少々分かりにくい作品かもしれません。
しかし、悪く言えば、これほど分かりやすいお涙頂戴ものはないだろう、という位の原作を、よくここまでシュールなファンタジーものに仕上げました。
脱帽です。

この作品に、故峰岸徹がワンシーンだけ出てきます。
健太の父親という、原作には出てこない人物として。
これは、峰岸を出す為にわざと作ったのかなと思っていたら
”僕たちは小型のカメラを持って見舞いの撮影に行きました。
「おい、起きろ、俺が『ヨーイ、スタート』と声をかけるから芝居しろ、
君の演技する姿はここに映るし、それで君は生きているんだ、病気も関係ねえ」と癌で闘病中の根岸君のところに行って撮った絵がこの中に入っています。
僕たちが見舞いに行ったとしても病気はどうにもならんわけで、彼も映画の俳優、僕たちも映画を作る人間とすれば、僕たちの覚悟としてもこれはもう遺作を作ってやろう、というそういう思いでね。”
と、大林監督が語っています。
峰岸徹が亡くなった今、その言葉が胸に染み入ります。

☆3.5

「その日のまえに」 
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掃除機のモニター・テスト

2008年11月18日 | 家庭
掃除機のモニター・テストに行って来ました。

メーカーと名前を隠した新しい掃除機が7種類ほどおいてあり、実際にそれを使ってみて、感想・批評を述べ合うというものです。
そのためにフローリングとカーペットを敷き、ソファやサイドボードなどを置いたモデル・ルームも用意してありました(ソファの下や、家具と壁の隙間などを掃除するため)。
今回は、7~10万円ほどの「最新式高額掃除機」がテーマだそうで、各社の自慢の最新式商品が並べてありました。

私が今使っている掃除機は、7,8年前買い換えたものです。使っていた掃除機がいきなり壊れ、その頃は子ども達がまだ小さくて部屋を汚すし、自宅でトール教室をやっている以上、掃除は毎日の必須家事なので、その日のうちに近くの電気屋に走って買ったという代物です。
普段電化製品を買い換える時は、私なりに情報を集め(ネットで見たり、友人に評判を聞いたり)それから買うのですが、この時はそんな余裕もなく、とにかく埃を吸ってくれればいい!と、店頭のセール品(2~3万円だったと思う)を買ったのでした。

で、久しぶりの最新式掃除機はどんなものだろう?と楽しみに行ったのですが…
今は凄いですねえ!
円盤型のあり、流線型だがホースの根元部分が360度回るというのあり、
10年間フィルターの手入れ不要というのあり、
吸引口にライトがついて明るく照らすのあり、
「ロングズーム吸い口」や「角度自在隙間ノズル」つきあり、
掃除しながら部屋の中の空気を綺麗にするという、空気清浄機能つきあり、
埃の多い・少ないを感知して、パワーの大小を自動で切り替える機能つきあり。
掃除機をかけるのがどうも楽だと思ったら
今の新型には、「自走機能」もついているのですねえ。
まるで掃除機というよりも、小型の掃除ロボットのようです。

こんな掃除機があったら、普段の掃除も楽しくなるかもしれないと思う一方で、こうも考えました。
大邸宅に住んでいるのならとにかく、私の住んでいるマンションの掃除なんて、全部屋やったってたかが知れてる。
埃が多いか少ないかなんて見りゃ分かるのだから、パワー自動切り替え機能なんて要らない。
ライトも、空気清浄機能も、自走機能も、ないならないで構わない。
そんなのにお金をかけなくても、今の原始的なもので十分じゃないか、と。

ただ、羨ましかったのは、今の最新式は音が随分静かになっているのですね。
吸引力は大きくなっているのに、どんどん低騒音・省エネ化しているようです。
それはいいなあ、と思ったのでした。
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トルコ料理店「イスタンブール」

2008年11月15日 | グルメ
赤坂のトルコ料理店「イスタンブール」に行って来ました。
ここは、1988年に日本で初めて新宿にトルコ料理店を開いた店なのだそうです。
赤坂東急ホテルの2階の端にあり、窓から、立体交差する首都高がよく見えます。

