活字日記

毎日読んだ活字系(雑誌、本、新聞、冊子)を可能な限りレポートします。

【8月13日】

2019-08-13 | 文庫
昭和の話を読み終えました。今日の一番、あ、そうね、と思ったところ。昭和三十年代を記録している映画として、小津安二郎の昭和35年の映画、秋日和があります。ここでは寡婦役の原節子とその娘に司葉子をめぐる3人の「おじさま」が登場します。そうです、「おじさま」です。原節子の亡夫の友人達のことを司葉子はおじさまと呼ぶのです。現代では死語ではないでしょうかね。その3人のおじさま役は佐分利信、中村伸郎、北竜二がやっているのですが、実に品格のあるおじさま振りなのですよ。この3人の役者の実年齢は51、52、55歳だったそうです。この3人を知っている人はそれなりの年齢を重ねた人ですが、DVDを見るともう少し歳のいった感じがしますが、でもそうだったそうです(意外に若いということ)。これを現在(この本が書かれたのは2013年)の役者でやらせると、柳葉敏郎、渡辺徹、黒田アーサー、そして石橋貴明だそうで、ちょーーとイメージちがって、チャラいです。西田敏行、岸部一徳、寺尾聰という60歳代の役者まで持って行って似合うかなという感じ。当時と今では男の平均年齢が12歳以上違うので、人の風格からして違うのでしょう。そういう意味では明治維新だって30歳前後の若造が行ったのですよね。
ということで、昭和三十年代には「おじさま」が生きていた。おじさまの匂いがしたのが昭和三十年代だったのだとわかりました。

「昭和三十年代の匂い」岡崎武志 ちくま文庫

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