長身のトルコ人の青年が最初に運んでくれたのは、小さなスープとサラダ。
このスープ、お店の人に確認するのを忘れましたが、多分「メルジメック チョルバ」(レンズ豆のスープ)だと思われます。
トルコのあちこちで、よく出て来ました。
味を一言で説明するのは難しいのですが、ちょっと甘くて、ちょっとしょっぱくて、ちょっと酸っぱくて、ちょっと辛い。どうしたらこんな味が出せるのだろう?とレシピを探してみたら出てきました。

材料 レンズ豆 3/4カップ 玉ねぎ中1個 人参1/3本 じゃがいも小1個
   固形コンソメ1個 塩少々 水6カップ レモン、チリ、ミント

甘いのは豆の素材の味、酸っぱいのはレモン、辛いのはチリを入れるせいか…
なんとも微妙な味です。甘いのか、酸っぱいのか、辛いのかハッキリせい!と言いたくなるくらい。でもトルコ人にとっては、懐かしい”お袋の味”なのだとモノの本には書いてありました。

メインは3種類から選ぶようになっていて、私はドネル・ケバブを頼みました。
ケバブとは、中東地域で肉類をローストして調理する料理の総称。
ドネルとは回転という意味だそうで、肉を串にさし回転させながら焼き、焼けたところからナイフでそぎ落としていくトルコ料理のことです。
見た目は雑ですが、コクがあって中々美味しいものです。
イスタンブールの街のいたるところで、この料理を使ったファースト・フードの店、これをはさんだサンドイッチの屋台が見られ、香ばしい匂いが漂っていました。

デザートはプリン、飲み物はチャイを頼みました。
トルコのデザートは、甘すぎて口に合わないものも多かったのですが、このプリンは素朴な味で美味しい。ただ、形といい、味といい、素っ気なさ過ぎる気もしますが。
チャイは、向こうでは、もっと大きな角砂糖が必ず2個ずつ付いていました(しかも見回すと、それを2個とも入れて飲む人が多いようだった)が、こちらでは日本人に合わせたのか、小さなのが1個だけ。

トルコの国では、私は当然ながら「異邦人」だったので、どんな料理が出ても、それを食べさせて頂くという感じだったのですが、ここ東京でトルコ料理を食べる分には、もっと大きな顔で好きなように批判できる気がします。
ここのランチ、デザートとドリンク付きにしても1500円と、とってもリーズナブルです。
久しぶりにトルコの味を口にして、旅の思い出が甦るようでした。

「イスタンブール」 
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大人になれない大人たち「リトル・チルドレン」

2008年11月12日 | 映画
「リトル・チルドレン」をDVDで観ました。
2006年アメリカ映画、トッド・フィールド監督。

ボストン郊外の閑静な住宅街、専業主婦のサラ(ケイト・ウィンスレット)は子育てをしながら退屈な日々を過ごしている。
大学院で英文学を専攻した彼女は、公園のママ友との中身のない会話に満足できずにいる。このサラの描き方が面白い。
”彼女は自分が人類学者だと思って、彼女達を観察することにした”という皮肉たっぷりのナレーションが入るのです。
そんな彼女は、成功した妻を持ち司法試験を目指して主夫をしているブラッド(パトリック・ウィルソン)と出会い、二人は子どもをダシにして逢瀬を重ねるのですが…
そこに、幼児性愛犯罪者ロニーとその年老いた母、過去に犯した罪を引きずる元警官ラリーが、近所の住人として絡んできます。

ケイト・ウインスレットが激しい濡れ場を演じたというので話題になったようですが、この二人の愛し合う場面というのは、お互いの身体を利用した自慰的なものという印象が拭えません。
そして肉体的な関係のみならず、二人の精神的な関係にもそれが言えるのです。
結局サラもブラッドも、退屈な日常からいっとき抜け出す為の手段として、お互いを利用しただけではないのか?
だからこそ、あんなにも脆かったのではないのか…

今の自分を受け入れられず別の人生を夢見てしまう、大人になりきれない大人たち、孤独だけれども、居心地の良い自分の殻にひたすら閉じこもっている、
子供部屋から出ることが出来ないでいる大人たち、
正常ではないものを、自分達の生活から排除しようとする隣人たち、
人間の嫌な面を徹底的に抉り出したという点で、この映画は訴えかけるものがあります。一見普通の人々の、息苦しいほどの悩みや渇望がしみじみと伝わってきます。

サラが公園で幼い子どもを遊ばせながら、近所の主婦との付き合いにうんざりするところ、アメリカでも日本と同じような生活シーンがあるのだと驚きました。
そして、私もそんな思いをしたことがある昔を思い出しました。
サラの気持ちはよく分かりますが、子どもの遊び友達を作るためには、仕方のないことでもあります。
そしてそれも、その中に浸かってしまえば、それなりに楽しいものでもあるのに…
あそこでサラは、文学の素養のある自分はアンタタチとは違うのよ、という顔をしていますが、そういうのってすぐにバレちゃうのよ、サラさん。
だから貴女はみんなから浮いていたのよ。
と、他人のことはよく分かります。

「リトル・チルドレン」
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「眺めのいい部屋」 

2008年11月10日 | 映画
二十余年ぶりに観ました。
上品で余韻が残る、英国の格調高い文芸作品、という印象を持っていたのですが…

1985年イギリス映画、アカデミー賞3部門受賞。
E・M・フォスターの同名小説を映画化した名匠ジェームズ・アイボリー監督の出世作。
”20世紀初頭、まだ封建的思想の色濃いイギリスの名家の令嬢ルーシー(ヘレナ・ボナム・カーター)は、フィレンツェ旅行に赴いた際、ホテルの眺めのいい部屋を譲ってくれた情熱的な青年ジョージ(ジュリアン・サンズ)とやがて恋に落ちていく。
しかし帰国後、彼女は名門の紳士と婚約するはめになり…。”(amazonより)

久しぶりに観て驚きました。
確かに叙情的な文芸作品ではあるのですが、今観ると、往年の少女漫画、或いはソープ・オペラ(昼メロ)そのものの世界。
旅先のイタリアの麦畑での情熱的なキス、イギリス貴族の豪華な邸宅、令嬢や奥方の美しいドレス、屋敷に飾られた豪華な調度品、全編を彩るプッチーニのオペラ曲。
そして、この映画の登場人物は、誰一人として働いていない!
ルーシーが恋をする相手ジョージは労働階級という説もあるようですが、それでも、働かずにイタリア旅行したり、別荘を簡単に買ったりする財力はあるのですから…
更に、ルーシーが初めて恋を知り、彼女なりに悩んで、名家の青年セシルとの婚約を破棄するのですが、それも親がかりなのです。
鼻持ちならないセシルのことを、ルーシーの母親も弟も嫌っていたし、最後にルーシーがジョージとの結婚を決意するのも、ジョージのお父さんに説得されてなのです。
若い女性の自我の芽生えとその成長を描いたなんて言ったって、所詮、お嬢様の、親の掌の中でのささやかな反乱にすぎないじゃん、と今の私は思ってしまうのです。

それにもうひとつ。
今回借りたDVDは、近年出た「完全版」というので期待したのですが、あの有名な「水浴び」のシーンに、やはり滑稽な修正が施されていました。
世の中には悪質な卑猥画像が氾濫しているのに、男3人の他愛ない水浴びシーンを”修正”する必要があるのか?
理解に苦しみます…

ジェームズ・アイボリー監督という人は、この他にも「モーリス」「ハワーズ・エンド」「日の名残り」などの美しいイギリス文芸映画を撮っているのですが、実はカリフォルニア生まれのアメリカ人なのですね。
それも不思議な話です。

という不満は色々と出てきましたが
やはり綺麗な映像、知的な会話、シニカルな冗談などが散りばめられた英国映画、 久しぶりに堪能しました。
☆4

「眺めのいい部屋」 
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姉妹の愛憎劇 「ブーリン家の姉妹」 

2008年11月06日 | 映画
2008年アメリカ・イギリス映画、監督ジャスティン・チャドウィック。

新興貴族のブーリン卿は、一族繁栄のために才気あふれる美しい姉娘アン(ナタリー・ポートマン)を、国王ヘンリー8世の愛人に差し出すことを目論む。
ところが王の心を捉えたのは、アンの妹で凡庸だが気立ての良いメアリー(スカーレット・ヨハンソン)だった。
その後、二人の運命は二転三転して…
国王ヘンリー8世とその王妃の椅子を巡って、姉妹の愛憎が交差します。

英国史上における二人の数奇な運命もさることながら、私はこの姉妹の愛憎と葛藤に感じ入りました。
原題は"The Other Boleyn Girl"というのです。
これが中々意味深い。
「もう一人のブーリン家の娘」、つまり主役じゃない方はどちらを指すのか?
物語の始めでは、それは当然、地味な妹メアリーの方です。
計算高い父親は、国王がブーリン家を訪れた際、姉アンだけを彼に侍らせ、
妹メアリーの方は紹介すらしない。
美しく勝気な姉の影にいるメアリーはしかし、そうした待遇に馴れてさえいるようです。
ところが王の目はメアリーに止まり…
プライドの高いアンは、その時どんなに傷つき、妹を憎んだことでしょう。

愛さえあればいい、という欲のない妹メアリーに対して
何が何でも王妃の座を勝ち取ろうとする姉アンの執念は、怖いほどです。
王を焦らし、本来の王妃を陥れ、二人を離婚させる為に
カトリック教会からイギリス国教会を分離させるに到るのですから…

しかし、そうした策略に満ちた愛は長くは続かなかった。
王が愛したのは、アンそのものではなく、
「美しく健康で王子を産むことができる女」アンであったのですから。
その条件が一つでも損なわれれば、アンはいとも簡単に捨てられてしまうのです。
それが分かっているからこそ、男の子を産み損なったアンは常軌を逸することまでして、王の愛をつなぎとめようとしたのでしょう。
その”常軌を逸したこと”によって、
遂には断頭台の露と消えることになるのですが…
自分の意志には反しながら、望まれるままに王の愛人になった従順なメアリーはしかし、最後には自分を貫いて、華やかな宮廷から決別し、凡庸で幸せな人生を勝ち取るのです。
自分の幸せを奪った姉を許し、命をかけて守ろうともする。
その意味では、真の意味でのヒロインは、地味なメアリーの方であったのかもしれません。

姉妹の愛憎だけでなく、この二人の周りにうずまく様々な人間の欲。
娘を冷静に値踏みし、利用してのし上がろうとする父親、それをそそのかす叔父。
その女に夫がいるかどうかを気にすることもなく、見境なく手を出す国王。
そういう時代であったと言ってしまえばそれまでですが
映画の冒頭の、草原の中で無邪気に遊ぶ幼いアン、メアリー、ジョンの姿が、ラストシーンの、メアリーが育てる子ども達の姿に呼応して、悲しく脳裏に甦るのです。

☆3.5

「ブーリン家の姉妹」 
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ランディ・パウシュの最後の授業

2008年11月03日 | 社会
昨夜9時からの「エチカの鏡」というテレビ番組の中で、「ランディ・パウシュの最後の授業」を取り上げていました。

この人のことは新聞などでも読んで知っていたのですが…
アメリカ、カーネギー・メロン大学の教授。
2007年9月18日、母校カーネギー・メロン大学で「Really Achieving Your Childhood Dreams (子供時代に抱いた夢の実現)」と題した「The Last Lecture 」を行なう。
この時彼は末期ガンで、医師からは余命3か月から6か月と診断されていたのです。
そして今年の7月に、彼は47歳の短い生涯を閉じています。

その講義の様子はYouTubeで配信され、全部見ることができます。
「1」から「9」まであってちょっと長いのですが(全80分ほど)、思わず見入ってしまいました。
ちゃんと日本語字幕もついています。
冒頭で、僕の膵臓には10個の腫瘍がある、と言う所で "the elephant in the room"という言葉が使われています。
そうか、こうやって使うのか…
「1」の真ん中あたり、子どもの頃の夢のひとつ、キャプテン・カークになることと言った時に映し出される、最前列のショートヘアの綺麗な女性が奥さんのジェイです。
まだお子さん達もごく小さいのですよね。
こんな小さな子どもたちを残して死ななければならないなんて…

彼が、講義の最後に使った"head fake"という言葉に
息を呑みました。
私はこんな言葉、知りませんでした。
日本語訳は「頭のフェイント」。
そうか、このために
彼は奥さんの反対を押し切って、この講義を行なったのか…






(この動画を全部見る暇がない人のために)
(今更感動しているのは、私くらいかもしれませんが)



彼の言う"head fake"とは…

「この講義は、いまこの講堂にいる皆さんに向けたものではありません。
本当は私の子供たちに向けたものなのです。」


ランディ・パウシュの最後の授業 
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